自動車・電気製品・産業用ロボットなど、さまざまな機械製造を支えているのが工作機械で、工作機械失くして今後の製造業の発展は見込めません。
近年では国内外でさまざまなメーカーが多機能な工作機械の製造・販売を手掛けているのが現状です。
本記事では工作機械メーカー13社を紹介し、最新技術や今後のビジョンを解説します。
日本のものづくりを支える工作機械
工作機械は自動車や産業機械など、多様な機械の部品を製造するための「機械を作るための機械」であり、その働きから「マザーマシン」とも呼ばれています。
日本の工作機械産業は世界と比較してもトップレベルに推移し、世界的な企業別売上ランキングでは日本の工作機械メーカーが上位に名を連ねています。
その要因として日本では東海地方を中心に電気製品や自動車を大量生産する企業が多く、それらの企業を支えるべく多くの工作機械が導入されている点が考えられます。
工作機械の現状と今後の課題
今までの工作機械業界はドイツと日本の「2強体制」でしたが、2008年のリーマンショック以来は中国や台湾、韓国などの新興国が次々に市場に参入しました。
そのため近年の工作機械市場では低・中品質の製品が市場の中心となり、高品質・高価格を基準とした日本メーカーは世界的な需要に沿えていないのが現状です。
このような状況を打破するため、近年は工作機械とAIやIoTなどの技術を組み合わせた製造業DXや、スマートファクトリーによる生産効率向上が推進されています。
下記に製造業DXとスマートファクトリーを詳しく解説した記事を添付しますので、自社導入時の参考にして下さい。
世界的に有名な工作機械メーカー13社を紹介
現在は製造業をはじめとした多様な産業で活躍している工作機械ですが、どのようなメーカーで製造されているのでしょうか。世界的に有名な日本の工作機械メーカーには
- ヤマザキマザック
- アマダ
- オークラ
- DMG森精機
- ジェイテクト
- 牧野スライス製作所
- コマツNTC
- アイダエンジニアリング
- ソディック
などのメーカーが挙げられます。では世界的に有名な工作機械メーカー13社を下記に表記し、それぞれを詳しく解説します。
| メーカー名 | 特徴 |
| ヤマザキマザック | マシニングセンタやレーザ加工機、5軸加工機や複合加工機、ハイブリッド加工機からCNC旋盤まで多様な製品を製造・販売 |
| アマダ | 金属加工機の製造・販売のほかにも賃貸や修理、保守点検や検査業務など幅広い業務を手掛けている |
| オークマ | 1963年には日本の工作機械メーカーとして初めてNC装置「OSP」を開発 |
| DMG森精機 | 現在は工作機械とITやIoTの連動のための、デジタルソリューションの開発にも注力 |
| 株式会社ジェイテクト | 研削盤やマシニングセンタなどの工作機械を中心にさまざまな機械を製造・販売 |
| 牧野フライス製作所 | 高機能・高性能なマシニングセンタの製造・販売を強化 |
| コマツNTC | 工具摩耗監視アプリや設備診断補助アプリなど、多様なITシステムを提供 |
| アイダエンジニアリング | 材料供給装置や搬送ロボット、製品取り出し装置など生産に必要な周辺機械の製造販売も手掛けている |
| ファナック株式会社 | ロボット、FA、ロボマシン事業など多岐に渡る事業を展開 |
| 株式会社ソディック | 独自のVライン方式を導入した射出成型機、製麺装置など幅広い機械製品の製造・販売 |
| 岡本工作機械製作所 | 各種研削機械だけでなく、砥石やホイール、バイスなどをはじめとした周辺機器の製造・販売 |
| 株式会社スター精機 | 射出成型機用取出口ロボット分野で、トップシェアを誇る工作機械メーカー |
| 株式会社TAKISAWA | マシニングセンタや旋盤、複合加工機など多岐に渡る工作機械を製造・販売 |
ヤマザキマザック
2019年で創業100年を迎える、日本の老舗工作機械メーカーがヤマザキマザックです。
マシニングセンタやレーザ加工機、5軸加工機や複合加工機、ハイブリッド加工機からCNC旋盤まで多様な製品を製造・販売しています。
現在は企業全体で工作機械とAIやIoTとの連結による自動化やIoTソリューション化を進めており、世界的な市場ニーズに対応しています。
引用：ヤマザキマザック
アマダ
アマダは子会社・関連会社を含めた90社で構成され、金属加工機械の製造・販売を手掛けています。
金属加工機の製造・販売のほかにも賃貸や修理、保守点検や検査業務など幅広い業務を手掛けているのも特徴的です。
金属加工に関わる板金機械や切削、研削盤やプレス、精密溶接などの事業を手掛けています。
さらに幅広い事業を制御するコンピューターやソフトウェアなどのIT関連機器の提供やメンテナンスが可能な点も強みです。
オークマ
1898年に創業を開始し、創業から12年を超える老舗工作機械メーカーがオークマです。
1963年には日本の工作機械メーカーとして初めてNC装置「OSP」を開発し、生産を自律的に判断する工作機械のスマート化に成功しました。
現在は旋盤やマシニングセンタ、門型マシニングセンタや複合加工機のほかに、5軸制御マシニングセンタや超複合加工機などの精密加工が可能な工作機械の製造・販売を手掛けています。
DMG森精機
ドイツの工作機械メーカーであるDMG社と資本・業務提携を結び、世界的な販売シェアを持つ大手工作機械メーカーがDMG森精機です。
NC旋盤をはじめとした切削機械や5軸マシニングセンタ、複合加工機など幅広い製品の製造・販売を手掛けています。
現在は工作機械とITやIoTの連動のための、デジタルソリューションの開発にも注力しているのも特徴的です。
株式会社ジェイテクト
株式会社ジェイテクトは多種多様な切削機械を製造・販売している工作機械メーカーです。
トヨタグループの企業の工作機械メーカーとして有名で、研削盤やマシニングセンタなどの工作機械を中心にさまざまな機械を製造・販売しています。
またジェイテクトは自動車メーカーのグループ企業の強みを生かし、自動車部品の製造・販売事業も積極的に手掛けています。
引用：株式会社ジェイテクト
牧野フライス製作所
フライス盤の製造・販売に特化し、国内だけでなく海外に及ぶ幅広い販売シェアを持つ工作機械メーカーが牧野フライス製作所です。
同社は積極的な海外進出を手掛け、シンガポールや中国、アメリカやドイツなど世界各国に事業シェアを拡大しています。
現在は高機能・高性能なマシニングセンタの製造・販売を強化しており、特に航空機の部品製造に必要なマシニングセンタの製造を強化しています。
引用：牧野フライス製作所
コマツNTC
コマツNTCは工作機械の製造・販売のほかに、ワイヤソーや車載蓄電池製造など幅広い事業を展開している企業です。
研削盤やマシニングセンタのほかにクランクシャフト加工機やカムシャフト加工機など、幅広い工作機械を製造・販売しています。
さらにDXソリューションにも注力し、工具摩耗監視アプリや設備診断補助アプリなど、多様なITシステムを提供しているのも特徴的です。
引用：コマツNTC
アイダエンジニアリング
プレス機械の製造・販売に特化し、日本やアジア、アメリカやヨーロッパに至るまで幅広い生産拠点を有した工作機械メーカーがアイダエンジニアリングです。
アイダエンジニアリングはプレス機械業界では世界有数のブランドで、世界各地のユーザーから高い支持を得ています。
プレス機などの工作機械だけでなく、材料供給装置や搬送ロボット、製品取り出し装置など生産に必要な周辺機械の製造販売も手掛けている機械メーカーです。
引用：アイダエンジニアリング
ファナック株式会社
ファナック株式会社は国内だけでなく、世界中に多機能な工作機械を販売している工作機械メーカーです。
サーボやNC工作機械、レーザの製造技術に特化しており、それらの技術を活かしてロボット、FA、ロボマシン事業など多岐に渡る事業を展開しています。
現在は工作機械とAIやIoTなどの先進技術の融合に注力し、製造業のDX化やスマートファクトリーを推進している点も特徴的です。
引用：ファナック株式会社
ファナック株式会社
NC装置開発や、放電加工精度の研究を積極的に手掛けている工作機械メーカーがソディックです。
NC装置や放電加工機のほかにもスピードマシニングセンタや、独自のVライン方式を導入した射出成型機、製麺装置など幅広い機械製品の製造・販売を手掛けています。
さらにそれらの製品を制御するNC装置やリニアモーターも自社独自の技術を導入して製造・販売している点も強みです。
引用：株式会社ソディック
岡本工作機械製作所
岡本工作機械製作所は歯車研削を原点に、各種工作機械や半導体関連装置の製造・販売を手掛ける工作機械メーカーです。
歯車研削盤や平面研削盤など多様な研削機械を製造しています。
各種研削機械だけでなく、砥石やホイール、バイスなどをはじめとした周辺機器の製造・販売を手掛けているのも強みです。
現在は全自動研削と超能率研削加工、機上測定&自動補正研削加工、複合研削加工と超精密研削の5つの目的を掲げる「研削革命」をテーマとして運営しています。
株式会社スター精機
射出成型機用取出口ロボット分野で、トップシェアを誇る工作機械メーカーが株式会社スター精機です。
国内だけでなくアジアやオセアニア、アメリカやヨーロッパ、ブラジルなど幅広い販売シェアを確保しています。
工作機械の分野では、プレス間ダイレクト搬送ロボットやガントリーローダー、パレットチェンジャーやロボットハンドパーツなど多岐に渡る工作機械を製造しているのも特徴的です。
引用：スター精機
株式会社TAKISAWA
株式会社TAKISAWAは2022年に、株式会社滝澤製作所から社名変更した老舗工作機械メーカーです。
岡山県に本拠を構えて旋盤系の機械製造に特化し、そのほかにもマシニングセンタや旋盤、複合加工機など多岐に渡る工作機械を製造・販売しています。
引用：株式会社TAKISAWA
工作機械の最新技術である3Dプリンター
現在は積層造形で製品の成型・加工を実現した、金属積層3Dプリンターが製造業をはじめさまざまな業種で注目されています。
インクジェット3Dプリンターの導入により液体金属の加工が実現され、この技術の導入によって従来の研削加工ではできない複雑な造形も可能になりました。
今後は自動車や航空機産業を中心に3Dプリンターを活用した製造が展開される予定で、切削加工をメイン事業としているメーカーがDX化を推進するなどの対抗策を検討しています。
工作機械のIoT化で目指すビジョン
前述のような金属積層3Dプリンターなどの先進技術の影響を受け、工作機械業界では生産現場にIoTを導入し生産性を高める動向が強くなっています。
製造ラインのIoT化には数百万から数千万円単位の投資が必要ですが、十分な費用対効果を生むことも可能です。
IoT導入企業の中には、自社独自のノウハウにより低コストで開発したシステムが製品化されるケースも見受けられます。
このような観点からも製造業のIoT化は、今後の工作機械業界を牽引するビジョンといっても過言ではありません。
最適なメーカーを選んで最新技術を導入しよう
今回は有名工作機械メーカー13社を紹介し、最新技術や今後のビジョンを解説しました。
現在は多様なユーザーニーズに応える製品を開発するため、各企業とも高精度・高機能な工作機械を求めています。
また製造業のニーズに応じて、各メーカーともに最新技術を駆使した製品製造を展開しているのが現状です。
そのような状況下で自社の生産性を高めるためにも、本記事を参考にして最適な工作機械メーカーを選択して最新技術を導入してください。
