AutoCADの機能のひとつである「矢印」の作り方や使い方がわからないとお悩みではないでしょうか。また種類豊富な矢印について、どのようなシーンで活用すべきなのかイメージできない人もいるはずです。
この記事では、AutoCADの矢印の使い方をわかりやすくまとめました。
利用できる矢印の種類も詳しく解説しているので、AutoCADをマスターする参考にしてみてください。
AutoCADの矢印とは
2D・3DCADソフトとして提供されているAutoCADには、矢印という機能が設けられています。
矢印とは、文字通り「矢印」を表示する機能であり、状況に合わせて多種多様な矢印を作成できるほか、形状やデザインを自由に編集できるのが特徴です。主に、対象物を主張したい場合に利用することが多く、業務としてAutoCADを使う場合には必ず触れる機能だと言えます。
AutoCADを操作する際に何度も触れることになる機能ですので、この機会に矢印の理解を深めていきましょう。
また、AutoCADの矢印機能を含めて使い方を学びたい方は、セミナーに参加して知識と技術を増やすことが重要です。興味がある方は、会場・ウェビナー・eラーニングで学べる次のセミナーに参加してみてください。
AutoCADの矢印の活用シーン
AutoCADの矢印を活用するシーンは主に次の通りです。
- 対象物を強調するとき
- 矢印で示す場所を説明するとき
- 図形の変化を示すとき
例えば、1つの構造物の図面がある場合に重要な要素を矢印で示すことにより、図面のポイントをわかりやすくできます。また、矢印とフォントを組み合わせることによって、場所の説明も可能です。ほかにもbefore・afterのように図形の変化を表したいときなどにも利用できます。
仕事でAutoCADを利用するときには、わかりやすい図面を作成することが欠かせません。
このとき矢印を活用すれば「図面のどこを見る必要があるのか」をひと目で判断できます。
図面のわかりやすさを増す補助機能として必須の機能ですので、書き方や編集方法を理解しておきましょう。
AutoCADの矢印だけでなく、主な機能やAutoCADの全容を知りたいという方は、以下の記事をチェックしてみてください。ソフトに関する情報をわかりやすくまとめています。
AutoCADの矢印の種類
AutoCADでは、複数の機能機能に矢印が利用されています。
参考として、矢印を利用できる機能の種類を以下にまとめました。
機能 | ツールの位置 |
引出線 | ホーム>注釈>引出線 |
寸法記入 | ホーム>注釈>寸法記入 |
特に、図面内で矢印を表示させたい場合には「引出線」を用いて寸法情報を分解しながら利用するのが一般的です。ほかのCADソフトだと線分などに直接矢印を設けることが可能ですが、AutoCADの場合には若干使い方が異なることに注意してください。
矢印の形状一覧
AutoCADで表示できる矢印の種類をまとめました。
- 塗りつぶし矢印
- 空矢印
- 閉矢印
- 開矢印
- 30度開矢印
- 直角矢印
上記の矢印は、マルチ引出線のスタイル設定にて確認が可能です。
AutoCADの画面下側に表示されているコマンドラインに「MLEADERSTYLE」と入力することで、矢印の表示を自由に変更できます。
また引出線などに利用できるのは、矢印だけでなく「黒丸」「四角」など先端をいろんな形状に変更できるのが魅力です。分かりやすい図面を作成するためにも、利用しやすい矢印を設定してみてください。
AutoCADにおける矢印の書き方
AutoCADで矢印を利用する「引出線」「寸法記入」の書き方を画像付きでわかりやすく解説します。矢印の書き方を詳しく知りたい方は、紹介する手順に合わせてAutoCADを操作してみてください。
引出線の書き方
まずAutoCADの引出線は「ホーム>注釈>引出線」からツールを起動できます。
また「注釈>引出線>マルチ引出線」からも同じツールを起動できるので、操作しやすい方法で引出線を起動しましょう
引出線が起動したら、矢印の位置を任意で決める必要があります。
例えば作図した構造物の角や円形の中心など、引出線で強調したい場所を自由に選択してください。今回は参考としてモデル空間上に任意で矢印の位置を決めました。
すると、矢印が表示されたことと同時にテキスト入力の位置が表示されます。
今回はわかりやすく「引出線」という文字を記入しました。
こちらの項目には自由に文字を入力できるため、図面のなかで伝えたい情報を記入することをおすすめします。
また、引出線を折り曲げて表示したい場合には、下画像のように矢印の終点とテキストの間にズームをし、三角形の部分をクリックしましょう。このボタンは横に引き延ばす際に利用でき、任意の位置までテキストの位置を移動できます。
以上でAutoCADの引出線の書き方は終わりです。
テキストや矢印の方向などは後から修正することも可能ですので、ぜひAutoCADの図面作成に役立ててみてください。
寸法記入の書き方
AutoCADで構造物などの寸法を表現する際に利用する矢印つきの寸法記入は「ホーム>注釈>寸法記入」を使って起動できます。同様に「注釈>寸法記入>寸法記入」という場所からも同じツールを起動できるので、使いやすいほうで起動してみてください。
寸法記入のツールが起動すると、矢印で表示したい寸法を範囲として「起点」「終点」をクリックするように指示されます。今回は以下のようにモデル空間上に任意で配置していますが、構造物の端点などに合わせて設置することをおすすめします。
最後に、矢印および寸法の高さ調整が必要です。
任意の高さに調整して、寸法をわかりやすいように表示してください。
また、一度AutoCADに挿入した寸法記入は、次のように寸法の位置を調整することも可能です。
自動で数値情報も書き換わるので、手間なく修正できます。
ちなみにテキストも数字情報ではなく文字情報として書き換えできます。
寸法記入の矢印の替え方
前述したAutoCADにおける寸法記入の矢印は、オブジェクトを選択した状態で右クリックし、オブジェクトプロパティを開くことによって矢印の条件を変更できます。
例えばプロパティの「その他」にある寸法スタイルは、後述する設定編集した情報に書き換える際に利用できます。また「線分と矢印」の項目にある矢印1(起点)・矢印2(終点)で自由に矢印のデザインを変更できるのが特徴です。
起点側は開矢印、終点側は黒丸など、AutoCADでは自由に矢印の表現を変更できます。
AutoCADにおける矢印の編集方法
前述したAutoCADの「引出線」「寸法記入」は、それぞれ矢印の情報を自由に編集できるのが特徴です。参考として、編集方法と手順をまとめました。
引出線の編集方法
引出線は「注釈>引出線」の右下にある矢印マークから編集が可能です。
矢印マークをクリックすると、以下の画面が表示されました。
ちなみにAutoCADでは引出線のルールを複数用意できるのが特徴です。
新しい引出線の条件を新規作成することで、表示内容を変更できますが、今回は既存の引出線をそのまま修正してみます。「修正」の項目をクリックすると以下の画面が表示されます。
ウィンドウの上側に表示されている3つのタブのうち「引出線の形式」を選択すると、矢印を編集する項目が見つかります。塗りつぶし矢印や開矢印といった矢印の形状はもちろん、矢印のサイズを自由に調整できるのが特徴です。
設定が完了したら、最後にOKボタンをクリックしましょう。
これで新しく作成するAutoCADの矢印に設定した条件が反映されます。
寸法記入の編集方法
寸法記入は「注釈>寸法記入」の右下にある矢印をクリックすることによって設定を編集できます。
設定の編集画面は、開矢印・黒丸など、項目ごとの設定が可能です。
今回は、よく利用するAutoCADの開矢印を選択して「修正」をしてみます。
すると、次の画面が表示されました。
寸法記入の矢印情報を変更する場合には、ウィンドウの上側に表示されている「シンボルと矢印」のタブを開く必要があります。矢印の起点・終点を変更できるほか、矢印のサイズなどを自由に調整できるのが特徴です。
画面右側のプレビューを見ながら設定できるため、直感的な操作で寸法記入の設定を終えられるでしょう。無事設定を完了したら最後に「OK」ボタンを押すことで、次から挿入する寸法記入の表現が変更されます。
AutoCADのフローチャートは矢印を自作する
AutoCADの図面で、施工手順などをまとめるフローチャートを作成する場合には、専用の矢印の機能が用意されていません。自身でフローチャート用の矢印を自作する必要があるので、以下の手順を参考にオリジナルの矢印を作成してみてください。
- 線分やポリラインで矢印の外枠を作成する
- ハッチングで矢印の内部を塗りつぶす
- グループ化して配置する
見栄えのよさを考えるのなら、矢印の角度は鋭角で片側30度に設定することをおすすめします。また近年では、矢印のテンプレートなどを配布しているサイトも見つかるので、気になる矢印データをAutoCADにインポートするのもひとつの手です。
作成した矢印はAutoCADでブロック化するのがおすすめ
フローチャート用に作成した矢印を使いまわしたいのなら、AutoCADでブロック化するのがおすすめです。
ブロック化した矢印は「ホーム>ブロック>挿入」からいつでも呼び出せます。
また、複数の矢印をブロック化できるので、いろんなパターンの矢印をAutoCADでブロック化してみてください。
AutoCADのブロックについて詳しく知りたい方は、以下の記事がおすすめです。
ブロック化の特徴や解除方法について解説しています。
AutoCADの矢印についてまとめ
AutoCADで作成した図面を強調したりフローチャートを作成したりする際に利用する矢印は、引出線・寸法記入という2つの方法で利用できます。
自作して用意することも可能ですので、ブロック化していつでも使えるように、保存しておくのも良いでしょう。AutoCADには図面作成を効率化する機能が豊富ですので、この機会に正しい使い方と設定方法を覚えてみてください。