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【2024】AutoCAD LTとはどんな製品?提供終了の詳細や代替サービスについて解説

CADソフトには多様な種類がありますが、中でも人気が高い製品の一つにAutoCADがあげられます。幅広い用途に活躍するAutoCADを好む企業は非常に多いですが、価格が比較的高価であり、導入が見送られるケースもあるものです。

そんな予算面での懸念事項を解消するために提供されてきたのが、AutoCADの廉価版であるAutoCAD LTです。この記事では、AutoCAD LTの概要や現在の提供状況、そしてAutoCADなどのCADソフトを安価に使用するためのポイントについて、解説します。

AutoCADとは

AutoCADとはAutodesk社が開発・提供している世界で最もポピュラーなCADソフトです。欧米圏を中心に人気の高い2D・3DCADソフトですが、公式の日本語サポートも提供されていることから、国内の企業からも根強い人気を誇ります。

AutoCADの魅力は、なんといっても汎用性が高くあらゆる領域のCAD業務に適用ができるところにあるでしょう。CADが必要になった際、とりあえずAutoCADが手元にあれば大抵のタスクには対処できるため、使い方を覚えたりソフトをインストールしておいたりして損はありません。

頻繁なアップデートによって常に最新の技術を使える環境にあることから、これからCADソフトを使いこなしたい、3Dモデリングや設計・施工業務に携わりたいと考えている人にとって、最適な選択肢の一つと言えるでしょう。

AutoCAD LTとは

AutoCADは確かに便利な2D・3DCADソフトですが、一つネックになるのが、導入及びライセンスの維持にかかるコストです。AutoCADは月額や年額でのライセンス契約となるため、年間で数十万円、あるいは月額数万円単位で料金の支払いが発生します。

そのため、長期的にソフトを使い続けるには相応の支払いが伴うことになり、その負荷は決して小さくありません。コストの発生を嫌い、企業によってはAutoCADよりも安価な製品を選ぶケースもあるものです。

このようなコスト面の問題で悩むユーザー向けに提供されたのが、AutoCAD LTです。AutoCAD LTはいわゆるAutoCADの廉価版で、2D機能に限定してサービスを提供することで、安価な利用を可能にしています。

AutoCADは元々、2Dと3Dの両方に対応しているCADソフトですが、企業によっては3Dを必要としない、2D図面特化の業務に携わっているケースも少なくありません。

このようなニーズに対応すべく登場したのがAutoCAD LTで、安価にAutoCADを利用したい、あるいは2D機能しか使わないのでこちらで良いという人にとって、魅力的なサービスとして注目を集めました。

AutoCAD LTの提供終了について

上記のような開発背景を持つAutoCAD LTでしたが、2021年よりAutoCAD LTの新規販売は終了し、現在は購入することができなくなっているサービスです。AutoCAD LTのサービスそのものはまだ続いているものの、これからAutoCAD LTを新たに使用したい場合は、AutoCAD LTの終了とともに生まれ変わった新しいAutoCADの契約が必要になる点に注意しましょう。

そのため、AutoCADを2Dだけで使用したい場合は最低でも通常版のAutoCADを契約する必要があり、例え3Dモデリングを行わない場合でも3D機能が付与されてしまうこととなります。とはいえ、新プランに移行したことでAutoCADも以前より安価な料金で利用ができるようになったため、再度導入を検討してみるのも良いでしょう。

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AutoCADの現在のプラン状況

autocad操作画面

AutoCAD LTが廃止された2024年1月現在、AutoCADを利用する場合は主に

  • AutoCAD
  • AutoCAD Plus

という2種類のプランから自社に合ったものを選ぶ必要があります。

1つ目のプランは、いわゆる通常版のAutoCADです。2Dと3DのCAD機能を一通り備えている汎用CADとしての活躍が期待でき、強力なビジュアライゼーションツールを使って、質の高い3Dモデルを仕上げることができます。

2つ目のプランは、AutoCAD Plusと呼ばれるAutoCADの拡張版にあたるプランです。上で紹介した通常のAutoCADの各種機能に加え、ツールセットと呼ばれる拡張機能が付属します。

ツールセットは、全部で7の業種に対応可能な、各業界に特化した拡張CAD機能を備えたものです。建築設計や設備設計、プロダクトデザインなど、業種ごとに異なる機能が求められるCAD利用においては、汎用CAD一台では対処できないタスクもあります。

そんな時に活躍するのがAutoCAD Plusの各種ツールセットで、これらを適宜活用することで、専門的な機能をいつでも自由に使用することが可能です。

AutoCADの弱点である専門性を補うのが、AutoCAD Plusのツールセットです。

また、AutoCADとAutoCAD Plusの現在の基本的な料金形態は、以下の通りとなります。

AutoCAD AutoCAD Plus
特徴 基本的な2D・3D機能を備えたスタンダードモデル 各種業界に特化したツールセットを備えたアップグレードモデル
料金 7万1,500円/年〜 23万1,000円/年〜

AutoCADの7万1,500円からという価格は、AutoCAD LTが当時6万1,500円で合ったことを考えると、そこまで高価ではないとも言えます。月額1万円以内で使用できる高機能2D・3DCADソフトとも言えるAutoCADは、以前よりも身近に使えるようになった製品です。

AutoCADが広く使われている理由

廉価版であるAutoCAD LTが廃止され、通常版以上のAutoCAD利用が求められるようになった現在でもお、AutoCADは依然として国内外で人気の高いCADソフトです。

AutoCADが強力な人気を誇る理由としては、以下のような理由が考えられます。

関係者間の情報共有がやりやすい

まず、AutoCADは世界で最も普及しているCADソフトの一種であり、日本でも例外ではありません。AutoCAD LTが廃止されてもこのトレンドは同様で、異なるCADソフトを利用した際に発生する互換性の心配をしなくて良いのが強みです。

CADソフトが異なる場合、ファイル形式の違いからファイル変換の手間が発生したり、ファイル共有が行えずに作業が停滞したりするリスクが発生します。一方で関係者全員がAutoCADであればそのようなリスクを回避できるので、やはり以前としてAutoCADを使い続ける人は多いのです。

日本語情報が豊富

AutoCADは元々海外で開発されたCADソフトですが、現在は日本にもオフィスを構えており、ほぼ全てのテキストが翻訳された状態で使用することができる製品です。

海外製のCADソフトの中には十分なローカライズが行われていないケースもありますが、AutoCADは日本のユーザーを想定した製品でもあるため、安心して使い続けることができます。

また、日本人のAutoCADユーザーの活動も活発で、トラブルシューティングに際しては日本語コミュニティへの相談を検討したり、YouTubeを使って新しい情報を仕入れたりすることも容易です。

性能への圧倒的な信頼がある

AutoCADは、これまでに多くの企業で採用されてきた実績と歴史があり、依然として最新アップデートも頻繁に行われている製品です。AutoCADを利用しておけば最新のCAD技術をすぐに使えるだけでなく、何かあった場合でもすぐにサポート対応を得ることができるため、初心者の方でも安心して利用ができます。

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AutoCADを安価に使うには

このように、AutoCADは価格相応の信頼と実績のサービスを提供する強力なCADソフトですが、可能であればより費用対効果を高めて運用したいものです。

現状、AutoCADは上記の2つのプランしか提供がされていないため、AutoCAD LTのような廉価版の利用はできません。しかし、ユーザーが学生や教員である場合には教育機関向けプランを契約することができるため、こちらの場合は商用利用ができないものの、通常より安価に利用することが可能です。

具体的な最新の料金については問い合わせが必要ですが、適用対象の場合は積極的に活用しましょう。また、新規ユーザーの場合は30日間の無料ライセンスが利用できるため、こちらの利用も検討することをおすすめします。

AutoCAD LTに代わるコスパ重視のCADソフトは?

jwcadの操作画面

AutoCAD LTのように、安価にCADソフトを使いたい場合はAutoCAD以外のCAD製品の利用も検討してみると良いでしょう。例えば日本国内で誕生したJw_CADは、AutoCAD LT同様に2D特化のCADソフトでありながら、無料で全ての機能を利用できるという魅力的な製品です。

AutoCADのような互換性や汎用性の高さはありませんが、無料で本格的な2D CADが使える点は他にない魅力と言えるでしょう。

また、永久ライセンスを安価に契約できるIJ CADも、AutoCADとの互換性を保ちながらコストパフォーマンス重視で運用可能なCAD製品です。こちらも国内向けに開発されたCADソフトであり、低スペックマシンでも軽快に動作することが強みであることから、気軽にCADソフトを導入したいという方にとって魅力的なサービスとなっています。

AutoCAD以外の選択肢もあることを踏まえ、自社に合った最適なCADソフトを導入しましょう。

AutoCAD LTについてのまとめ

この記事では、AutoCADの廉価版であるAutoCAD LTについて解説しました。AutoCAD LTはすでに提供が終了しているサービスであるため新たな契約はできませんが、新形態のAutoCADはAutoCAD LTとほぼ同じ価格で契約ができるため、おすすめです。

また、AutoCAD LTやAutoCADよりも安価にCAD製品を利用したいユーザーに向けて、類似のCAD製品も複数登場しています。場合によってはAutoCAD以外の製品の契約も検討してみると良いでしょう。

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