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PLM アパレル向けPLMシステムとは

【2024】アパレル向けのPLMシステムとは?効果や注意点・企業事例

アパレル製品を企画したり原材料を調達したりする際に、サプライヤと認識ズレが起きてしまうなど悩みを抱えていませんか?
トレンドに左右されるアパレル業界は、サプライヤと連携強化し、企画から販売までの期間をいかに短縮できるかがビジネスの成功鍵を握ります。

サプライヤと連携強化するためにPLMシステムを導入する企業が増えてきていますが、どのようなシステムなのでしょうか?
今回はアパレルPLMシステムについて解説します。

アパレルで利用するPLMシステムとは

PLMシステムとは商品ライフサイクル(企画・原材料調達・紡績・染色・裁断・輸送・販売・利用・回収・リユース・焼却)までのデータを一元管理するシステムです。

アパレル会社のデータを一元管理すると、以下のようなことができるようになります。

  • マスタ登録(商品・得意先・仕入先・勘定科目)の変更が行える
  • 追加発注を受けたとき、在庫数など瞬時に確認できる
  • 入荷予定日の変更や、減産などのイレギュラーの情報を社内全体に周知できる
  • コストを加味してサプライヤを選べるようになる

PLMシステムについて詳しく知りたい方は、下記の記事を読んでみてください。

【2023】PLMとは?機能や効果、主要ソフトウェアをわかりやすく解説

PLMとPDMの違い

PLMとPDMの違いを分かりやすくまとめると、以下の通りになります。
つまり、PDMが企画部で取り扱うデータを一元管理するシステムに対し、PLMは製品ライフサイクルを一元管理するシステムとなります。

  PDM PLM
誕生月 1990年代 2000年代
データ範囲 企画データ ライサイクルデータ
導入部門 企画部 全部門
目的 企画業務の効率化 モノづくり体制の強化

アパレルDXの推進

操作性 簡単 複雑
導入コスト 低い 高い

PDMとPLMの違いについて詳しく知りたい方は、下記の記事を読んでみてください。

【2023】PDMとPLMの違いとは?データ管理範囲や導入目的・機能を比較!

アパレルでPLMシステムを導入するメリット

アパレルでPLMシステムを導入するメリット

アパレル会社がPLMシステムを導入すると5つのメリットが見込めます。

部門連携を強化できる

PLMシステムで製品ライフサイクルのデータを一元管理すれば、部門間連携を強化していけます。例えば、企画部が定めた要件をデータで保存しておけば、製造時に要件を満たした商品であるかを確認しやすくなります。
部門間連携を強化すれば、認識ミスなどのトラブルがなくすことができるでしょう。

サプライヤとの関係を強化できる

PLMシステムはデータ閲覧の権限付与できるため、サプライヤに必要なデータのみ公開できます。サプライヤとのコミュニケーションを一か所に集約でき、コミュニケーションが取りやすくなります。

クラウド上でデータを共有すれば、リアルタイムの情報を瞬時に見れることも魅力です。

ハイブリットワークが実現できる

PLMシステムを導入すれば、外部のサプライヤと関係強化ができると説明しましたが、デザイナーがハイブリッドワークできる環境が整備できます。

近年、働き方改革が進んでおり、希望する働き方は1人1人異なってきました。
ハイブリッドワークを導入しておけば、優秀なデザイナーが採用しやすくなります。

企画から発売までの期間を短縮できる

PLMシステムを導入すれば、企画から販売までの期間を短縮できます。
なぜなら、欲しい情報に瞬時にアクセスできるようになるためです。

また、あらゆるデータにアクセスしやすくなるため、製品データの再利用などができます。
アパレル会社では取り扱う商品数が多いため、重複したデータ入力をしていることも多いです。
このような手間を失くせば、商品開発のスピードを上げていけるでしょう。
さらに、データ分析を行って、意思決定スピードを上げていけることも魅力です。

サプライチェーンを可視化できる

アパレル会社は、商品が「いつ」「どこで」「誰が」作ったか明らかにするために、企画から調達、販売、焼却までトレーサビリティを追跡していく必要があります。
PLMシステムを利用すれば、トレーサビリティを管理していけます。商品を販売する上で何かトラブルがあったときは、商品を素早く回収することが可能です。

また、顧客がどのような商品を購入しているかデータ管理していけば、顧客ニーズを把握して製品開発していけます。

アパレルでPLMシステムを導入する際の注意点

アパレル会社ではPLM導入が失敗しやすい傾向があるため、以下の内容を理解した上で導入を進めるようにしましょう。

数多くのサプライヤーがいる企業には不向きである

PLMシステムはパッケージ製品を選んで、自社の業務に合うようにカスタマイズして導入するものです。企画や調達、製造、販売を社内で完結しているアパレル会社であれば、社内の人の意見を聞くだけで済むためPLMシステムの導入が成功しやすいです。

その一方で、多くのサプライヤが関与している場合、PLMシステムを導入すると「操作方法がわからない」などの取引先が現れて、導入が失敗してしまう恐れがあります。

このようにサプライヤにも影響を与えるため、PLMシステムを導入すべきかは慎重に判断するようにしましょう。

コミュニケーションを強化するツールと認識する

多くのサプライヤと関与がある会社は、コミュニケーションを強化できて、簡単に操作できるツールを利用するようにしましょう。高機能なシステムを導入するよりも、自社で解決したい課題を解決できるシンプルな機能のシステムを導入すると混乱が防げます。

導入支援を得意とするベンダーを選ぶ

アパレル会社がPLMシステムを導入すると失敗してしまうことがあるため、PLMシステム導入支援を得意とするベンダーを選ぶようにしましょう。
信頼できる担当者であれば、自社にPLMシステムが合うかどうかを提案してもらえるはずです。

おすすめアパレル向けPLMシステム3選

アパレル会社向けのPLMシステムは主に3つあります。

Centric PLM

Centric PLM
出典元:『Centric PLM』

Centric PLMは、数多くのファッション企業に導入されているPLMシステムです。
ルイヴィトンやアシックスなど有名な企業なども導入しており、アパレル業界でPLMシステムを導入・運用するノウハウを豊富に持っています。

ファッション業界の中でも、ラグジュアリーブランド、ランジェリー、アイウェア、デニムなどさまざまな分野があり、各分野で必要な機能は異なりますが、それらを踏まえてシステム開発してくれる会社です。そのため、実績が豊富で提案力のあるベンダーにPLM導入支援を依頼したい方におすすめのシステムとなっています。

Infor PLM for Fashion

Infor PLM for Fashion
出典元:『Infor PLM for Fashion』

Infor PLM for Fashionは、2000人以上に利用されているPLMシステムです。
ユーザーに支持されている理由は、直感的に操作できるUI/UXのためです。
ドラッグ&ドロップのシンプルな操作で、誰でも簡単にPLMシステムを使用できます。

また、EC販売を展開している企業向けにマルチチャネル販売の対応ができるようになっています。

注文が入ったら、受注管理でどれぐらいで発送できるかを瞬時に確認することが可能です。
また、消費者に商品が届ける手続きができるため、リードタイムを短縮できます。
そのため、ECサイト販売を検討しており、データの一元管理をしたい方におすすめのシステムです。

Dassault Systemes

Dassault Systemes
出典元:『Dassault Systemes』

NTTコミュニケーショズがDassault Systemesを活用したPLM導入支援をしています。
Dassault Systemesは製品ライフサイクルの一元管理ができるだけでなく、さまざまなアプリケーションを組み合わせ、業務効率化ができる画期的なシステムです。

海外製品ですが、NTTコミュニケーションズが取り扱っており、自社に見合うようにカスタマイズしてくれます。そのため、本格的にアパレルDXを推進したい方におすすめのシステムとなっています。

アパレル業界のPLMシステム企業事例

PLMシステムを上手く活用している企業では、どのような効果が見込めているのか企業事例を確認しておきましょう。

コラボ強化で商品開発スピードアップ(株式会社アシックス)

コラボ強化で商品開発スピードアップ(株式会社アシックス)
出典元:『株式会社アシックス』

株式会社アシックスは競技用シューズやスニーカーを開発・販売している会社です。
同社は本社ではオリジナルシステムを、子会社ではPLMシステム、関連会社はスプレッドシートを活用しており、データ管理方法がバラバラで連携できていませんでした。
この状況を改善するためにPLMシステムを導入しました。

PLMでデータの一元管理をした結果、データが探索しやすくなり、繰り返し行われていたデータ入力をしないで済むようになりました。また、商品に関するフィードバックがシステム上で行え、リアルタイムで情報が共有できるようになり認識ミスをなくすことに成功したのです。
どのような商品が売れ行きが良いかなども共有し、市場で人気のある商品を速やかに開発、販売する仕組みを実現しました。

商品調達プロセスの効率化に成功(株式会社yutori)

商品調達プロセスの効率化に成功(株式会社yutori)
出典元:『株式会社yutori』

株式会社yutoriは「9090」「genzai」「centimeter」などD2Cアパレルブランドを展開している会社です。同社はサプライヤとの「企画」「見積り」「発注」「納品」のやり取りを行うときに、メールやチャットを使用していました。

しかし、事業拡大していきサプライヤの数が増え、現在のコミュニケーションに限界を感じてしまったのです。そのため、PLMシステムを導入して、商品の仕様書、発注数、金額が共有できる環境を構築することを決心しました。

社内もサプライヤも情報を集約でき、スムーズに商品調達を進められるようになり、コミュニケーションコストの削減に成功しました。
社内またはサプライヤ間で起きがちな認識の齟齬や属人的なエラーも解消されました。

2週間で新商品の開発を実現(株式会社ZARAジャパン)

2週間で新商品の開発を実現(株式会社ZARAジャパン)
出典元:『ZARA』

株式会社ZARAジャパンは、ファッションブランドZARAを手掛ける企業です。
同社は毎週2回、決まった日に新商品を店舗で販売し、お客様の来店頻度を高めることに成功しています。

同社は本社、製造、店舗のデータをPLMシステムで一元管理し、店舗データを基に消費者トレンドを掴み、新商品の開発に役立てています。
このような素早い商品開発ができる要因は、リアルタイムの情報を共有できる状態にしていることです。

アパレル向けのPLMシステムについてまとめ

アパレル向けPLMとは商品ライフサイクルまでのデータを一元管理するシステムです。
PLMシステムを導入すれば、部門間連携やサプライヤ間の関係強化、商品販売のリードタイムの短縮などの効果が見込めます。

しかし、アパレル会社は多品種小ロット生産が多く、多くのサプライヤが関与していることもあり、システム導入が失敗しやすいです。そのため、アパレル会社がPLMシステムを導入する際は、信頼できるベンダーに相談をしましょう。
この記事ではおすすめのシステム、ベンダーを紹介したため参考にしてみてください。

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