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【2024】縦型マシニングセンタとは?原理や用途、横型との違いを徹底分析!

マシニングセンタは私たちの生活に欠かせない家電製品やIT機器など、さまざまな製品の部品製造に欠かせない重要な機械です。マシニングセンタには縦型をはじめ横型などさまざまな機種が製造され、自社製品に適した機種を選ばなければ生産性を高めることができません。

そこで本記事ではマシニングセンタの中でも代表的な機種である、縦型マシニングセンタを詳しく解説して原理や用途、横型との違いも分析します。

縦型マシニングセンタとは?

製品を上部から加工するため、切削を行う回転軸が垂直方向に取り付けられているマシニングセンタを縦型マシニングセンタといいます。縦型マシニングセンタは加工精度が高いうえに治具のセッティングも簡単で、使いやすい点が特徴的です。

また縦型に製品を加工するという構造上、省スペースでの導入ができる点もメリットといえます。縦型マシニングセンタは、主に電子部品部門での金型加工などの用途に使用されるケースが多いです。

横型マシニングセンタとは?

横型マシニングセンタは、水平方向の切削を可能にしたマシニングセンタです。手動ではなく自動制御により加工面を変更するので、高い加工精度を生み出すことができます。

また製品切削・加工による切りクズや切削粉は全て下部に落下し、加工面に堆積しないので作業しやすい点も特徴です。

縦型と横型マシニングセンタの違いを解説

縦型マシニングセンタと横型マシニングセンタは双方ともにさまざまな製造現場で使用されていますが、数点の相違点があります。では縦型・横型マシニングセンタのそれぞれの違いを詳しく解説します。

加工精度の違い

加工精度も縦型と横型のマシニングセンタの違いの1つです。縦型マシニングセンタは製品に対して垂直方向に切削軸で加工を行うため、切削油などが加工面に届きやすくなって切削精度が向上します。

その反面切りクズや切削粉が製品上に堆積して、加工不良になるケースも多いです。一方の横型マシニングセンタは切削油が落下しますが、切りクズや切削粉が加工面に堆積しないので加工精度が向上します。

このように縦型・横型マシニングセンタ双方ともに加工精度におけるメリット・デメリットが発生するので、自社製品の加工状況に適した機種を選択しましょう。

構造的な違い

構造的にも大きな違いがあります。縦型マシニングセンタは切削工具を取り付けて加工作業を行う回転軸が、製品に対して垂直方向に設置されている構造です。

一方の横型マシニングセンタは、回転軸と製品が水平に並び、双方ともに地面に対して水平に設置されています。このような構造の違いに伴い、生産可能な製品が異なる点も把握しましょう。

加工方向の違い

縦型・横型のマシニングセンタは構造的な違いに伴って、加工方向も異なります。縦型・横型の双方ともに読んで字のごとく、縦型は縦向きに、横型は横向きに製品を加工します。

加工方向だけでなく製品を固定する向きも異なり、縦型は製品を水平方向に、横型は製品を垂直方面に固定するケースがほとんどです。

ワークのセッティング方法の違い

ワークのセッティング方法も、縦型と横型マシニングセンタで異なります。横型マシニングセンタではワークを水平方向に固定しなければいけないので、固定完了までに手間と労力がかかるのが現状です。

一方の縦型マシニングセンタはワークをテーブルにおいて固定するだけなので、簡単にセッティングできるうえに労力もかかりません。また縦型マシニングセンタは固定治具を使用し、テーブルにセットしたワークを固定しやすいのもメリットです。

コスト的な違い

縦型・横型ではコスト的な面においても異なります。横型マシニングセンタは構造が複雑で、多くの機能が搭載されているので縦型マシニングセンタよりも高値で取引されているのが現状です。

設置面積の違い

設置面積も、縦型・横型マシニングセンタの違いの1つです。縦型マシニングセンタは垂直方向に製品を加工するので、横方向への消費スペースが少なく設置に広い場所を取りません。

一方横向きのマシニングセンタは、水平方向に製品を加工するので設置に横方向の広めのスペースが必要です。

縦型マシニングセンタの原理とは?

縦型マシニングセンタは製品を加工する主軸が機械上部に設置され、垂直方向に加工を行うので狭い場所でも簡単に設置できます。また切削油を加工箇所に届けやすく、加工面の精度を高めることも可能です。

一方で垂直方向に加工を行うため切削粉や切りくずが加工面に堆積しやすく、加工面を高めるためにもこまめな清掃が欠かせません。また縦型マシニングセンタは製品の自動交換が可能なパレットチェンジャを導入しにくい点から、大量同時生産を行う際にはパレットチェンジャ導入が可能な横型マシニングセンタがおすすめです。

下記の記事には製造業における大量同時生産を実現するための有効な手段である、製造業DXを詳しく解説した記事を添付しますので参考にして下さい。

【2024】製造業DXとは?実現できることとよくある課題

縦型マシニングセンタの使用用途を紹介

縦型マシニングセンタの使用用途を紹介

縦型マシニングセンタを導入すれば、中ぐりやドリル、エンドミルやフライス、タップ加工など幅広い切削加工が可能です。したがってセラミックスや金属のほかに、プラスチック製品の加工などさまざまな製品の加工用途として使用されています。

また構造的に治具での固定が簡単にできるため、ワーク交換を頻繁に行わなければいけない少量生産に適しているのも特徴です。下記の記事には製造業における多品種少量生産の自動化も可能にした、スマートファクトリーに関する記事を添付するので参考にして下さい。

【2024】スマートファクトリーとは?自動化のメリットと注意点

縦型マシニングセンタのメリット・デメリット

さまざまな製造現場で導入されている高機能な工作機械である縦型マシニングセンタは、使用時にはどのようなメリットやデメリットが発生するのでしょうか。

縦型マシニングセンタのメリット

縦型マシニングセンタは製品に対して垂直に加工し、製品の上面から徐々に加工を始めます。したがって製品の加工状況を確認しやすく、加工図面と照合しやすい点もメリットの1つです。

また前述のように横型マシニングセンタなどに比べて省スペースでの設置も可能で、導入に場所を取らない点もメリットといえます。

縦型マシニングセンタのデメリット

縦型マシニングセンタは垂直方向で製品を加工するので、切りくずや切削粉が加工面に堆積しやすい点がデメリットです。加工面に切りクズや切削面が堆積して加工時に切削工具と接触すれば、工具との摩擦が進んで工具の劣化が進行します。

また切りクズや切削粉が堆積した状態で加工を続ければ、加工不良に繋がるのでエアーや潤滑剤による清掃に手間がかかります。

縦型マシニングセンタの種類を紹介

縦型マシニングセンタは主軸に差し込むサイズ規格である、「シャンク」の大きさによって

  • 30番主軸搭載型
  • 40番主軸搭載型
  • 50番主軸搭載型

に分類されます。ではそれぞれの種類を詳しく解説するので、自社導入時の参考にして下さい。

30番主軸搭載型

小型専用ツールを使用して切削工具の交換を簡素化しているのが、30番の主軸を搭載している縦型マシニングセンタです。主軸の高速回転や高速送りが可能なので、スピーディーな加工が実現されます。

また他機種に比べてコストも安くコンパクトなため、小規模の工場でも設置しやすい点もメリットです。しかし全体的に小型な構造なため、大型の製品加工など負荷が大きい加工には向いていません。

40番主軸搭載型

40番の主軸を搭載したマシニングセンタは、シャンクの強度をはじめ総合的なバランスがよく、優れた汎用性を持つ中型の縦型マシニングセンタです。主に自動車部品加工や金型加工で頻繁に使用されています。

50番主軸搭載型

優れたシャンクの強度を持ち、大型製品など過大な負荷がかかる加工に適しているのが50番の主軸を搭載している縦型マシニングセンタです。シャンクの強度に優れているので、主に大型製品の重切削加工などに利用されます。

おすすめの縦型マシニングセンタメーカーを紹介

自社の生産性を高めるためにも、製品に適した縦型マシニングセンタの選択が重要です。一方で現在はさまざまなメーカーが縦型マシニングセンタを製造・販売しているので、メーカー選びに困惑している方も多いのではないでしょうか。

そこでここからは、おすすめの縦型マシニングセンタメーカーを下記に表記し、それぞれを詳しく紹介するので自社導入時の参考にして下さい。

メーカー名 特徴
オークマ株式会社 縦型マシニングセンタに関しては主にMA・MBシリーズを製造・販売
DMG森精機株式会社 縦型マシニングセンタだけでなく大型のマシニングセンタの製造・販売にも特化
株式会社牧野フライス製作所 フライス盤やマシニングセンタをはじめとした工作機械の設計・製造・販売

オークマ株式会社

オークマ株式会社は門型をはじめとした大型マシニングセンタの製造に特化したメーカーで、縦型マシニングセンタに関しては主にMA・MBシリーズの製造・販売を手掛けています。特にあらゆる製品の加工に対応可能な5軸制御マシンは多種多様な機種を製造しており、ユーザーの多様なニーズに対応可能な点もオークマ株式会社の強みです。

DMG森精機株式会社

CMX・DMPシリーズなど、高性能・省スペースを実現した縦型マシニングセンタを製造・販売している世界的なメーカーがDMG森精機株式会社です。縦型マシニングセンタだけでなく大型のマシニングセンタの製造・販売にも特化しており、世界各地のユーザーから高い支持を得ています。

株式会社牧野フライス製作所

1937年の創業開始から現在に至るまで、フライス盤やマシニングセンタをはじめとした工作機械の設計・製造・販売まで手掛ける老舗メーカーが株式会社牧野フライス製作所です。低価格・高品質な工作機械の製造・販売を目標に剛性の高い主軸を搭載し、高速回転も可能なマシニングセンタを開発しています。

近年は国内のみならず、アメリカやヨーロッパ、中国などの地域に販路を拡大している工作機械メーカーです。

最適な縦型マシニングセンタを導入して生産性を高めよう

最適な縦型マシニングセンタを導入して生産性を高めよう

今回は縦型マシニングセンタを詳しく解説し、原理や用途、横型との違いを分析しておすすめメーカーも紹介しました。製造現場に縦型マシニングセンタを導入すれば、生産性が向上すると同時に生産精度を高めることができます。

現在は多種多様な機種が製造・販売されているので、迷った時には本記事を参考に自社に最適な縦型マシニングセンタを導入してください。

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