AutoCADで作成した図面をわかりやすくする「寸法」の挿入・修正方法がわからないとお困りではないでしょうか。また、寸法が表示されないといったエラーに悩んでいる方もいるはずです。
そこでこの記事では、AutoCADの寸法機能についてわかりやすくまとめました。
寸法機能の種類や設定方法、エラー対処法も含めて解説しているので、寸法機能を自由自在に扱う参考にしてみてください。
AutoCADの寸法機能とは
AutoCADに搭載されている「寸法機能」とは、作図した図形の寸法を記入するための機能です。
寸法機能は図面をわかりやすくするために欠かせないものであり、次のようなシーンで利用します。
- 作成した構造物・モデルの大きさを表す
- モデル同士の間隔を表す
例えば、土木・建築関連の業務で建物や基礎の図面を書くとき、ただ建物や基礎のモデルをつくるだけでは大きさをイメージできません。場合によっては周辺の建物などと干渉する恐れがあるでしょう。
対してAutoCADの寸法機能を使えば、寸法を見ながら「作図されたモデルが本当に正しいのか」をチェックできます。作図に関わる業務では1mmのズレも許されない場合が多いので、寸法機能を使うことにより、設計・施工のミスを防止できるのが特徴です。
これからAutoCADの導入を考えている方は、以下の記事をチェックしてみてください。
AutoCADの寸法の種類
AutoCADに搭載されている寸法機能の種類を以下にまとめました。
イメージ | 寸法の名称 | 特徴 |
長さ寸法 | 2点間の直線方向の長さをX軸・Y軸上を挿入する | |
平行寸法 | 2点間の直線方向に対し平行に長さを挿入する | |
角度寸法 | 度分秒による角度を挿入する | |
直径寸法 | 円や弧長の直径の長さ寸法を挿入する | |
半径寸法 | 円や弧長の半径の長さ寸法を挿入する | |
弧長寸法 | 曲線の長さを挿入する | |
直列寸法 | 寸法を横並びに挿入する | |
並列寸法 | 寸法を複数に分けて横並びを挿入する | |
座標寸法 | 対象箇所に座標を挿入する |
それぞれ表示方法や入力の手順が異なります。
AutoCADではほとんどすべての寸法機能を利用するので、ぜひひとつずつの機能に触れてみてください。
ほかにAutoCADで覚えておくべきポイントを知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。
AutoCADの寸法の位置
AutoCADの寸法機能は、AutoCADの画面上側に表示されているタブ「注釈>寸法記入」から利用できます。前述したすべての寸法機能がまとめられているので、迷わずに機能を見つけられるのが特徴です。
また、AutoCADの「ホーム」タブにも同様に注釈と寸法記入の項目が設けられています。
2箇所から機能を利用できるので、使いやすいほうを利用してみてください。
寸法機能のコマンド
AutoCADの寸法機能は、コマンドラインに「DIMENSION(DIM)」と入力するだけで簡単に機能を呼び出せます。DIMENSIONのコマンドでは次の機能をまとめて呼び出せるのが特徴です。
- 角度寸法
- 並列寸法記入
- 直列寸法記入
- 座標寸法
「自分で寸法機能を見つけるのが面倒」「AutoCADを効率よく操作したい」と考える方は、ぜひコマンド機能を活用してみてください。
AutoCADの寸法機能の使い方
AutoCADの寸法機能の使い方がわからないとお悩みの方向けに、頻繁に利用する機能の手順を解説します。わからない項目をチェックして、ぜひAutoCADの操作をマスターしてください。
長さ寸法
AutoCADの長さ寸法の機能は「注釈>寸法記入>長さ寸法」から起動できます。
参考として、挿入の手順をまとめました。
- 起点の位置をクリックする
- 終点の位置をクリックする
- X軸・Y軸のどちらに表示するかをマウスで決める
- 表示する位置を決める
ちなみにAutoCADの長さ寸法はX軸・Y軸方向の寸法しか測れません。
角度のついた図形の寸法を表記したい場合には、次項の「平行寸法」を活用してください。
平行寸法
AutoCADの平行寸法の機能は「注釈>寸法記入>平行寸法」から起動できます。
参考として、挿入の手順をまとめました。
- 起点の位置をクリックする
- 終点の位置をクリックする
- 表示する高さを決める
前述した「長さ寸法」と違い、対象物の平行に寸法を計上できるのが特徴です。
角度のついた図形の寸法を表示させたい場合には、平行寸法を活用しましょう。
角度寸法
AutoCADの角度寸法の機能は「注釈>寸法記入>角度寸法」から起動できます。
参考として、挿入の手順をまとめました。
- 線のひとつをクリックする
- もう片方の線をクリックする
- 角度表示の位置を決める
角度寸法は、線と線が交わっている場合の角度を表示するときに役立ちます。
ほかの寸法機能と違い、任意の点をクリックするのではなく、線をクリックするのが特徴です。
直径寸法
AutoCADの直径寸法の機能は「注釈>寸法記入>直径寸法」から起動できます。
参考として、挿入の手順をまとめました。
- 円もしくは弧長の線をクリックする
- 寸法の位置を決める
直径寸法は円や弧長の直径を図る際に用いる機能です。
ただし、楕円は場所によって直径が変化するので、直径寸法で図ることができません。
半径寸法
AutoCADの半径寸法の機能は「注釈>寸法記入>半径寸法」から起動できます。
参考として、挿入の手順をまとめました。
- 円もしくは弧長の線をクリックする
- 寸法の位置を決める
基本的な使い方は直径寸法と同じです。
中心点の位置から外周となる円の位置までの距離を表示します。
弧長寸法
AutoCADの弧長寸法の機能は「注釈>寸法記入>弧長寸法」から起動できます。
参考として、挿入の手順をまとめました。
- 弧長の線をクリックする
- 寸法の位置を決める
基本は弧長全体の長さを表示しますが、コマンドラインに表示されている「部分」という項目をクリックすることで、一部の寸法だけを表示することも可能です。この場合には、起点・終点をそれぞれクリックすることにより対応できます。
直列寸法
AutoCADの直径寸法の機能は「注釈>寸法記入>直列寸法」から起動できます。
ちなみに直列寸法の位置は、前述した長さ寸法の位置とは異なるので注意してください。
参考として、挿入の手順をまとめました。
- 任意の寸法機能を使って寸法を表示させる
- 直列寸法をクリックすると、横に寸法入力が表示される
- 幅などを調整しながら寸法表示を整理する
AutoCADで複数の寸法を並べて表示したい場合に役立つ機能です。
寸法をきれいに表示したい場合に活用してみてください。
並列寸法
AutoCADの並列寸法の機能は「注釈>寸法記入>並列寸法」から起動できます。
参考として、挿入の手順をまとめました。
- 任意の寸法機能を使って寸法を表示させる
- 並列寸法をクリックすると、起点の位置から新しい寸法が表示される
- 高さなどを調整しながら寸法表示を整理する
並列寸法は、距離が近い場所から順に挿入していくのが特徴です。(上画像の場合は右から)
複数のパターンで距離を表示したいときには平行寸法を活用してみてください。
座標寸法
AutoCADの長さ寸法の機能は「注釈>寸法記入>長さ寸法」から起動できます。
参考として、挿入の手順をまとめました。
- 座標を表示させたい点をクリックする
- マウスをX軸・Y軸に動かして表示させたい座標軸を決める
座標寸法は、あらかじめAutoCADで設定している座標をベースとして数値が決まります。
何も設定していない場合は上画像のX・Y軸のオブジェクトが0座標ですが、世界測地系といった座標に変換することで、現実に即した座標を表示できます。(紫の寸法は0座標からの距離)
主に土木・建築設計など、工事に関わる業務で頻繁に利用するのが特徴です。
さらにAutoCADの知識や技術を身に付けたい人は、セミナーに参加してノウハウを学ぶのがおすすめです。以下のセミナーでは、会場・ウェビナー・eラーニングを利用できるので、ぜひ参加してみてください。
AutoCADの寸法の設定方法
AutoCADの寸法は「注釈>寸法記入」の右下に表示されている↓から寸法スタイルの設定を変更できます。例えば次のような設定が可能です。
- 寸法の矢印の形状
- 寸法の文字サイズ
- 寸法の配置・高さ
円の寸法である「R」、角度の寸法である度分秒などを自由に切り替えることもできます。
寸法の色など、表示されているほとんどの情報を書き換えできるので、変更が必要な場合にはAutoCADの寸法設定を利用してみてください。
AutoCADの寸法エラーの対処法
AutoCADの寸法機能を使っているときには、いくつかエラーが発生する場合があります。
参考として、よくあるエラーと対処法についてまとめました。
AutoCADに寸法が表示されない
AutoCADに寸法が表示されないのは、AutoCADのワークスペース右下に表示されている上画像のポイントをクリックしているのが原因かもしれません。(手裏剣のようなマーク)
上記の項目は注釈の尺度以外を表示した場合に、自動で縮尺が非表示される機能です。
誤ってONにしていたり、あらかじめ設定していたりすると寸法を入力しても自動で非表示になる場合があるので、項目を確認してみてください。
AutoCADの寸法自動調整が解除される
AutoCADの寸法が自動調整されなくなるのは、寸法の旗揚げの線がオブジェクトときれいに接合していないのが原因かもしれません。
旗揚げとオブジェクトがきれいに接合していない場合、オブジェクトだけ動かすと、挿入していた寸法の位置や表記が変わらない場合があります。寸法線の位置を確認するか、改めて寸法機能を使うのが良いでしょう。
AutoCADの寸法についてまとめ
AutoCADの寸法機能は、図面オブジェクトの寸法を表示してひと目で大きさがわかるようにする重要な機能です。ほとんどの業務で寸法表記が必要なことはもちろん、土木業界などでは寸法表記がルールとして定められています。
AutoCADの操作において寸法機能は切っても切り離せないツールですので、ぜひ本記事の情報を参考にしてみてください。