資金面の悩みが原因でDXの推進に踏み込めないケースもあるのではないでしょうか。
そこで注目したいのがDXの補助金です。
今回は「DXの補助金とは何か」という話や「DXの補助金の種類」、「DXの補助金を受けるときのメリットや注意点」などを紹介していきます。
DXの補助金とは
DXの「補助金」と聞けば資金が受け取れるというイメージを持つ人も多いでしょう。
その認識も間違ったものではありませんが、その中身を深く知っておかなければ有効活用しにくいといえます。まずは「DXの補助金」とは何かという部分から知っていくのが大切でしょう。
DXには「補助金」と「助成金」がある
DXの推進を考えている企業に対して支援金が支給される制度として、DXの「補助金」と「助成金」があり、どちらも政府や自治体が掲げる政策に沿った制度です。
この2つは管轄が異なり、経済産業省の管轄に分類されるのがDXの「補助金」、厚生労働省の管轄に分類されるのがDXの「助成金」と呼ばれます。
補助金と助成金の管轄以外の違い
DXの補助金と助成金には管轄以外にも異なるポイントがあり、それが「支給されやすさ」です。
厚生労働省の管轄下に入っているDXの「助成金」は、一定の条件を満たしていれば支援金が支給されるケースが多いといえます。経済産業省の管轄となっているDXの「補助金」は採択件数が決まっているので、審査の内容次第では支援金が支給されないケースも出てくるでしょう。
DXの補助金について詳しく知りたいならDXセミナーで質問をするのもおすすめです。
DXの補助金5選!
DXの補助金について知ることができれば、次は「どのような補助金があるか」を知っておきたくなるでしょう。様々なDXの補助金を知っておくことで自社に合ったDXの補助金制度を選びやすくなります。
DXの補助金の種類 | DXの補助金の特徴 |
ものづくり補助金 |
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事業再構築補助金 |
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事業再構築補助金 |
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小規模事業者持続化補助金 |
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サプライチェーン対策のための 国内投資促進事業費補助金 |
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ものづくり補助金
「ものづくり補助金」は中小企業や小規模な事業者が「新たな試作品を開発したいとき」や「革新的なサービスを開発したいとき」に支援を受けられるDXの補助金です。
他にも生産プロセスの改善を目的とした設備投資の支援にも利用できます。
「ものづくり補助金」は複数の枠組みが用意されているのも特徴です。
通常枠以外にデジタル枠やグリーン枠、グローバル市場開拓枠などがあります。
DXによる賃上げや雇用面での改善を目的としている場合は、回復型賃上げ枠や雇用拡大枠を利用するのも良いでしょう。
正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。
DXの補助金の上限枠は750万円から5000万円です。
IT導入補助金
「IT導入補助金」は中小企業や小規模事業者が、ITツールを導入する際に支援を受けられるDXの補助金制度を指します。インボイス制度への対応もできるのが魅力的なポイントです。
A類型とB類型の2種類がある通常枠の他に、セキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠が存在します。IT導入補助金は毎年出されており、例えば2022年であれば「IT導入補助金2022」、2023年であれば「IT導入補助金2023」といった名称が付けられています。
A類型は30万円から150万円が上限で、B類型は150万円から450万円が上限です。
デジタル化基盤枠やセキュリティ対策推進枠は5万円から受け取れます。
デジタル化基盤枠は上限が350万円、セキュリティ対策推進枠は100万円が上限です。
事業再構築補助金
DX化しようにも、資金が少なくなってくると経済の変化に対応しきれないケースもあるかもしれません。そのような状況で役立つのが「事業再構築補助金」です。
この補助金制度は、DXによる新分野への展開や業態の変換といったような思い切った事業の再構築を行いたい場合に支援を受けられるものだといえます。
成長枠やグリーン成長枠といった企業の成長を促してくれるものや、産業構造転換枠のような業態変換に適したものがあります。他にも卒業促進枠や大規模賃金引上げ促進枠といったものも用意されています。
大規模賃金引上げ促進枠以外の枠組みでは100万円から受け取れるようになっています。
大規模賃金引上げ促進枠の場合は、8000万円から最大で1億円の支援が受けられるでしょう。
小規模事業者持続化補助金
「小規模事業者持続化補助金」は、あらゆる制度の変更に直面したときに小規模事業者を支援してくれる補助金です。具体的には販路開拓や業務の効率化に必要な経費を補助してくれます。
小規模事業者がDXの推進を考えている場合には、それも補助してもらえる可能性があります。
通常枠では50万円が上限となっていますが、賃金引上げ枠や卒業枠、後継者支援枠などは上限が200万円に設定されています。他にも操業枠やインボイス枠といったものも用意されており、これらも上限は200万円です。
サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金
「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」は、国民の健康的な生活に重要となる製品や部品、素材の生産及び供給を確保するためのサポートを目的とした補助金です。
対象者は大企業と中小企業で、A・B・Cの3種類のサービスから選択できます。
この3種類のサービスは、それぞれ補助率が異なります。
DXの補助金についてはこちらの動画もおすすめです。
DXの補助金を受けるメリット
DXの補助金に興味はあるけれど、周囲の人を説得しなければDXの補助金の利用に踏み切れないというケースもあるでしょう。具体的なメリットを理解しておけば、周囲の人を説得しやすくなるかもしれません。DXの補助金のメリットには下記の2つがあります。
- 資金の返還が不要
- 融資が受けやすくなる
資金の返還が不要
何処かの金融機関からDXのための融資を受けた場合は、資金の返還が必要なケースが多いでしょう。その資金の返還に利子が付けられていれば、さらに返還額は大きくなります。
そうなればDXの導入を進めるときには、資金の返還を優先しがちという問題が出てきます。
DXの補助金を利用することで得られるメリットの1つが、資金の返還が不要である点だと考えられます。受け取ったDXの補助金に返還の義務はないので、DX事業への大胆な資金投入が可能になるでしょう。
融資が受けやすくなる
金融機関からのDXのための融資を受ける場合に「DXの補助金の採択を受けた」という実績が役立ちます。DXの補助金の採択率は高くないものが多く、その採択を受けた企業は「国や自治体から技術を評価されている」と考えられています。国や自治体から評価を受けている企業に対しては、金融機関も優遇してくれる可能性が高いです。
DX化で補助金を受ける際の注意点
DXの補助金にはメリットだけでなく、申し込み前に知っておきくべき注意点もあります。
DXの補助金の注意点には下記の4つがあります。
- 補助金には審査がある
- 事務処理を行う必要がある
- 経費の立て替えが必要
- 申請期間が短いものが多い
補助金には審査がある
DXの補助金は誰でも受けられるものではありません。それぞれの補助金には審査があり、その審査をクリアした企業だけがDXの支援を受けられるというシステムになっています。
DXの補助金ごとに採択率も異なり、例えば「事業再構築補助金」の場合は採択率が30%から50%程度です。
事務処理を行う必要が出てくる
DXの補助金は税金が財源となっています。
そのためDXの補助金申請を行う場合には事務書類の提出を求められます。
その書類の数が多いので、事務作業に割く時間が増えてしまうというのも注意点の1つです。
事務作業に時間を割いたのに審査が通らなかったとなれば、企業にとっては大きな痛手となる可能性もあります。そのようなリスクも考慮した上で、DXの補助金申請を進めていくことが大切でしょう。
経費の支払いでは立て替えが必要
DXの補助金の支給は後払いが原則となっています。
取り組みが終了した後でDXの補助金が支払われる形になるため、経費の支払いでは企業の立て替えが必要です。高額なサポートでDXを促進するためには、事前にキャッシュフローを考えておく方がいいでしょう。
申請期間が短いものが多い
DXの補助金の申請期間は短いものが多いといえます。不十分な内容で申請してしまうケースや申請に間に合わないケースも考えられるので、申請期間を意識したスケジュール管理も重要です。
補助金申請の前にDX導入についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。
DXの補助金についてまとめ
DXの補助金は上手く利用できれば事業の拡大や再構築に役立てることができます。
全ての企業がDXの補助金を受けられるわけではありませんが、応募条件を満たしている場合は思い切って補助金の申請を進めてみるのも良いでしょう。
補助金を使ってDXを推進していけば他社との競争で一歩リードできるかもしれません。