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AI 製造業でAIの活用を成功させるには? 失敗の要因も解説

【2024】製造業でAIの活用を成功させるには?失敗の要因も解説

多くのビジネス現場でAIの導入・活用が進んでいる昨今、製造業でも大手企業だけでなく中小企業においても導入の動きが広まりつつあります。製造業の市場が激化する中で業績の向上を目指すにはAIを活用した業務効率化は現代において必須と言えるでしょう。

AIを活用して属人化の脱却が求められる製造業では、AIの導入を検討している企業も多いのではないでしょうか?
しかし、AIはただ導入をすればいいわけでなく目的の明確化と検証を行う必要があります。

そこで本記事では、製造業におけるAIの活用事例を紹介するとともに、導入に失敗しないためのポイントを詳しく解説します。

製造業におけるAIの現状

製造業におけるAIの導入は必須になると冒頭で述べていますが、世界各国のAI導入割合における日本の導入率は主要先進国の中でも、かなり低い位置付けとなっています。

その理由として、国内のAI技術者不足にあると考えられます。国内のAI技術者は大手企業に就職する傾向があり、AI関連サービスは大手企業を中心に事業展開が進んでいます。そのため、中小企業におけるAI技術者の就職率は減少、技術が広まりにくい傾向にあります。

実際に中小企業庁が公表した調査結果でも、中小企業の45%が「AI技術やノウハウをもった人材が不足している」と回答しており、早急な対策が求められます。

製造業における国内のAI活用状況

全体 10.9%
大企業 16.5%
中小企業 5.6%
製造業 11.6%
非製造業 10.3%
提供側 34.7%
利用側 9.4%

出典:総務省 令和元年版 情報通信白書(IoT・AIの導入状況と今後の意向)

なぜ製造業でAIの導入が進んでいる?

なぜ製造業でAIの導入が進んでいる?

主要先進国と比較すると日本のAI導入率は低いと前述していますが、年々AI導入率は増加傾向にあります。
なぜAIの導入が進んでいるのかを以下3点解説していきます。

  • 人員不足
  • 競争の激化
  • 技術の継承

人員不足

製造業でAIの導入が進んでいる理由として、人員不足が大きな理由として挙げられます。そして人員不足が起きる要因は少子高齢化による労働人口の減少です。

実際に総務省統計局の労働力調査では、2012年時点で15歳〜64歳の人口は8,055万人に対し、2022年時点で7,413万人と減少していることがわかります。少子高齢化による労働人口の減少はこれからも進んでいくとされており、人員不足を補うためのAIの導入・活用は増加していくとされています。

競争の激化

製造業の市場における競争の激化は増しており、これからも競合他社との競争激化は深刻化していくと考えられます。

なぜなら、デジタル化によって中小企業でも製品の製造が容易に行えるようになり、製品自体の差別化が難しくなったことが挙げられます。競合他社との差別化が難しくなれば、低価格で高品質な製品の製造を求められるようになってきます。

そうなれば、業務の効率化が競合他社との差別化を測る手段となり、人間による手作業よりもミスが少なく高品質・短時間での大量製造が可能なAIの導入が進んでいくとなります。

技術の継承

日本の製造業は高い技術力を保持していることで、世界に劣らない製品の製造を行ってきました。しかし、団塊世代の大量退職を機に高い技術力を若年世代に受け継ぐことができず、技術力の低下がAI導入の引き金となりました。

また、本記事の「製造業におけるAIの現状」でも前述した通り、数少ない高い技術を保持している人達が大企業に就職していくことで中小企業への技術継承は減少します。結果的にAIの導入を余儀なく迫られることになるのです。

製造業におけるAIの活用事例

製造業におけるAIの活用事例

製造業ではAIの活用で様々な業務の効率化に成功しています。ここからは製造業務のAI活用事例を3点紹介します。

  • AI-OCRで効率化
  • AIロボットにおける倉庫管理
  • 製品検査における精度向上

AI-OCRで効率化

製造業の現場では、製品の検査記録や取引先からの伝票など日々多くの手書き業務が発生します。また、手書き帳票は全てデータ化するためにパソコンに打ち込む作業もかなりの負担になります。
この一連の作業は多くの人員が必要になるだけでなく、ヒューマンエラーや本来の業務への時間が削られたりと効率がいいとは決していえない状況でした。

しかし、AI-OCRとRPAを組み合わせることで大幅な業務効率化に成功します。

手書きで入力した検査記録をAI-OCRで読み取り、簡単にデータ化を実現します。その後RPAで入力業務を削減できデータ管理も全てRPAで行うことができます。

AIロボットにおける倉庫管理

工場での倉庫管理は規模が大きくなればなるほど、人員が必要になる上に人件費も必要になります。特にピッキング作業や在庫の管理はかなりの労力がかかります。従来はロボットによる作業での効率化を行っていますが人間が操作をする以上、限界があります。

そこでロボットにAIを搭載し、倉庫の管理を全自動化する業務の効率化が進んでいます。

例えば、荷物のピッキングにおいてAIロボットに在庫の位置を把握させれば最短の経路をAIが認識し、自動で在庫の場所へと向かいます。経路の途中に人間がいるとAIが危険を察知し、事故が起こることもありません。また、在庫が少なくなればAIがパソコンと連動して在庫の発注を行うこともできます。

ロボットとAIの連携による効率化は以下の記事を合わせてご覧ください。

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製品検査における精度向上

工場では製品検査において目視での確認が一般的ですが、小さな傷や深部にある傷は見落としてしまうこともあります。不良品の見逃しは品質の低下を招きます。こうした外観検査を全てAIで自動化することで、高品質・精度の向上が見込めます。

AIによる確認で深部にある傷も確認することができ、不良品の見逃しを大幅に減少することが可能になります。また、AIは3Dデータ(CADデータ等)や動画にも対応し、深さ・奥行など複数の角度方向からの確認を行うことができるため、高い精度を実現できます。

製造業におけるAIの活用事例は下記記事でも紹介していますので、あわせてご覧ください。

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製造業でAIはどのように活用できる?導入ポイント・活用事例を紹介

製造業におけるAIの企業事例

製造業におけるAIの企業事例

ここからはAIの活用を企業事例で紹介します。実際に業務効率化に成功している企業を以下3社紹介します。

  • 株式会社グッデイ
  • キューピー株式会社
  • 富士通グループ

株式会社グッデイ

株式会社グッデイ

引用:株式会社グッデイ

株式会社グッデイはホームセンター事業で北部九州を中心に65の店舗を展開する企業です。

8万点にものぼる商品数を取り扱っており、AI導入前は発注業務を在庫数と過去の販売データとを照らし合わせながら人間の手で行っていました。しかし、人間に発注を委ねることでどうしても在庫に過不足が発生し、商機を逃してしまう場面もありました。

そこで販売数を予測し発注量を最適化するAIを導入しました。AIに販売実績データや気象データを学習させ、AIが発注量を決定します。

結果として、園芸用殺虫剤ではAIの402個の予測結果に対して、413の実売とおよそ98%の精度を得ることが実現しました。

キューピー株式会社

キューピー株式会社

引用:キューピー株式会社

キューピー株式会社はマヨネーズなどの調味料を主力としている日本の食品メーカーです。

キューピーは惣菜の原料となるカット野菜の検査をAIによって自動化しました。これまで野菜の検査工程は目視で行い規定外の形状や変色した野菜を取り除いていました。しかし、人の目による検査は作業者の身体的負担も多く、人による検査は限界がありました。

そこでAIを導入、本来であれば不良品のパーターを学習させることが一般的ですが、形状や色など不良のパターンは無限にあり高い精度を出すのは困難です。AIによる検査ではディープラーニングを活用した、画像解析による良品選別を行います。

これにより良品以外を不良品として検出し、飛躍的な精度向上を実現させました。

株式会社富士通研究所

富士通

引用:富士通

株式会社富士通研究所は富士通グループの研究開発の中核をなす子会社です。

これまで検査工程の現場では、検査員が大まかな形状や細部の構造、質感などの特徴を基に、良品か不良品かを判断していました。例えば形状のひずみ検査では大まかな形状を、状態や柄の検査では質感を重要視しています。
しかし、検査員による検査には限りがあり必ずミスを起こしてしまいます。

そこで、製造ラインの検査工程で不良品と判断された製品の異常についての画像がなくても、人工的に異常を付加した製品の画像を生成しながらAIモデルを学習させることにより、キズや加工ミスといった外観の多種多様な異常を高精度に検出する画像検査AI技術を用いることで、製品の検査工数を25%削減を実現しました。

製造業におけるAI導入失敗の要因

製造業におけるAI導入失敗の要因

製造業の多くの現場でAIへの導入が進んでいますが、導入・活用に失敗する事例もあります。
なぜ失敗してしまうのか?その要因以下3点を解説します。

  • 現場検証不足
  • 従業員の理解度不足
  • 不明確な課題や目的

現場検証不足

AIを導入する際は現場検証を十分に行い、費用対効果を見極めることが重要です。

例えば工場の生産ラインにおいて検品にAIを導入するとします。今まで検品を行っていた作業員の人件費や業務時間の削減ができたとして、AIの開発・導入費用、ランニングコストが上回れば費用対効果は低いといえます。また、コストの削減には成功しても業務の効率化ができていなければ導入は失敗といえます、

現場検証の際は、AIで効率化する業務に対して「どのくらいの時間が削減できるのか」「導入前には何人で作業を行っていたのか」など現場の検証を十分に行い、導入・活用しましょう。

従業員の理解度不足

AIを導入する際は現場への理解・協力を求めることは必須と言えます。

現場にAIを導入してもすぐに業務の効率化が見込めるわけではありません。まずは必要なデータを取得し、AIに学習させることで効率化が見込めます。
しかし、現場への協力を求めずAIを導入すると「今の時期は忙しくてデータの収集に協力できない」と従業員が非協力的になることでデータの収集は困難になり、結果的に導入に失敗してしまうのです。

従業員への周知・協力はAI導入成功のためにも必然ですので、導入前に従業員の理解を仰ぎましょう。

不明確な課題や目的

AIの導入に失敗する要因として「導入が目的」となることです。その結果、「導入したけど使い方がわからない」といったケースが起こります。

競合他社の成功事例を見て、自社でも導入すれば良いというわけではありません。自社の「どの業務に」「どんな課題が解決できるのか」をしっかりと明確にし、導入しましょう。

製造業へのAI導入は必須になる

製造業へのAI導入は必須になる

本記事では、製造業におけるAI導入の概要・事例・失敗する要因について解説しました。

製造業界におけるAIの導入は必須となってくると予想されます。なぜなら、差別化が難しくなる昨今では業務の効率化をどれだけ行えるかが重要となってくるからです。
大手企業のみならず中小企業でもAI導入が進んでいる現代では、本記事を参考に検討してみてはいかがでしょうか。

また、「AI導入に一度失敗している」「導入が成功するか不安」という方は下記で紹介するサービスも検討してみてください。

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