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【2025】5軸マシニングセンタとは? 3軸との違いや導入のメリット、おすすめ製品を紹介!

製造業の切削加工における、精密なものづくりに欠かせない機械がマシニングセンタです。マシニングセンタは5軸と3軸の構造とに分類されますが、具体的な違いに詳しい方は少ないのではないでしょうか。

そこで本記事では5軸マシニングセンタを詳しく解説し、3軸との違いや導入のメリット、おすすめの製品を紹介します。

5軸マシニングセンタとは?

一般的なマシニングセンタ(X・Y・Zの3軸構造)に、傾斜と回転の2軸を加えたマシニングセンタを5軸マシニングセンタといいます。この機械を導入すれば、従来の3軸では加工できなかったアンダーカットや3次元局面などの複雑な加工も可能です。

また3軸マシニングセンタでは製品加工時に段取り替えが必要でしたが、5軸では段取り替えが不要で生産性が向上しました。5軸マシニングセンタを活用すれば生産効率が向上する一方で3軸に比べて操作が難しく、操作にはNC装置やCADなどの高性能な制御装置が必要です。

3軸・5軸のマシニングセンタの違いを解説

3軸・5軸マシニングセンタ双方ともに精密な切削加工には欠かせない機械ですが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。では3軸・5軸のマシニングセンタの違いを解説します。

3軸マシニングセンタの特徴

X軸(横に稼働)、Y軸(縦に稼働)、Z軸(高さ調整)の3つの軸を同時に制御し、製品を加工する機械を3軸マシニングセンタといいます。それぞれの軸は常に垂直固定で作動し、製品を少しずつ切削・加工して形状を整えます。

複雑な加工が必要な場合には専用の治具などを使用し、加工物と切削刃物が最適な角度で接触するよう調整が必要です。したがって3軸マシニングセンタでの加工時には、加工費用と合わせて治具制作費用も計上される点も把握しましょう。

3軸マシニングセンタは5軸マシニングセンタに比べて工程が増え、その分コストがかかるのが現状です。

5軸マシニングセンタの特徴

3軸マシニングセンタのX・Y・Z軸に、可動範囲が大きい2軸を付加して作られているのが5軸マシニングセンタです。付加された2軸は回転刃物が設置されている主軸のヘッド部が、加工する製品を正面に見た際に時計の反対周りに150度ほど回転するB軸と、加工品をセットして上下稼働が可能なうえに、360度コマのように回転するC軸を指します。

従来の3軸にB軸とC軸を組み合わせて同時制御することで、3軸マシニングセンタでの治具の調整も不要になり、プログラム設定により複雑な形状の加工を実現しました。

5軸マシニングセンタ導入のメリット

5軸マシニングセンタ導入のメリット

5軸マシニングセンタは精密加工には欠かせない機械で導入すれば

  • 多面加工しやすい
  • 短い突き出し工具での加工が可能
  • 切削工具の位置設定が可能

などのメリットを得ることができます。では5軸マシニングセンタ導入のそれぞれのメリットを詳しく解説します。

多面加工しやすい

多面加工しやすい点も、5軸マシニングセンタ導入のメリットの1つです。従来の3軸マシニングセンタでは1度のセッティングでの多面加工が難しく、加工面を変更するたびに切削工具や加工品の段取り替えが必要でした。

また自動での治具交換が可能な3軸マシニングセンタでも、加工面を変えるために製品や固定テーブルの移動が必要です。一方の5軸マシニングセンタは、稼働したまま製品や切削工具を傾斜させたり回転できるので、一度のセッティングで多面加工ができます。その結果として加工時間を短縮し、生産性を高めることも可能です。

短い突き出し工具での加工が可能

5軸マシニングセンタを導入すれば、短い突き出し工具での加工が可能な点もメリットです。従来の3軸マシンングセンタでは複雑な形状で深彫り加工が必要な際に、切削工具と製品が接触しないように長めの突き出し工具での加工が必要でした。

当然ながら切削工具が長くなるほど、工具の耐久性が低下して変形しやすくなり、加工精度も低下していました。一方の5軸マシニングセンタは加工する製品の形状が複雑で、深掘りが必要でも製品を自由自在に傾けられるので、短い突き出し工具での加工が可能です。

また突き出し量の短い切削工具を使用することにより、工具の寿命も延びてコスト削減にも繋がります。

切削工具の位置設定が可能

切削工具の位置設定が可能な点も、5軸マシニングセンタを導入するメリットの1つです。5軸マシニングセンタを活用すれば、傾斜面や球体など円状の製品の加工も可能にしたボールエンドミル加工が可能になります。

従来の3軸マシニングセンタでは製品を斜めに設置できないので、製品と先端が球上になっているボールエンドミルを垂直に設置しなければいけませんでした。その結果として、加工面に切りクズ跡などの「むしれ」が生じていました。

その反面5軸マシニングセンタは加工物を自在に移動し、エンドミルとの接触箇所を自由に設定できるので加工精度が向上します。

5軸マシニングセンタ使用時の注意点

5軸マシニングセンタは3軸マシニングセンタと比較して機能性に富んでいますが、重量物の加工時には注意が必要です。5軸マシニングセンタは回転式のテーブルに製品をセットし、高回転で加工を行うため重量物では機械に負担がかかりすぎます。

そして重量物を回転させれば製品に「ブレ」が生じて加工精度が低下するのが現状です。また5軸マシニングセンタは3軸マシニングセンタと比べて制御が必要な機能が多く、細かな寸法のズレの調整も困難になります。

おすすめの5軸マシニングセンタ

現在さまざまな製造業の現場で愛用されている5軸マシニングセンタですが、実際にどのような機種が製造・販売されているのでしょうか。ここからはおすすめの5軸マシニングセンタを表記してそれぞれを詳しく紹介するので、自社導入時の参考にして下さい。

機種 特徴
①KITAMURA SUPERCELL-800G 標準装備として122本もの工具を収納
②FTV-500i 比較的低価格で導入できるうえに、精密加工や多面加工を実現
③KITAMURA Mytrunnion-4G 小さめの設計で開発されており、簡単に設置スペースを確保できる
④C250 振動を抑えた安定的な加工を可能
⑤MX-520 機能性に富み、多岐に渡るオプションにより自動運転することも可能
⑥E-32v 機械の基部となる3軸にはマグネスケールを搭載し、磁気による製品の位置確認が可能

①KITAMURA SUPERCELL-800G

KITAMURA SUPERCELL-800G

引用:KITAMURA

キタムラ機械株式会社の代表作である、SUPERCELLシリーズの最高傑作として製造・販売された5軸マシニングセンタがKITAMURA SUPERCELL-800Gです。標準装備として122本もの工具を収納しているうえに、その工具をわずか1秒で交換できる高機能を有しています。

駆動に関してもツインタイプのサーボモーターを使用しているので、安定度の高い位置設定が可能です。

②大鳥機工株式会社 FTV-500i

大鳥機工株式会社 FTV-500i

引用:大鳥機工株式会社

FTV-500iは大鳥機工株式会社が開発・販売している5軸マシニングセンタで、コスパに優れた高機能製品です。比較的低価格で導入できるうえに、精密加工や多面加工を実現できるのもメリットといえます。

このような観点からも、低価格の製品の大量生産や、小ロット生産でも収益性を確保できる5軸マシニングセンタとしての認識も高いです。低価格での導入が可能な点から、試験的に5軸マシニングセンタを利用したい企業にもおすすめの機械といえます。

③KITAMURA Mytrunnion-4G

KITAMURA Mytrunnion-4G

引用:KITAMURA

マシニングセンタの製造・販売に特化したキタムラ機械株式会社が開発した、5軸マシニングセンタがKITAMURA Mytrunnion-4Gです。小さめの設計で開発されており、簡単に設置スペースを確保できる点もメリットといえます。

さらに100時間を超えるプログラムでも、一括処理が可能な優れた制御機能を有しています。

④マシニングセンタC250

マシニングセンタC250

引用:愛知産業株式会社

ドイツのハームレ社が製造を手掛け、日本の愛知産業株式会社が販売を手掛けている高機能な5軸マシニングセンタがC250です。3軸構造に2軸を加えた設計ではなく、最初から高機能な5軸マシニングセンタとして設計・開発されており、全体的にシンプルな設計も特徴といえます。

またフレーム部分に人造石を利用することで、振動を抑えた安定的な加工を可能にした機種です。

⑤松浦機械製作所  MX-520

松浦機械製作所  MX-520

引用:松浦機械製作所

松浦機械製作所がコスパ面を重視して製造している5軸マシニングセンタが、MX-520です。2,600万円程度の比較的低価格で購入できるので、5軸マシニングセンタの試験的導入に適しています。MX-520は機能性に富み、多岐に渡るオプションにより自動運転することも可能です。

パレット移動を伴う自動化を推進した豊富なオプションにフロアパレットシステムのPC4を組み合わせれば、効率的な自動化を実現できます。そのほかにも部材運搬コンベアや使用工具を増やせるマガジンなど、多様な機能を有しています。

⑥株式会社エグロ E-32v

株式会社エグロ E-32v

引用:株式会社エグロ

E-32vは老舗工作機械メーカーである、株式会社エグロが製造・販売しているコスパ面を重視した5軸マシニングセンタです。機械の基部となる3軸にはマグネスケールを搭載し、磁気による製品の位置確認を可能にして製造精度を高めています。

さらに製品によるチャックの使い分けが可能で、多様な自動化が可能です。5軸マシニングセンタの中でも小さめに作られており、設置場所に苦労しないので試験的な導入に最適といえます。

⑦ヤマハ発動機株式会社 ガントリー型NC加工機

国内最高クラスの加工精度と速度を実現した、ヤマハ発動機により製造・販売されている5軸マシニングセンタがガントリー型NC加工機です。一般的な工作機械に比べて大型の製品の加工に向いているので、大型製品を製造する業者に最適な5軸マシニングセンタといえます。

高精度の曲線加工や、複雑な形状の大型製品の加工が必要な企業におすすめです。

⑧DMG MORI NTX 500

引用:DMG MORI

DMG森精機株式会社が製造・販売を手掛ける、比較的コンパクトなサイズで作られている5軸マシニングセンタがNTX 500です。フライス加工からミーリング加工までの工程を1台でこなせるので、生産スペースを有効活用できる点もメリットといえます。

またIMTRと呼ばれるロボットシステムと併用すれば、完全自動化が可能です。生産工程により操作パネルの液晶表示が切り替わるのも特徴で、この機能により幅広い業務に対応することができます。

⑨牧野フライス製作所 V100S

引用:牧野フライス製作所

V100Sは牧野フライス製作所が製造・販売を手掛ける大型の5軸マシニングセンタです。作業用の加工室が設置され、オペレーターはその中で加工作業を行います。加工室は広めのスペースを確保しており、1.5トンまでの部材加工可能なので大型製品の加工も可能です。

また天井一体型の扉も特徴で、クレーンを使用して重量のある部材を搬入したり、完成品を搬出できるのもメリットといえます。

最適な5軸マシニングセンタを導入して製品の精度を高めよう

最適な5軸マシニングセンタを導入して製品の精度を高めよう

5軸マシニングセンタを導入すれば、短時間で高精度な生産が実現されます。しかし製品によって用途や特徴が異なるので、自社商品の生産に適したマシンの選択が必要です。

今後自社商品開発において5軸マシニングセンタの導入を検討しているのであれば、本記事を参考に自社に最適な導入を行って製品の精度を高めて下さい。

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