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【2025】人材不足を解消する10の方法を徹底解説!解決した事例・意識するポイントも紹介

「人手が足りず、業務が回らない」「求人を出しても応募が来ない」と人材不足の悩みを抱える企業は年々増加しています。少子高齢化や働き方の多様化により、採用難易度は高まり続けており、これまでのやり方では人材確保も組織維持も難しくなっているのが現実です。

そこで本記事では、採用強化だけにとどまらず、業務効率化や組織体制の見直し、外部リソースの活用など、多角的な視点から「人材不足を解消する10の具体策」を解説します。

実際に課題を乗り越えた企業の事例や、実行する際に意識すべきポイントも併せて紹介するため、「何から手を付ければよいのかわからない」という方は、本記事を参考にしてみてください。

日本における人材不足の現状

日本における人手不足の現状

日本の企業では慢性的な人材不足が深刻化しています。帝国データバンクの調査によると、2024年10月時点で正社員が不足している企業の割合は51.7%に達し、半数以上の企業が正社員の人材不足を感じています。

人手不足の現状

引用:帝国データバンク|人手不足に対する企業の動向調査(2025年4月)

人材不足は企業経営に深刻な影響を及ぼしており、実際に人材不足を原因とする倒産件数は過去最多を更新。2024年には10月時点で人材不足倒産が287件発生し、前年を既に上回って2年連続で過去最多となりました。

特に小規模企業や、建設・物流業など慢性的な人材不足に直面する業種で倒産が増えており、人材不足が事業継続を脅かす状況になっています。このように、日本企業にとって人材不足は深刻な課題となっているのが現状です。

人材不足が起きる3つの原因

人手不足が起きる3つの原因

人材不足には様々な要因がありますが、日本における主な原因として以下の3つが挙げられます。

  1. 若者の仕事に対する価値観の変化
  2. 少子高齢化の深刻化
  3. 職場環境や人間関係の不透明さ・悪化

①若者の仕事に対する価値観の変化

近年、若年層の働き方に対する価値観は変わってきています。以前は安定した収入や終身雇用が重視されていましたが、現在はワークライフバランスや自己成長の機会をより重視する傾向が強まっています。

そのため、長時間労働や年功序列が濃い職場、成長実感を得られない仕事には魅力を感じにくく、若手人材が集まりづらくなっています。 また、インターネットやSNSの普及により他社の勤務環境や働き方の情報が得やすくなったことで「より自分らしく働ける職場」を求めて転職する若者も増えています。

終身雇用を前提とせず、ライフスタイルに合った働き方を選ぶ価値観への変化が、企業側の採用難・人材不足につながっているのです。

②少子高齢化の深刻化

日本では少子高齢化が急速に進行しており、労働力人口そのものが減少しています。2023年の合計特殊出生率は1.20と過去最低を更新し、65歳以上人口比率は29.1%に達しました。これに伴い、生産年齢人口は1995年に約8,726万人でピークを迎えて以降減少を続け、2023年には7,400万人を下回っています。

高齢化問題

引用:総務省|令和6年版高齢社会白書(全体版)

将来の見通しも厳しく、2065年には生産年齢人口が約4,500万人まで減少すると推計されています。これは2020年と比べて約2,900万人もの減少、割合にすると現在の約6割程度にまで働き手が減る計算です。

このような人口の変化により若年層の確保が難しくなっていることが、人材不足の根本的な背景にあります。この波により技能やノウハウの継承が追いつかず、さらに人材不足が加速する懸念も指摘されています。

③職場環境や人間関係の不透明さ・悪化

労働条件や職場環境の問題も、人材不足を引き起こす原因です。不透明で過酷な職場では従業員が定着せず、離職によってさらに人材不足が深刻化する悪循環に陥ります。例えば、長時間労働やサービス残業、ハラスメントの横行といった労働環境の悪化は、早期退職者を増やす要因です。

また、成果や評価基準が不明確な職場も従業員の不満を高めます。評価基準が曖昧だったり上司によって判断がばらついたりすると「頑張っても報われない」という思いから社員の士気が下がり、退職につながるケースが多いと指摘されています。

このような不透明さを放置すると、優秀な人材ほど見切りをつけて辞めてしまい、結果として人材不足が深刻化します。

人材不足を解消する10の方法|フェーズ別

人材不足を解消するためには、原因に合わせた対策が必要です。ここでは以下3つの軸で、それぞれ効果的な解消方法を10個紹介します。

  1. 採用強化
  2. 定着支援
  3. 業務効率化

①採用強化による人材不足解消方法

まずは人材の採用力を高めることで人材不足を解決する方法です。採用プロセスを見直し工夫することで、これまで採用できなかった層から人材を獲得できる可能性があります。

採用チャネルを増やす

求人の出し方を工夫し、応募者との接点を最大化しましょう。採用チャネルは一つに絞らず、複数の媒体や経路を併用するのが基本です。例えば、求人サイト・求人広告だけでなく、自社採用ページ、ハローワークなど、さまざまなチャネルを活用します。

チャネルごとに得意とする層が異なるため、複数のチャネルを持つことでより幅広い人材にアプローチできるでしょう。また、各チャネルの応募効果を分析し、自社に合ったチャネルに予算を配分することも大切です。

応募後のレスポンスを即日対応にする

求人への応募があったら、可能な限り即日中に応募者へ連絡を取りましょう。応募後の企業からのレスポンスはスピードが命です。遅くとも応募から24時間以内に連絡することで、「迅速に対応してくれる会社だ」と応募者に好印象を与えやすくなります。

逆に連絡が遅れると、その間に応募者の気持ちが冷めてしまったり、他社で選考が進んでしまったりする可能性があります。忙しい場合でも、自動返信メールで応募受付を即座に伝えたり、初回連絡時に面接候補日を提示したりするなど、応募者を待たせない工夫をしましょう。

面接では聞くより見せる

採用面接では、応募者に一方的に質問ばかりするのではなく、会社の魅力や仕事の実際を「見せる」場にすることも大切です。例えば、面接時にオフィスや現場を見学してもらったり、働いている社員と直接話す機会を設けたりすることで、応募者は入社後の具体的なイメージを掴みやすくなります。

応募者にとっては会社のオープンな社風を感じられ、面接官・候補者がリラックスして本音で話せる効果も期待できます。

②定着支援による人材不足解消方法

次に、「入社した人に長く働いてもらう」ための定着支援策です。せっかく採用しても早期離職されては人材不足は解消しません。社員が働き続けやすい環境や仕組みを整え、人材の流出を防ぎましょう。

期間限定で専属メンターをつける

新入社員や若手社員に対しては、一定期間「メンター」となる先輩社員をつける制度を導入しましょう。メンター制度は先輩社員が定期的に面談し、業務上の悩みや不安を聞いてサポートする仕組みです。

期間限定でもメンターを配置すれば新人の孤立感がなくなり、会社が自分を大事にしてくれているという実感も得られるでしょう。

個別ヒアリングを定期化・形式化する

従業員一人ひとりの声を定期的に聞く仕組みを作りましょう。上司と部下が定期的に1対1で面談する「1on1ミーティング」の導入がおすすめです。継続することで上司と部下のコミュニケーションが活性化し、部下のモチベーション向上や定着率アップにつながります。

ポイントは、面談を定期スケジュールに組み込み形式化することです。忙しいとつい部下との対話が後回しになりますが、公式に制度化することで実施漏れを防げます。

評価制度を可視化する

社員が納得できる公平な人事評価制度を整備することも、定着率向上には必須。評価基準や昇進・昇給の仕組みが不透明だと、社員に不満が蓄積し離職の原因となります。

重要なのは、評価基準を明確にし全社員に周知することです。評価制度を見直す際には、誰をどのように評価するかの基準を言語化し、評価者によるばらつきが出ないようにします。

③業務効率化による人材不足解消方法

3つ目の軸は、「少ない人手でも業務が回るよう効率化する」対策です。業務の進め方を改善し一人当たりの生産性を上げれば、現在の人員でも不足を補えます。

「今日やらない仕事」を共有する

仕事の優先度を見極め、「今日やるべきこと」と「後回しにできること」を明確に区別しましょう。忙しいときこそ、何を今すぐやり何を後回しにするか判断力が求められます。そのために「あえて今日やらないタスクを決める」ことが有効です。

「明日できることは今日しない」という発想の時間管理術にも通じ、タスク量を減らしストレスを軽減する効果があります。

1人1改善ルールを導入

現場の生産性を上げるには、社員一人ひとりが主体的に改善案を出す風土づくりが効果的です。そこで「1人につき必ず1つ業務改善提案を出す」というルールを導入してみましょう。

例えば月に1回、各社員が自分の業務で見つけた無駄や効率化アイデアを提出し合う仕組みです。全員の参加で継続的な改善を根付かせれば、限られた人員でも生産性高く回せる組織になるでしょう。

外注できる仕事は全て洗い出す

人材不足時には、自社内で抱え込まずアウトソーシングを活用するのもおすすめの手段です。まずは現在の業務を洗い出し、外部に委託できる業務がないか検討してみましょう。専門性が求められる業務や一時的な繁忙による業務量増加などは、社外の力を借りることで人材不足を解消しつつ人件費効率を高めることができます。

例えば、経理・給与計算・採用など管理部門の業務を代行サービスに任せる、製造の一部工程を協力会社に委託する、ウェブデザインをフリーランスに発注する等の方法があります。

デジタルツール・自動化の導入

最新のデジタル技術を活用して業務プロセス自体を効率化・自動化することも、人材不足解消には必要です。RPAやAI、各種ITツールを導入して、これまで人手で行っていた反復的業務をソフトウェアに代行させます。

定型的なデータ入力・集計・メール配信・レポート作成などを自動化することで、業務効率化が可能です。

以下の記事では、新入社員研修を成功させる方法について解説していますので、あわせてご覧ください。

【2025】新人社員研修の成功の秘訣は?AI・DX時代に適応する人材育成方法

人材不足解消方法で意識するポイント

人手不足解消方法で意識するポイント

人材不足の対策を講じる際、留意すべきポイントがいくつかあります。ただ闇雲に施策を実行するだけでなく、バランスや業界特性、長期的視点を意識することで、より効果的に人材不足を解消できるでしょう。主に以下3つのポイントです。

  1. 3つの軸で対策をバランスよく行う
  2. 業界・業種で解消方法は変える
  3. 中・長期的に改善できるかを意識する

①3つの軸で対策をバランスよく行う

人材不足解消には、「採用」「定着」「効率化」のいずれか一つだけでなく、複数のアプローチを総合的に実施することが望ましいです。採用強化だけ行っても入社後すぐ辞められては意味がありませんし、逆に定着施策だけでは根本的な人数不足は補えません。

経営者自らリーダーシップを発揮し、様々な対策を組み合わせて総合的に取り組むことが重要。一つの施策で完璧に解決しようとせず、複数の策をバランスよく実施し、少しずつ状況を好転させましょう。

②業界・業種で解消方法は変える

人材不足の要因や解決策は、業界・業種によって異なります。例えば、IT業界では「即戦力のスキル人材不足」が課題であるのに対し、介護業界では「肉体的・精神的負担の大きさと待遇問題」が根本にあります。したがって、自社の属する業界の特性に応じた対策を選択することが重要です。

なお、地方の中小企業と都市部の大企業でも事情は違います。地方では人材そのものが少ないためUIJターン採用や地域連携が必要で、都市部では競合が多い中で独自の魅力づくりが必要です。

③中・長期的に改善できるかを意識する

人材不足への対応策を検討する際には、中長期的な効果を見据えることも重要です。すぐに効果が出る施策は魅力的ですが、短期的な成果を求めすぎると無理な負担を現場に強いたり、本質的な解決にならない恐れがあります。

実際、従業員の定着率向上などは一朝一夕で実現できるものではなく、短期間で結果を出そうと焦って社員に過度な施策を押し付けると逆効果になり得ます。 例えば、人材不足だからといって社員に過剰な残業や業務兼任を強いるのは、一時しのぎになっても長続きしません。

そうではなく、腰を据えて職場環境の改善や人材育成に取り組むことで、徐々に人材不足を解消していく視点が求められます。

企業の人材不足を解消した事例と方法

企業の人手不足を解消した事例と方法

実際に人材不足の解消に成功した企業の具体的な事例を紹介します。いずれも中小企業ながら工夫を凝らし、人材確保・定着や生産性向上で成果を上げた会社です。自社で施策を検討する際の参考にしてください。

会社名 課題 対策した内容 成果
株式会社minitts 飲食業界における女性従業員の離職
  • 100食限定の営業スタイルで残業ゼロを徹底
  • 勤務時間を9時~18時に固定化
  • 女性従業員の定着率が大幅に向上
  • 応募者が増加
株式会社いせん 地方の旅館業における慢性的な人材不足と若手採用の困難
  • 旅館に加え飲食・物販・旅行業などを展開し多能工化を推進
  • 複数部門で横断的な業務により柔軟な働き方を整備
  • 従業員のモチベーションと生産性が向上
  • 売上と従業員数が10年間で3倍に成長
宇都宮工業株式会社 新規事業に伴う高度人材の採用難と製造現場の人材不足
  • 開発業務の魅力を前面に出した採用広報に変更
  • 学生の共感を得られるメッセージ設計
  • 優秀な工学系人材を新卒で確保
  • 製造現場の安定運用に成功

①株式会社minitts|女性従業員の定着率向上に成功

株式会社minittsは、1日100食限定の営業体制を導入し、営業時間を9時〜18時に固定することで完全な残業ゼロを実現。有給休暇の完全取得制度やフレックスタイム制、出産後の復職支援など、働きやすい制度を多面的に整備することで、結婚や出産を機に離職していた女性社員の定着率が改善されました。

結果として、女性従業員の8割が継続勤務し、同社の働き方に共感した他店舗の経験者からの応募も増加するなど、人材の確保と定着の両面で好循環が生まれ、業績も安定的に向上する成果を上げています。

②株式会社いせん|売上と従業員数が10年間で3倍に成長

株式会社いせんは、旅館業にとどまらず飲食・物販・製造など複数の関連事業を展開し、従業員が部門を横断して働ける「多能工化」を推進しました。リーダー研修やキャリアアップ支援といった社内教育にも注力し、社員が意欲的にスキルアップできる環境を整備。

その結果、一人ひとりの価値が高まり、忙しい部門に柔軟に人員をシフトできる体制が構築されました。これにより長時間労働を防ぎつつ高い生産性を維持し、結果的に売上と従業員数の双方を10年間で3倍に伸ばすという目覚ましい成果を実現しています。

③宇都宮工業株式会社|スキルの高い社員を採用できるように

宇都宮工業株式会社は、新規事業である住宅設備の開発にあたり、当初はエンジニア採用に苦戦していましたが「自分のアイデアが製品になる仕事」という開発職の魅力を明確に伝える戦略に切り替えました。

募集要項や説明会でやりがいや将来性を前面に打ち出したことで、製造業志望の学生から高い共感を得られ、結果的に優秀な工学系人材の採用に成功。また、採用広報の工夫と柔軟な人材配置により、開発と製造の両面で体制が強化され、新規事業を着実に推進できる人材基盤が整いました。

以下の記事では、人材育成の成功事例をより紹介していますので、あわせてご覧ください。

【2025】DX人材育成の成功事例9選!IPAの定める5つの人材類型と社内推進のポイントも解説

人材不足を解消するなら「DX・AI人材育成研修サービス」

企業向けDX・AI人材育成サービス 近年、人材不足の解決策として注目を集めているのが、「DX・AI人材育成研修サービス」の活用です。サービスでは、専門の外部機関が企業のデジタル活用度を診断し、社員向けにDXやAI技術の研修プログラムを提供してくれます。

例えば、「DXレベルチェック」で企業の現状課題を可視化し、それに応じた研修プランを提案。研修内容も短期集中コースから中長期の育成コースまで柔軟に用意されており、対象社員のスキルレベルや会社の状況に合わせてカスタマイズ可能です。

研修によって社員がRPA開発やAI活用のスキルを身につければ、これまで人海戦術で行っていた業務をソフトウェアやAIに任せられるようになります。つまり、同じ人数でも扱える業務量が増え、人材不足の圧力を緩和できるのです。

人材不足解消方法についてのまとめ

日本企業における人材不足の現状と原因、具体的な解消方法を解説しました。少子高齢化による労働力人口の減少や若者の価値観変化といった構造的課題に直面する中、企業は採用・定着・効率化のあらゆる手段を講じて人材不足に対応していく必要があります。

人材不足の解決策に「これさえやればOK」という万能策はありませんが、本記事で挙げた10の方法を組み合わせ、貴社の状況に合わせて実行することが重要です。ぜひ本記事を参考に人材不足解消方法を実施してみてください。

人材不足を解消する10の方法を徹底解説!解決した事例・意識するポイントも紹介
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