3Dプリンターに興味があるけれども、色々造形方式や種類があって何を選んだらよいか分からないという人は少なくありません。そこでおすすめなのが光造形方式の3Dプリンターです。
では光造形方式の3Dプリンターとは具体的にどういうものか、またおすすめの機種と、光造形方式の3Dプリンターを使うメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。
光造形の3Dプリンターとは
光造形の3Dプリンターは、紫外線を照射する事で硬くなる特殊な樹脂素材であるレジンというものを使って、造りたいものを1層ずつ印刷していく3Dプリンターです。
3D造形物を作る場合はスライサーというソフトを使って、グラフィックを沢山の層に分け、その分けられたデータに沿って印刷していくという形です。
使用する樹脂素材のレジンは色々な種類があります。ゴムのようなものからプラスチックのような質感のものまで幅広いのが特徴です。その為色々と質感を再現する事が出来ます。
その他の3Dプリンターの造形方式はこのようになっています。
方式 | 強度 | 造形速度 |
---|---|---|
MEX(材料押出法) | 良い | 普通 |
光造形 | 普通 | 普通 |
マテリアルジェッティング | 普通 | 普通 |
バインダージェッティング | 弱い | 速め |
粉末焼結積層造形 | とても良い | 遅め |
光造形 | 普通 | 速め |
おすすめの光造形3Dプリンター9選
それでは、おすすめの光造形の3Dプリンターを9つピックアップして比較してみました。
今回は価格やそれぞれの特徴、仕上がりの良さなどをみています。
1.Foto8.9
メーカーはFLASHFORGEです。プリントレイヤーがミクロン単位なので、細かいパーツの出力に向いている光造形3Dプリンターです。表面が滑らかに出来上がるので、いくつもの層を積み上げて作っていってもその層の痕が目立たないので自然な出来上がりになります。その為特にフィギュア制作に向いています。価格は約78,000円程です。
2.Foto8.9s
同じくメーカーはFLASHFORGEです。紫外線照射のムラを低く抑える事で、前機種のFoto8.9より高精度の造形が可能です。よりディテールにこだわりたい人に向いています。価格は約96,800円程です。
3.Photon Mono 4k
メーカーはANYCUBICです。初心者向けで組み立てと設置も簡単に出来ます。またトップカバーは99パーセント以上紫外線が遮断される仕組みになっているので、作業中も安心です。1層を造形するのにわずか1.5秒程なので、素早い造形が可能となっています。
また日本語マニュアルもアップロードされているので安心ですし、ほとんどのレジンも使う事が出来るので便利です。価格は約50,000円程です。
4.Saturn2
メーカーはElegooです。赤いカバーが特徴的で、最大造形サイズも高さが約25センチ、幅も約22センチと比較的大きなサイズのものを作る事が出来ます。また小さなものを同時に複数体作れるので量産したい人にも向いています。他にも空気清浄機能もついている為、作業中のレジン独特の臭いを防げるというのも特徴です。製品を購入後、発送時にはメールで日本語マニュアルも送付されるので安心です。価格は約80,000円程です。
5.Sonic Mighty 8K
メーカーはPhrozenです。安定した高品質な造形が出来るのが特徴で、最大造形サイズは高さが約23.5センチ、幅が約22センチです。タッチパネルは5インチあり、日本語対応なので安心です。さらにLCDパネルの解像度は4kを超える8kなので、より精密な造形物を作りたい人に向いています。価格は約99,800円です。
6.Photon Mono X 6K
メーカーはANYCUBICです。LCDパネルの解像度は4kを超える6kです。8Kほどの細かさは必要ないけれども、4kでは少し物足りないという人に向いています。価格は約70,000円程です。
7.Photon S
メーカーはANYCUBICです。ANYCUBICは色々3Dプリンターを出していますが、Photon Sは最もサイズが小さな製品で、初心者が入門用として購入するのに向いています。造形出来るサイズは高さが約11.5センチと大きくはないですが、造形物のクオリティは問題ありません。価格も50,000円以下で購入出来ます。
8.Mars 3 pro
メーカーはELEGOOです。高い精度での造形が可能で、造形出来るサイズの高さは約14センチほどですが、冷却ファンによる耐久力の高さが特徴で、造りたいものが沢山あるという人におすすめです。価格も40,000円台で購入する事が出来るので、あまりコストをかけられないという人に向いています。
す。
9.Phrozen Sonic Mini 8K
メーカーはPhrozenです。解像度は8Kで、高い精度があるので細かいものを作るのに向いています。仕上がりもきれいで、積層痕もほとんど気になりません。その為完成後の処理をする必要もほとんどないというのが魅力です。操作はタッチパネルなので簡単です。価格は70,000円台で購入する事が出来ます。
スタッフがおすすめする3Dプリンターは下記記事でも確認することができます。
光造形の3Dプリンターを使うメリットとは
光造形の3Dプリンターを使うメリットは色々あります。
迅速な量産が可能
光造形の3Dプリンターで使用するレジンは他の造形方式で使われる素材と比べても、熱する時間が短い為出力もスムーズです。その為造形物を素早く量産する事が出来ます。
仕上がり精度が良い
光造形の3Dプリンターは変形が少なく、解像度も高いのできれいに造形物を仕上げる事が出来ます。その為顔等細かいグラフィックの正確さが求められるフィギュアや部品のプロトタイプを作る時に向いています。
なめらかな質感が再現可能
光造形の3Dプリンターで使用するレジンには色々な種類があり、液体素材のものもあります。その為造形時になめらかな質感を再現する事が出来ます。
高い透明性を確保出来る
透明性の高いフィギュア等を作れるというのもメリットです。例えばナチュラルカラーのレジンを使って3Dプリンターで造形物を作成し、出来上がったものを研磨しトップコードを塗って仕上げれば、透明度の高い造形物を作る事が出来ます。またアクリル系のレジンを使う事で、高い透明性を維持したまま造形物が作れ、仕上げに研磨すればさらに透明度を際立たせる事も可能です。
光造形3Dプリンターを使うデメリット
光造形3Dプリンターには色々とメリットがある一方で、デメリットもいくつかあるので確認しておきましょう。
サポート材の除去をしなければならないので面倒
光造形3Dプリンターを使う場合、サポート材が必要です。サポート材とは、造形物を作る過程で支えや土台、足場となる材料を意味します。例えば浮いているような構造の造形物だと、造っている最中に浮いている箇所が自重でつぶれてしまう恐れがあります。それを防ぐ為にサポート材が必要となります。
サポート材がいる場合は、まずスライサーソフトで設置してから造形しなければなりません。さらに3Dプリンターで印刷する時に、サポート材も一緒に造形される為、造形物が完成した後に不必要となったサポート材は取り除きます。この手間が面倒と感じる人もいるのでデメリットです。
造形物によっては洗浄が必要
レジンを用いて完成した造形物には余計なレジンがくっついています。光造形3Dプリンターではこの余計なレジンを洗い流す必要があります。レジンによっては水で洗い流せるものもありますが、一般的にはエタノールを使って洗い流します。水で洗うにしてもエタノールで洗うにしても、その洗ったものにはレジンの樹脂が含まれるので下水に流す事が出来ないというのがデメリットです。この洗浄が面倒だという人には、水道水や洗剤で洗浄出来、べたつきも少ない水溶性のレジンの「エキマテ」があるので、これを使って造形物を作ると良いです。この「エキマテ」を使えば直接下水道に洗浄した水を流す事が出来るので便利です。
CADソフトが必要
また、3Dプリンターで造形をするには3DCADソフトが必要です。CADデータを3Dプリンターに取り込む手順がわからない人はこちらを参考にしてください。
光造形3Dプリンターは比較して選ぼう!
光造形3Dプリンターと言っても色々と種類があり、価格も幅広いです。また大きな造形物を作れるものは、ある程度値段はするので、初心者はまず小さなサイズのものを作れるリーズナブルなものから試してみると良いです。とにかくよく見極めて、自分に合った製品を選ぶという事を心がけましょう。