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【2024】PDMとPLMの違いとは?データ管理範囲や導入目的・機能を比較!

製造会社のデータ管理ができるシステムには「PLM」と「PDM」がありますが、どちらを導入すべきか悩んでいませんか?

そのような方向けに、今回はPLMとPDMの違いについてわかりやすく解説します。この記事を読めば、PLMとPDMのどちらを導入すべきか判断できるようになるため参考にしてみてください。

PDMとは

PDMとは
出典元:『株式会社デジタル・コアサービス』

PDMとは、製品の設計に関するデータ(CADデータやBOMデータ)を管理するシステムです。
製品を設計するときにはInventor、AutoCAD、Revit、Navisworksなどのソフトウェアを使用するためファイル形式がバラバラになりがちです。

PDMシステムとソフトウェアを連携すれば、システム上で図面の変更・更新ができるようになります。そのため、設計部門の業務効率化を目的に導入されるシステムです。

PDMの機能

PDMには以下のような機能が含まれています。

データ管理 CADデータ、図面、ドキュメント、BOMの情報が管理できる
データ共有 クラウド上でデータを共有できて共同作業ができる
データ検索 キーワード検索で図面・ドキュメントを探し出せる
ワークフロー管理 設計のワークフローを可視化して申請・承認を行う
セキュリティ機能 データへのアクセス権限を付与できる

PDMのメリット

PDMを活用すると3つのメリットがあります。

設計業務を効率化できる

PDMを活用すれば、図面・ドキュメントの一元管理ができ、変更履歴を残せます。
そのため、どの図面が最新版なのか一目でわかります。

またPDMとソフトウェアを連携させれば、システム上で図面の修正・更新が可能です。
その都度、ソフトウェアを立ち上げる必要がなくなるため作業スピードを上げられるでしょ。
さらに、設計図を元のバージョンに戻すこともできるため安心して作業ができます。

外部関係者とコラボレーションしやすくなる

PDMを活用すれば、外部関係者とコラボレーションしやすくなります。
サプライヤや顧客に設計図を送りたいときがあるでしょう。

しかし、設計図のデータ容量は大きくメールでは送信できないときがあります。
ファイル転送サービスを使用して設計図を送ると、ファイルをアップロード・ダウンロードする際に時間がかかり、お互いが負担に感じてしまうでしょう。このような問題は、PDMに設計図を保存しアクセス権を付与しておき、外部関係者とデータ共有することで解決できます。

流用設計が行えるようになる

PLMシステムを活用すれば、設計図や関連ファイル、ドキュメントを瞬時に取り出せるようになります。なぜなら、キーワードでファイルを検索できるためです。

システムによって異なりますが、ファイル内の文章を検索できる製品や、類似の設計図を提案してくれる製品があります。探している図面やファイルを瞬時に取り出せれば、流用設計に活かせて、設計時間を大幅に短縮できるようになります。

PDMの導入事例


小倉クラッチ株式会社は、5,000種類以上のクラッチ・ブレーキを販売している総合メーカーです。同社は2018年に製品設計者が作業しやすい3D設計環境をつくり、他社より図面と見積書を早く提出できる体制を整備しました。

図面や見積書が早く提出できるかどうかが顧客満足度につながり、売上を左右するものだと考えたためです。

同社は3DソフトウェアとPDMを連携して、図面の修正・変更のスピードを上げました。
また、どの図面が最新バージョンかリアルタイムで把握できるようにし、複数名の設計者が同時に作業できる環境をつくりました。

このような工夫で設計スピードを上げ、他社よりスピード面で満足させて新規顧客の獲得に成功しています。

PLMとは

PLMとは
出典元:『NEC』

PLM(Product Lifecycle Management)とは、製品ライフサイクル(企画・開発・調達・製造・販売・梱包・使用・再生・廃棄)に関するデータを管理するシステムです。

製造会社の情報基盤を築いておけば、企画から廃棄までの一連の業務プロセスを最適化できたり、エンジニアリングチェーンを構築できたりします。
PLMとIoTやAR/VRと組み合わせれば、製造DXを実現することもできます。
そのため、企業競争力を上げる目的で導入するシステムです。

PLMの機能

PLMはPDM機能が利用でき、他にも以下のような機能が利用できます。

ポートフォリオ管理 開発現場から得られる情報を分析して製品開発の戦略を立てる
要件管理 要件を定めておき、要件を満たした製品製造ができているかを確認する
開発スケジュール管理 製造現場の工程表を作成する
原価管理 製品の製造・販売にかかったコストを集計する
取引先情報管理 取引先の情報を管理して、調達コストなどを比較する
技術文書の管理 お客様に提案する技術文書を取り出せるようにしておく

PLMのメリット

PLMのメリットは3つあります。

QCDを向上できる

PLMを活用すると、QCD(品質・コスト・納期)を向上できます。
なぜなら、必要なデータを瞬時に取り出せて作業スピードを上げていけるためです。
例えば、製造部門は設計図やドキュメントが変更された履歴をリアルタイムで見れるため、変更点がないかを聞く必要がなくなり業務の後戻りを減らせます。

また商品を販売してクレームが発生したとき、どこが悪かったか原因を解明していけば、製品品質を上げていくことも可能です。

意思決定スピードを上げられる

PLMを導入して、製品ライフサイクルのデータを一元管理しておけば、意思決定スピードを上げられます。例えば、販売データと原価データを分析すれば、リアルタイムの損益を計算できます。
収益が出せていない商品の改善をしたり、撤退を決断したりなど瞬時に判断できるようになります。

製造DXを実現できる

PLMをIoTやAR/VRと連携すれば、製造DXを実現できます。

例えば、IoTとPLMを連携すれば、工場の機械や設備の稼働状況、メンテナンス時期を把握できるようになります。必要なタイミングで機械や設備のメンテナンスを行えば、工場を停止させることなく稼働し続けられるようになるでしょう。

またAR/VRを活用すれば、ドキュメントを読んで学ぶだけでなく、仮想空間で実技のデモンストレーションが行うなどの研修が可能になります。

PLMの導入事例

ニチコン株式会社は、アルミ電解コンデンサやフィルムコンデンサ、家庭用蓄電システムを販売している世界有数のメーカーです。家庭用蓄電システムの販売台数は国内No,1の販売台数を記録しており、安心で快適な暮らしや社会に貢献しています。

ノウハウを蓄積しても探し出すことができなければ意味がないという課題を抱えていたため、同社はベテラン社員の退職などでノウハウがなくなることを懸念してPLMシステムの導入を決めました

このような問題を解決するために、2020年6月にAIがおすすめの参考ドキュメントを提案してくれるPLMシステムの導入を決めました。

同社は月1件の特許出願を目指しているが、出願文書を作成する上で過去に類似の申請をしたことがある事実を通知させて、別の申請を促すようにしています。
このような工夫でPLMシステムを活用して、各部門の強化をしています。

PLMとPDMの違い

PLMとPDMの違い
出典元:『NEC』

PLMとPDMの違いをわかりやすくまとめると以下の表と通りになります。

PDM PLM
誕生月 1990年代 2000年代
データ範囲 設計データ 製品ライフサイクルのデータ
導入部門 設計部門 全部門
目的
  • 設計業務の効率化
  • 製品開発力の向上
  • 企業競争力の向上
  • 製造DXの実現
機能
  • データ管理
  • データ共有
  • データ検索
  • ワークフロー管理
  • セキュリティ機能
  • データ管理
  • データ共有
  • データ検索
  • ワークフロー管理
  • セキュリティ機能
  • ポートフォリオ管理
  • 要件管理
  • 開発スケジュール管理
  • 原価管理
  • 取引先情報管理
  • 技術文書の管理
操作性 簡単 複雑
導入コスト 低い 高い

PLMとPDMの違い1.歴史

PDMが誕生したのは1990年代です。設計工程で発生するCADやBOMのデータを一元管理して、情報共有を円滑にするために活用されていました。

その一方で、PLMが誕生したのは2000年代です
製品ライフサイクルデータを管理して、製品製造のリードタイムや品質を管理するために活用されていました。近年は、PLMとIoT、AIを連携する動きが出てきています。

PLMとPDMの違い2.データ範囲

PDMは設計部門のCADやBOMのデータを一元管理するシステムです。その一方で、PLMは製造会社の全部門で取り扱うデータを一元管理するシステムとなっています。
製品製造のデータを一元管理することで、部門間連携ができるようになります。

PLMとPDMの違い3.導入部門

PDMの場合は設計部門と関連会社が扱うものであるため、一部の部門にシステムの操作を教える必要があります。その一方で、PLMは全部門が扱うものであるため、全部門にシステムの操作を教えなければいけません。そのため、PLMを導入するときは大がかりになります。

PLMとPDMの違い4.目的

PDMの導入目的は、設計業務の効率化です。
データ容量が大きなデータを、あらゆるCADソフトで開けるようにして作業スピードを上げるために活用します。その一方で、PLMの導入目的はQCDの改善製造DXの推進でとなります。

PLMとPDMの違い5.機能

PDMの主要機能は

  • データ管理
  • データ共有
  • データ検索
  • ワークフロー管理
  • セキュリティ機能

です。その一方で、PLMはPDMの主要機能の他に、

  • ポートフォリオ管理
  • 要件管理
  • 開発スケジュール管理
  • 原価管理
  • 取引先情報管理
  • 技術文書の管理

が使えます。

PLMとPDMの違い6.導入コスト

PLMはPDMの機能を拡張したシステムのため、基本的に導入コストが高いです。
しかし、高性能のPDMも存在するため、一概にどちらが高いとは言い切れません。
一般的には、機能が充実しているPLMの方が高くなると理解しておきましょう。

PLMとPDMに関するよくある質問

PLMとPDMに関してよくある質問をご紹介します。

PLMとPDMのどちらを導入すべきですか?
PLMはPDMの機能も含んだシステムとなります。そのため、まずは設計業務の効率化を目指したいという方はPDMを導入してPLMに拡張していくと良いでしょう。
基本的にベンダーはPLMとPDMを取り扱っていることが多いです。
そのため、自社が抱えている課題、要望をまとめておきベンダーに相談してみてください。
どのようなベンダーに相談すればいいですか?
さまざまなベンダーが存在するため、以下の基準で相談先を決めて3社程度に相談してみましょう。
◉最新技術をキャッチアップしているか

◉対等な立場で意見を聞いてくれて、アドバイスしてくれるか
◉導入実績が豊富にあるか
◉カスタマーサポートがあるか
◉導入企業からの評判がよいか
PLM/PDMを上手く活用するための方法は?
PLM/PDMを上手く活用するためには、PLM/PDM、DXに詳しい人材を配置することが大切です。デジタルに強い人材を増やせば、ITを使いこなして業務効率化を実現できるでしょう。近年、製造業DXを実現するために従業員にITスキルを身に付けるリスキリングに取り組む企業が増えてきています。

PLMとPDMの違いのまとめ

PLMとPDMの違いは、データ管理の範囲です。PLMは製品ライフサイクルに関するデータを管理します。その一方で、PDMは設計データを管理します。

どちらも製造業務の効率化ができる便利なシステムです。各システムの機能、メリットについて解説したため、これを機会に自社に最適なシステムを導入してみてください

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