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【2024】PLMとは?機能や効果・人気PLMソフトも紹介

製造業を取り巻く環境において、国際情勢の緊迫による原油価格の高騰、半導体不足、サプライチェーンの寸断などあらゆるリスクが浮き彫りになってきていきます。そのため、DX推進に取り組む製造会社が増えてきており、QCD改善に役立つPLMシステムが注目され始めてきました。

今回はPLMのシステムやおすすめソフトについてわかりやすく解説します。
この記事を読めば、PLMシステムの機能や効果が理解できるため、ぜひ読んでみてください。

PLMとは

PLMとは
出典元:『NTT DATA』

PLM(Product Lifecycle Management)とは製品ライフサイクル(企画・開発・調達・製造・販売・梱包・使用・再生・廃棄)に関するデータを一元管理するためのシステムです。

PLMシステムを利用して部門間連携を促すことで、以下のようにモノづくり体制の強化が実現できます。

  • 図面データの変更履歴を閲覧でき、瞬時に欲しいデータを取得できる
  • 在宅でも設計業務が行える環境が整備できる
  • 3DCADデータをスマホで開けるようになりプロモーションに活用できる
  • 企画と類似の製品データを取り出して流用設計できる

モノづくり体制を強化できれば、売れる製品を市場に早く安く投入できるようになり、売上の最大化を目指せます。

PLMとPDMの違い

PLMとPDMの違い
出典元:『NEC』

PLMとPDM(Product Data Management)の違いは、データの管理範囲です。
PDMは設計に関するデータを管理するシステムで、PLMは製品ライフサイクルに関するデータを管理するシステムです。つまり、PLMにPDMの機能も含まれています。

PDM PLM
誕生 1990年代 2000年代
管理データ 設計データ 製品ライフサイクルデータ
導入目的 設計・開発業務の効率化 モノづくり体制の強化
機能
  • データ管理
  • データ共有
  • データ検索
  • ワークフロー管理
  • セキュリティ機能
  • データ管理
  • データ共有
  • データ検索
  • ワークフロー管理
  • セキュリティ機能
  • ポートフォリオ管理
  • 要件管理
  • 開発スケジュール管理
  • 原価管理
  • 取引先情報管理
  • 技術文書の管理

PLMとPDMの違いに関しては下記でも詳しく解説しています。

【2024】PDMとPLMの違いとは?データ管理範囲や導入目的・機能を比較!

製造業界でPLMが注目される背景

製造業界でPLMが注目される背景
出典元:Yano ICT

矢野経済研究所『PLM市場に関する調査』によると、2022年の国内PLM市場規模は前年比5.2%増の2,940億5,900万円となりました。今後もPLM市場規模は拡大し、2026年には3,476億円になると予測されていますが、PLMが注目される背景に以下のようなものがあります。

顧客ニーズの多様化

スマートフォンの普及により、顧客は欲しい商品の情報を収集できるようになりました。
また、顧客のライフスタイルも多様化してきており、各自が求めているニーズに対応できるかどうかが製品の売れ行きを左右します。

そのため、製品企画の段階で顧客ニーズを反映し、製品製造の段階で条件を満たしているかどうかを検証し、製品を製造していかなければいけません。PLMシステムを導入すれば、自社製品の開発に顧客の声を反映しやすくなります。

製品ライフサイクルの短縮化

製造技術の進化や製造に関する情報が取得しやすくなり、競合他社が類似製品を製造しやすくなり、製品ライフサイクルが短くなりました。新製品を開発・販売する際のライフサイクル(導入期・成長期・成熟期・衰退期)が短くなってきています。

製品の製造、改善に時間がかかると、競合他社にシェアを奪われてしまいかねません。
そのため、PLMシステムを活用して、業務効率化していく必要があります。

製造業DXの進展

デジタル技術の進化に伴い、製造業DXが推進されていることもPLMシステムが注目されている理由です。これまで、システムにデータを入力するのが一般的でしたが、IoTやAIを活用して工場内のデータを取得できるようになりました。

あらゆるデータをシステムに蓄積、活用して製品製造することで高度な製品を製造していけるようになります。

PLMシステムを導入するメリット

PLMシステムを導入するメリットは3つあります。

1.リードタイムの短縮

PLMシステムを導入して製品ライフサイクル全体のデータを一元管理すれば、各部門が求めているデータに瞬時にアクセスできるようになります。特定の部門に保管してデータにも気軽アクセスできるようにすれば、情報共有に関するやり取りを削減できます。

また、システム上で申請・承認が行えるようにすれば、承認時間を短縮することも可能です。
さらに、PLMシステムの一部の情報を社外の人に公開すれば、関連パートナーやサプライヤと情報共有に関するやりとりも削減できます。

無駄な業務を削減していけば、製品開発のスピードを上げていくことができて、売れる製品を早く安く市場に投入できるようになります。

2.品質向上

PLMシステムを導入すれば、製品開発におけるムダな作業を削減したり効率化したりでき、各部門の作業時間を短縮できます。作業時間を短縮して浮いた時間を、製品のデザインや機能について考える時間に充てたり顧客の声を聞いて製品に反映したりなどコア業務に集中すれば、自社製品の品質を高めていけます。

3.コスト削減

PLMシステムはデータを蓄積するだけでなく分析することも可能です。例えば、PLMシステムにサプライヤ情報を登録しておけば、サプライヤ別に部品の価格を比較できるようになります。

また、製品実績のデータを蓄積しておけば、どれぐらいの材料と人材を用意すればいいのか綿密に計画を立てられるでしょう。ものづくりのPDCAサイクルを確立して製品開発を行えばコスト削減もできます。

PLMシステムの機能

PLMシステムの機能
出典元:『NEC』

PLMシステムは、製品ライフサイクルのデータを一元管理するシステムです。
データを活用するために、どのような機能を搭載しているかは製品で異なりますが、主な機能として以下のようなものがあります。

1.企画・設計関連の機能

企画・設計関連の機能として、以下のようなものを搭載できます。

ポートフォリオ管理

ポートフォリオ管理機能とは、製品の収益性・成長性・安全性を閲覧する機能です。
自社製品で収益が見込めるものを見極めて、資源の分配を検討していくために使用します。
PLMシステム内に開発現場から得られる情報や市場データを蓄積していき、分析することで綿密な戦略を立てられるのです。

成功率が低い商品開発は行わない、コストが超過する商品開発の投入資源を削るなど無駄を失くすことで、収益性の高い製品を開発できるようになります。

要件管理

要件管理機能とは、製品の企画や設計の初期段階で、市場動向や顧客ニーズを踏まえて要件を定めておきデータ化する機能です。PLMシステムの要件管理機能を活用すれば、製品開発途中で要件を満たしているか確認、検証できるようになります。

また、関連会社やサプライヤと情報共有しておけば、部品や資材を調達しやすくなります。

製品設計

製品設計機能とは、CADデータとBOMデータを連携させる機能です。
CADデータとBOMデータを連携させることで、バリエーション展開や製品標準化の推進、原価管理を正確に行えるようになります。

PLMシステムとCADツールを連携すれば、PLMシステム上で図面の修正、更新ができて製品設計を効率化できます。

2.製造関連の機能

製造関連の機能として、以下のようなものを搭載できます。

製造BOM管理

製造BOM管理とは、製品を製造するために必要な部品データだけでなく、製造現場で用いる補助剤や梱包材を含むデータを一元管理する機能です。製品製造で必要な材料を適切に管理することで材料不足や手配漏れを防ぐことができます。

設計変更管理

設計変更管理とは、製品図の設計の変更内容・理由を一元管理できる機能です。
製品製造では、途中で製品図が変更になることもあります。
設計変更管理機能で変更データを一元管理しておけば、最新版の図がどれなのか一目で分かるようになり、製品製造のスピードを上げていけます。

製造工程管理

製造工程管理機能とは、製品製造の進み具合を管理する機能です。
製造工程管理の目的は、製品の品質、数量、期間を守りながら効率的に製造することです。
そのためには、製品製造の進捗状況、製造する上での情報がチーム間で共有されていなければいけません。

製造工程管理機能を活用すれば、チーム間で製品製造に関する情報を共有できます。
また、どのタイミングで部品が調達されるのか瞬時にわかり、工程表が作成しやすくなります。

3.営業関連の機能

営業関連の機能として、以下のようなものを搭載できます。

原価管理

原価管理機能とは、製品の製造・販売にかかったコストを集計する機能です。
営業部門では、売上と原価を計算してどれだけの利益が出せたかを集計しなければいけません。
利益が薄い場合は販売価格を見直したりする必要があります。このような営業戦略を練る際に使います。

技術文書の作成・管理

技術文書の作成・管理とは、お客様に提案する際に用いる技術文書を作成して管理する機能をいいます。自社商品を単純にアピールするだけでは商品は売れなくなってきており、自社商品を導入後のメリット、根拠の提示なども必要になってきました。

顧客と深い関係を作るためにも、瞬時に技術文書を取り出せる状態を作っておく必要があります。

人気のPLMソフト3選

代表的なPLMソリューションには、以下のような製品があります。

1.NEC「Obbligato」

NEC社のPLMシステム「Obbligato」
出典元:『NEC』

NECのPLMシステム「Obbligato」は、導入社数1,000社以上で出荷数量No.1、国内トップシェアを誇るシステムです。

企業全体で情報共有するための機能「エンタープライズソリューション」、BOMデータを有効活用するための機能「統合BOMソリューション」などが用意されており必要なパッケージを導入できます。

NEC社のデジタル技術(AIやIoTなど)とPLMシステムを融合させれば、市場動向や顧客ニーズを製品企画へ反映させられたり、保守部品の需要予測で過剰在庫を防げたりと、ものづくりのパフォーマンスを上げていけます。

2.日立ソリューションズ「Hi-PerBT PLM」

日立ソリューションズ「Hi-PerBT PLM」
出典元:『日立ソリューションズ』

日立ソリューションズのPLMシステム「Hi-PerBT PLM」は、データを有効活用して業務改革できるシステムです。紙の図面をデジタル図面化して、申請・承諾の承認フローを採用すれば、在宅でも業務が行えるようになっています。各デバイスにインストールされているソフトウェアは異なりますが、ファイル変換が自動で行われるため、3DCAD図をスマホ・タブレットで見ることができます。

また、OCR機能で資料や図面内のキーワードを検索したり、AI機能で製品企画と類似のものを探したりすることも可能です。PLMシステムで業務改革、DX推進に取り組みたいという方におすすめのシステムとなっています。

3.ダッソー・システムズ「ENOVIA」

ダッソー・システムズのPLMシステム「ENOVIA」
出典元:『ダッソー・システムズ』

ダッソー・システムズのPLMシステム「ENOVIA」は標準機能の種類の多さが魅力となっています。

  • ドキュメント共有
  • プロジェクト管理
  • BOM管理
  • 要件管理

などが標準機能で搭載されており、高度な機能が欲しい場合に追加するシステムです。

国内では東芝などが販売代理店となっており、導入時にパッケージ導入できるかどうか聞けて、デモ・検証をしていきながら業務効率化が実現できるように支援してくれます。

代表的なPLMシステムをご紹介しましたが、リーズナブルでスモールスタートにおすすめのシステムもあります。PLMシステムには、どのようなシステムがあるか詳しく知りたい方は、下記の記事を読んでみてください。

【2024】PLMシステム12選を比較!自社に見合うシステムの選び方を紹介

PLMシステムを導入して効果を得た企業事例

日本の総合電機メーカーの株式会社東芝は、PLMシステムを活用して次世代ものづくりに取り組んでいます。東芝が次世代ものづくりのために取り組んでいることには、以下のようなものがあります。

  • 部品の在庫管理、設備の稼働状況を把握して止まらない工場をつくる
  • 製品開発の技術力をデータ化して資産をつくる
  • 各部門が所有するデータを一元管理してスマートな製品開発をする

東芝は製品開発の現場で起きている状況をデジタル情報で蓄積していき、製品製造のリードタイムの短縮、製品品質の向上、コスト削減に向けてあらゆる施策を打っています。

東芝はPLMシステムの投資計画において、2.5倍の費用対効果を得ることに成功しました。

PLMシステムについてまとめ

PLMとは製品ライフサイクル(企画・開発・調達・製造・販売・梱包・使用・再生・廃棄)におけるデータを一元管理するためのシステムです。

製造会社は多様化する顧客ニーズに対応しなければいけず、短くなった製品ライフサイクルで売上最大化を狙わなければいけません。そのためには、高品質な製品を早く安く作る必要があります。

PLMシステムは製品ライフサイクルのデータを一元管理して、業務連携し、企業競争力を高めるためのデータ管理システムです。ぜひ、これを機会にPLMシステムの導入を検討してみてください。

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