製造DXを実現するために情報を繋ぐ基盤となる「PLMシステム」が注目されており導入する企業が増えています。しかし、さまざまな製品が販売されており仕様書に記載されている内容も複雑なため「PLMシステムの違いがわからない…」悩んでしまうかもしれません。
このような悩みを解決するために、おすすめのPLMシステムを厳選して紹介します。
この記事を読めば、PLMシステムの選定方法が理解できるようになるため、ぜひ参考にしてみてください。
PLMシステムとは
PLMシステムとは製品ライフサイクルのデータを管理するシステムです。
各部門の情報を繋ぐ基盤を作ることで、エンジニアリングチェーンマネジメントが行えるようになります。IoTの登場で製造工場内のデータが取得・分析できるようになったことからPLMシステムが注目を浴び始めました。
つまり、QCDを改善して企業競争力を上げるために導入されているシステムです。
PLMシステムの選定方法
さまざまな製品が登場しているため、自社に見合うシステムを導入するためにも、PLMシステムの選定方法を理解しておきましょう。
自社の課題解決ができるシステムを選ぶ
PLMシステムは2タイプに分類できます。
- パッケージ型:完成品のシステムを利用する
- 半製品型:半製品に要望を追加してシステムを開発する
例えば、コストを抑えたい方や早期に導入したい方はパッケージ型を選ぶと満足できるでしょう。その一方で、自社に見合うシステムを導入したい場合は半製品型を選ぶと満足度が高いものが導入できます。
どちらのタイプでも、どのような業種・業態に多く導入されているシステムかを確認しておくと使いやすく満足できます。
標準仕様で搭載されている機能を確認する
PLMシステムはパッケージ型と半製品型がありますが、標準仕様で搭載されている機能を確認しておくことが大切です。なぜなら、PDMの機能のみを搭載している製品や多種多様な機能を搭載している製品があるためです。
自社で利用したい機能が標準仕様に含まれている方が、費用対効果を感じられるでしょう。
そのため、標準仕様に搭載されている機能を確認してください。
処理スピードの高いシステムを選ぶ
BOMデータや3Dデータはデータ容量が大きいです。構成行数が多いBOMデータや3Dデータを素早く展開できると作業スピードが上がり、QCD向上が目指せます。
そのため、データ容量が大きいデータも素早く展開できるのか、大量のデータを分析するときにスピーディーに分析できるのか処理スピードを確認しておくようにしましょう。
サポート体制が整っているかを確認する
PLMシステムのサポートが充実している会社を選ぶと満足度が上がります。
なぜなら、PLMシステムは導入した後に、従業員に操作方法を教える必要があります。
よくある失敗が、外資系の性能が高いPLMシステムを導入したけれど、日本語表記の操作マニュアルがなくて、システムの操作を覚えるまで苦労するというものです。PLMシステムは操作が難しいため、導入の失敗を防ぐためにも、サポート体制が整っているかを確認しておきましょう。
予算内で利用できるシステムを選ぶ
PLMシステムを予算内で導入できるかを確認しておきましょう。なぜなら、PLMシステムを拡張する度に追加費用がかかり、予算オーバーしてしまう失敗例があるためです。
そのため、社内の課題などを洗い出しておき、予算も含めてベンダーに伝えるようにしましょう。
製造会社の目的別おすすめPLMシステム
製造会社でPLMシステムを利用する場合は、目的に見合うものを選びましょう。
ここでは目的を達成するためにおすすめのPLMシステムをご紹介します。
おすすめのPLMシステム12製品を分類すると、以下のようになります。
低コストの PLMシステム |
Aras Innovator | ライセンスフリーで利用できる |
Windchill | 8割の企業がカスタマイズなしで導入している | |
短期導入が可能な PLMシステム |
Obbligato | 4つのパッケージでスモールスタートできる |
ものづくリンク | テンプレートでカスタマイズできる | |
Teamcenter | SaaS型サービスを提供している | |
ENOVIA | あらゆる機能が標準仕様になっている | |
性能が高い PLMシステム |
Hi-PerBT PLM | 製造DXを実現するための情報基盤を提供 |
COLMINA | 好きな機能を組み合わせて使うことができる | |
Visual BOM | 設計業務の効率化に特化している | |
海外拠点と連携しやすい PLMシステム |
MasterControl | 外資系企業から支持をされている |
SAP PLMソリューション | 歴史があるベンダーで信頼されている | |
Oracle Fusion Cloud PLM | データ分析に長けている |
このPLMシステムたちを1つ1つ詳しく解説していきます。
コストを抑えたい方におすすめのPLMシステム2選
図面の電子化やデータの共有などが目的であれば、PLMシステムの導入費を極力抑えると満足度が上がるでしょう。コストを抑えたい方におすすめのPLMシステムは2つあります。
PLMシステム1.Aras Corporation「Aras Innovator」
Aras Corporation社 のAras Innovatorは、ライセンスフリーのPLMシステムです。
標準仕様だけであれば、保守費用のみと低価格で導入できます。また、.netおよびJavascriptなどのプログラミング言語が理解できれば、社内でカスタマイズすることも可能です。
とても良心的なPLMシステムですが、日本語表示にする場合はランゲージパックを購入する必要があります。日本語表示のPLMシステムを導入する場合は少し難しさを感じてしまいますが、ライセンスフリーで社内でカスタマイズも自由にできるため、システム開発に強いエンジニアが社内にいる場合は満足できるでしょう。
PLMシステム2.PTC「Windchill」
PTC社のWindchillは、グローバル企業の声を反映して開発されたPLMシステムです。
日本語や英語、中国語など11カ国の言語に対応しており、通貨や単位の切り替えも可能です。
標準仕様でPDM/PLMの機能が多彩に搭載されているため短期間で導入できます。
希望すればシステムの拡張も依頼できますが、Windchillを導入した企業の80%がカスタマイズなしでシステムを利用できています。そして、基本機能のパッケージ「Windchill Creo Data Management & Visualization」であれば、6万9,300円(税別)で導入できることが魅力です。
そのため、格安パッケージシステムをお探しの方におすすめのPLMシステムです。
短期間で導入したい方におすすめのPLMシステム4選
新規事業の立ち上げ、多拠点経営を検討している場合は早期にシステムを導入できるものを選ぶとスケジュール通りに展開しやすく満足できるでしょう。
短期間で導入したい方におすすめのPLMシステムは4つあります。
PLMシステム3.Dassault Systemes「ENOVIA」
Dassault Systemes社のENOVIAは、標準仕様が充実しているPLMシステムです。
- ドキュメント共有
- プロジェクト管理
- BOM管理
- 要件管理
など通常業務で利用する機能は搭載されており、高度な機能が欲しい場合にカスタマイズします。
海外製のPLMシステムですが、東芝が販売代理店でサービスを提供しています。
販売代理店の東芝に相談をすれば、サポートを受けながら海外製の優れたシステムを上手く活用していけるため、導入に手間をかけたくない方におすすめのPLMシステムです。
PLMシステム4.日本電気株式会社「Obbligato」
日本電気株式会社のObbligatoは1,000社の導入実績を保有しており、高い売上シェアを誇るPLMシステムです。お客様の声を反映して4つのソリューション(統合BOMソリューション、ECMソリューション・エンタープライズソリューション・SCMソリューション)を提供しています。
1つのソリューションから導入することも可能です。
早期の導入と必要な機能だけ導入したいという方におすすめのPLMシステムです。
PLMシステム5.株式会社JSOL「ものづくリンク」
株式会社JSOLのものづくリンクは、組立製造業の開発設計プロセスのテンプレート集が用意されているPLMシステムです。用意されているテンプレートを選んで、システムを構築することで、社内に見合うPLMシステムを短期間で導入できます。
また、ユーザーライセンスフリーのため、システム料金を支払えば何名でも同時に利用することができます。そのため、自社に見合うシステムを早期に導入したいという方におすすめです。
PLMシステム6.シーメンス株式会社「Teamcenter」
シーメンス株式会社のTeamcenterは、3つの導入方法から好みの導入方法を選べるPLMシステムです。3つのPLMシステムを提供しています。
- オンプレミス型…社内に情報基盤を置いてデータ管理する
- クラウド型…クラウドとプロバイダーを選択して、クラウド上でデータを管理する
- SaaS型…シーメンスが運用するクラウド上でデータ管理する
とくにスタートアップ企業から支持を集めているサービスがSaaS型です。シーメンスが運用するクラウドを利用すれば、即座にPLMシステムを利用できます。大手電機メーカーのシーメンスが運営しているため安心もできるでしょう。そのため、PLMシステムを手軽に導入したいという方におすすめです。
性能が高さを重視したい方におすすめのPLMシステム3選
データ容量の大きな図面やBOMを取り扱ったり、ビッグデータを分析したりしたい場合は性能が高いPLMシステムを導入すると作業スピードが上げられて満足できるでしょう。性能の高さを重視したい方におすすめのPLMシステムは3つあります。
PLMシステム7.日立ソリューションズ「Hi-PerBT PLM」
日立ソリューションズHi-PerBT PLMは、製造DXを実現するために開発されたPLMシステムです。
紙の図面をデジタル化して、システム上で申請・承認できるようにすることで在宅勤務を実現します。各自が使用している3DCADが異なる場合でも、Hi-PerBT PLMがファイルを読み込み、ファイル形式を転換するため、あらゆるソフトウェアで図面の修正・更新ができます。
また、PLMシステムにAI-OCRが搭載されており、図面上の文章を検索できたり、類似の図面を探してくれたりします。さらに、日立ソリューションズのIoT、AIと繋げて使うことも可能です。そのため、製造DXに本格的に取り組みたい方におすすめのシステムです。
PLMシステム8.富士通株式会社「COLMINA」
富士通株式会社のCOLMINAは大規模アンセブリモード(パフォーマンスを向上させるためのモード)が活用できて、部品点数が多いデータをサクサクと開くことができるPLMシステムです。
製造会社のDX加速とサステナブルなものづくりを実現するためのシステムとしてCOLMINAを提供しており、豊富なソリューションから必要なものを選び、システムを構築してもらえます。
富士通は画像認識AIや異常検知AI、IoT工場マップなどの便利なテクノロジーをサブスクリプションで借りられるサービスを提供しており、PLMシステムと連携すればDXを加速させることができます。そのため、自社の課題にピッタリ合う機能を選んでシステムを導入したいという方におすすめのPLMシステムです。
PLMシステム9.株式会社図研「Visual BOM」
株式会社図研のVisual BOMは、ラティス・テクノロジー社が開発した世界最高水準の3Dデータ軽量化技術であるXVLテクノロジーを活用したPLMシステムです。重たいデータでも簡単に処理ができるため、構成行数が多いBOMデータや3Dデータを素早く展開できます。
また、ビジュアライズ機能を使えば、どの部品のコストが高いのかを表示してくれるため、製品企画・開発がしやすくなります。また、クロス集計をして製品に使われている部品率を確認でき、それを基にサプライヤーに調達コストを交渉することも可能です。
そのため、BOMやCADのデータ処理を素早く行いたい方や製造業務を効率化したい方におすすめです。
海外拠点と連携を考えている方におすすめのPLMシステム3選
製造会社の中には海外拠点を持っていたり、外資企業と取引していたりするところもあります。そのような場合は世界中の企業で採用されているシステムを導入しておくと関連企業と連携しやすくなり満足できるでしょう。海外拠点と連携を考えている方におすすめのPLMシステムは3つあります。
PLMシステム10.マスターコントロール株式会社「MasterControl」
マスターコントロール株式会社のMasterControlは、世界中の企業で採用されているPLMシステムです。FDA(米国食品医薬品局)やCDC(アメリカ疫病予防管理センター)などの機密情報を取り扱う政府機関、軍事兵器メーカーにも採用されています。
コカコーラなどの大手企業でも利用されているPLMシステムです。
電子機器や自動車だけでなく、食品や医療機器、医薬品、医療機関などさまざまな業界のPLMシステムの導入実績を保有しており、お客様に合ったPLMシステムを開発できることを強みとしています。そのため、法規制、業務効率化など、さまざまな観点から優れたシステムを導入したいと考えている方におすすめです。
PLMシステム11.SAP SE「SAP PLMソリューション」
SAP SEのSAP PLMソリューションは、早期に提供開始されたサービスです。
PLMソリューションを提供する会社としての知名度が魅力となっています。情報基盤づくりを得意としており、個社ごとにヒアリングしてカスタマイズすることもできます。
また、膨大なデータを取り扱う世界の企業のシステム開発のノウハウを持っているため、重たいデータの処理スピードを高いです。そのため、PLMシステムの導入実績を豊富に持つ会社を選びたいという方におすすめです。
PLMシステム12.オラクル株式会社「Oracle Fusion Cloud PLM」
オラクル株式会社のOracle Fusion Cloud PLMは高度なデータ分析やデータ活用を行うためのPLMシステムです。製品ライフサイクルのデータを保存しておけば、さまざまな項目でデータを検索できるため、欲しいデータが見つかりやすくなります。また、データ分析ができ、どのような製品を開発すれば事業の目標を達成できるかどうか考えやすくなります。
データ容量が増えてもサクサクと動くため、部門全体の作業を効率化できるでしょう。
高性能で評判のPLMシステムですが、オラクル社は外資系企業のため、日本語のシステムの操作マニュアルが少ないです。そのため、英語に抵抗がなく、高スペックなPLMシステムをお探しの方におすすめです。
PLMのシステムについてまとめ
PLMシステムを選ぶときは、自社の要望を叶えられるシステムを選ぶことが大切です。
この記事では、コストを抑えながら導入できるシステムや処理性能が高く作業スピードを上げられるシステムなどをご紹介しました。気になるPLMシステムがあればお問い合わせをして無料トライアルを試してみて導入してみてください。