パソコン上で設計を行うCADは、「Computer Aided Design」の略称で、設計図が必要とされる建築をはじめ機械や製造、アパレルなどの業界で使用されています。CADは2DCADと3DCADの2つに分けられ、今回紹介する3DCADは立体形状の製図に特化したものです。本記事では、3DCADの資格にはどのようなものがあるのか、資格を取得することでどのようなメリットがあるのか解説します。
3DCADの資格は必要?
3DCADの資格を取得するために学習したり、資格を取得したりすることで得られるメリットは一体何でしょうか。
3DCADの資格があれば、能力の証明になる
CADソフトは様々な種類があり、使用するCADソフトや作業に応じて資格も様々です。CADオペレーターとして働く上で資格は必ずしも必要ではありませんが、資格があると自身の能力の証明となります。資格を取得することで、その分野で必要とされる知識やスキルが身についているという客観的な証となるため、アピールにもなるでしょう。
資格学習を通して学び直せる
資格取得の学習を通して、基礎から知識や技術を見直すことができます。3DCADにおける必要なスキルの強化にも繋がるため、資格取得はおすすめです。
3DCADの概要については、以下の記事をご参照ください。
3DCADの資格6選
ここからは、3DCADに関連する資格を紹介します。どの資格を取得するか悩んでいるなら、ぜひ参考にしてみてください。
3次元CAD利用技術者試験
3次元CAD利用技術者試験は、一般社団法人コンピュータ教育振興協会が主催する3DCADの資格です。機械や製造系で3DCADオペレーターとして従事する人向けの資格です。比較的ポピュラーな資格のため、どの資格を取得するか迷った時におすすめの資格でしょう。資格は「2級」「準1級」「1級」とレベル別に3つに分けられています。上位の級の試験を受験するには、下位の級の試験に合格しなければなりません。
試験内容は、2級は筆記試験で行われ、3次元CADの概念、3次元CADデータの管理と周辺知識が出題されます。準1級、1級は実技試験で、CADリテラシーや形状認識能力、2次元図面からのパーツモデリング能力などが問われます。
なお、実技試験の解答はマークシート形式です。試験は年2回行われていますが、2級に関しては随時開催されているため、いつでも申込みできます。受験料は、以下の通りです(2024年1月時点)。
試験 | 受験料(税込み) |
1級 | 16,500円 |
準1級 | 11,000円 |
2級 | 7,700円 |
3次元設計能力検定試験
3次元設計能力検定試験は、3次元設計能力検定協会が主催する試験です。3次元CADオペレーション能力や機械設計の基礎能力を証明する資格として実施され、以下の3つのコースに分かれています。
- 3次元CADコース
- 図面作成コース
- プロ設計者コース
3次元CADコースは、3次元CADオペレーター向けの資格、図面作成コースは3次元CADを使用する製図技術者向け、プロ設計者コースは3次元設計技術者向けの資格としておすすめです。
試験内容は、筆記及び実技で行われます。3次元CADコースでは、事前に与えられた実技課題でCADデータを作成します。図面作成コースでは3次元CAD実技、JIS製図、交差設計が出題され、プロ設計者コースでは3次元CAD実技の他、機械設計7つ道具が出題範囲です。試験は年2回実施され、誰でも受験できます。受験料は、以下の通りです(2024年1月時点)。
試験 | 受験料(税込み) |
3次元CADコース | 8,000円 |
図面作成コース | 10,000円 |
プロ設計者コース | 15,000円 |
Space Designer検定試験
Space Designer検定試験は、一般社団法人コンピュータ教育振興協会が主催する試験です。建築図面の理解力や、3DCADを使用した3Dパース画とデザイン提案書作成能力を評価する試験です。住宅のリフォームやリノベーションなどでの需要が多く、建築やインテリアデザイン業界で活躍したい人におすすめの資格でしょう。試験は、年齢や学歴に関係なく誰でも受験できます。
資格は、以下の2つに分かれています。
- Standard
- Expert
いずれも事前に配布された課題を提出して評価を受ける、課題提出型の試験です。試験は年1回実施されます。受験料はいずれも税込みで、Standardが8,800円、Expertは16,500円です(2024年1月時点)。
CAD実務キャリア認定制度
CAD実務キャリア認定制度は、一般社団法人コステックエデュケーションが主催するCADの認定制度です。試験は、以下の3種類に分かれています。
- 3次元CADトレーサー認定試験
- 3次元CADアドミニストレーター認定試験
- CADアドミニストレーター認定試験
そのうち3DCADに関する試験は「3次元CADトレーサー認定試験」と「3次元CADアドミニストレーター認定試験」の2つです。資格を取得することで、CAD利用に関する実務的なスキルを証明できるでしょう。
試験は基本的に在宅試験となるため、パソコンやCADソフト、ネット環境が整っている必要があります。試験は実技試験のみで、3次元CADトレーサー認定試験と3次元CADアドミニストレーター認定試験の2つは事前課題があります。試験は年2回実施され、受験料は以下の通りです(2024年1月時点)。
試験 | 受験料(税込み) |
3次元CADトレーサー認定試験 | 13,600円 |
3次元CADアドミニストレーター認定試験 | 10,500円 |
CADアドミニストレーター認定試験 | 7,300円 |
Vectorworks操作技能認定試験
Vectorworks操作技能認定試験は、エーアンドエー株式会社が主催する試験です。Vectorworksの基本的な操作や機能について理解し、使いこなせているかを証明する資格です。Vectorworksは、汎用CADソフトとして幅広い業界で使用されており、とりわけインテリア設計に強いCADソフトのため、インテリアデザインなどの仕事に従事したい人はこの資格を取得しておくと強みになるでしょう。
試験は随時行っているため、時間や場所を問わず自分の好きなタイミングで受験できます。また、受験終了後すぐに合否判定が行われるのもこの試験の特徴です。出題内容は、Vectorworksで作図する上での作業環境や2次元・3次元、ワークシートなどの基本操作などを中心に出題されます。受験料は税込みで、3,300円です(2024年1月時点)。3D作図や3D加工、編集も出題されるため、3DCADスキルを証明する資格として役に立つでしょう。
オートデスク認定資格プログラム
オートデスク認定資格プログラムは、AutoCADをはじめとするオートデスク社の製品を使用するにあたって身につけておきたい知識や操作方法、活用スキルを評価する資格です。CADに関する世界共通の認定資格として知られています。世界で通用するCADスキルを証明する資格を取得したいなら、オートデスク認定資格プログラムがおすすめです。ユーザー数も多く、導入している企業も多いため、資格があることでニーズの高い人材になれるでしょう。
試験は、以下の3種類に分かれています。
- AutoCADユーザー試験
- Revit Architectureユーザー試験
- Fusion 360ユーザー試験
いずれも3Dのパーツモデリングや3Dプリントと付加製造といった3DCADに関する内容が出題されます。試験日程や受験料は、問い合わせが必要です。
DX関連の資格については、以下の記事を参考にしてみてください。
3DCADの資格を取得するメリット
3DCADの資格を取得すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に紹介していきます。
将来性のある分野で手に職をつけられる
3DCADスキルは機械メーカーや自動車メーカー、製造、建築など幅広い分野で重宝されるスキルです。3DCADの普及が進むことで、今後もますます需要が見込まれる分野だと言えるでしょう。そうした将来性のある分野に関する専門知識やスキルを、資格取得の学習を通して身につけられるのが3DCADの資格を取得する上でのメリットです。2DCADよりも専門性が高く、人材も不足していることから、確実に手に職をつけられるでしょう。
就職や転職、キャリアアップに有利
3DCADの資格を取得することで、自身の3DCADのスキルを客観的に証明できるため、就職活動や転職活動時のアピールになります。即戦力を求める企業は多く、3DCADの資格を持っていることで即戦力として働けることをアピールできます。また、資格を取得していることでモチベーションが高い人物だと評価してもらえる可能性も高く、資格があることで、就職や転職、キャリアアップにおいても有利になるでしょう。
資格があることで信頼度が上がる
どんな資格にも言えることですが、資格を取得することでその分野における専門的な知識やスキルを有した専門家としての信頼度が上がります。3DCADのような専門的な分野であれば特に、資格を取得していることで雇用主や取引先も安心して仕事を任せられるなど、信頼を得やすくなるでしょう。
自らの学びの証明になる
資格は、取得するまでの努力や成長を目に見える形にしたものでもあります。自らの学びや努力の証明として、取得した資格は今後のモチベーションにも繋がるでしょう。
職業選択の幅が広がる
3DCADが導入されている業界は幅広く、機械・製造メーカーの3DCADオペレーターから建築、アパレルなど設計図を必要とする業界は広がりを見せており、3DCADの資格を持っている人の需要は高まっています。そのため、業界を超えたキャリアの選択肢が増えるのも、資格を取得するメリットと言えるでしょう。
3DCAD資格を取得して、仕事の幅を広げよう
3DCADオペレーターは資格がなくてもなれる職業とはいえ、資格があることで様々なメリットが得られます。3DCADの資格はいくつかあるため、自分の仕事やなりたい職業に必要な知識やスキルが身につく資格を選ぶのが大切です。基本的に試験は年齢や学歴といった制限なく、誰でも受験できるのも魅力でしょう。就職や転職、キャリアアップにもアドバンテージとなる3DCAD資格、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。