AutoCADで複数の図形がまとまった「ブロック」を利用したとき、図形を編集するためにブロックの機能を解除したいと考える人もいるはずです。しかし、ブロックの解除方法がわからずお困りの方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、AutoCADのブロックを解除する方法についてわかりやすくまとめました。
解除できない場合の対策もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
AutoCADのブロック機能とは
AutoCADに搭載されているブロックは、以下に示す複数のオブジェクトをひとつにまとめる機能です。
- 図形
- 線
- テキスト
- 引出線
一度作成した図面をもう一度利用したい場合などは、AutoCAD内でブロックとして登録することにより何度も再利用できます。図面作成の際によく利用する開口部や重機など、図面であれば何でもブロックにできるのが特徴です。
また、登録したAutoCADのブロックはひとつのまとまりとして扱われます。
図名の一部を調整したいときには、ブロックを解除することで個別のオブジェクトを編集できるようになります。
AutoCADの機能に触れてみたいという方は、以下の記事をチェックしてみてください。
料金情報について解説しています。
ブロック機能とグループ機能の違い
AutoCADのブロックと似た機能に、グループというものがあります。
参考として、2つの違いを表にまとめました。
ブロック機能 | グループ機能 | |
再利用の手間 | 登録することですぐに呼び出せる | 自身でグループ化したデータをコピペする |
修正の手間 | ひとつのブロックを修正すれば他のブロックも修正される | グループひとつずつを解除して自分で修正しなければならない |
機能の用途 | 何度も同じ図面を利用したい | ほかのデータと分けて管理したい |
まずブロック機能は、AutoCAD自体に図面データを登録でき、登録したブロックをすぐに呼び出せるのが特徴です。対して、グループ機能は、特定のオブジェクトをまとめるために利用します。
機能の用途が異なる機能であるほか、解除する手間にも違いがあるため、ブロック・グループのどちらが目的に合う機能なのか事前にチェックしておきましょう。
AutoCADのブロックを解除する方法
AutoCADのブロックは、ツールリボンから解除を起動する方法と、コマンドラインを利用する2つの方法があります。具体的なブロック解除の手順を画像付きでまとめました。
解除方法にお悩みの方は、紹介する方法でブロックを解除してみてください。
AutoCADのツールリボンからブロックを解除する
AutoCADのツールリボンからブロックを解除する対象として、上画像のひとつにまとまった図面を用意しました。まずは「ホーム>修正>分解」から解除機能を起動してください。
解除機能が起動すると、コマンドラインに「オブジェクトを選択」と表示されるので、解除したいブロックをクリックしましょう。(クリックする場所はブロックを解除したいオブジェクトならどこでも構いません)
選択してブロックの色が変わったら、Enterキーを押してください。
すると、次のように、円や線のオブジェクトがバラバラに選択できるようになります。
複雑なAutoCADの図面も簡単にブロックを解除できるので、手順通りに解除してみてください。
AutoCADのコマンドラインからブロックを解除する
コマンドラインを使ってAutoCADのブロック機能を解除したいときには、まず上画像のようにコマンドライン内に「EXPLODE」と入力してください。これが前項で紹介した「ホーム>修正>分解」と同じツールを起動するためのコマンドです。
これにより、コマンドラインに「オブジェクトを選択」と表示され、ブロックを解除したい図面に触れてEnterキーを押すだけ解除が完了します。
基本的には、分解と呼ばれる機能を起動することでブロックを解除できるので、マウス操作・コマンド入力のどちらが楽か実際に試してみてはいかがでしょうか。
より詳しくAutoCADの機能について知りたい方は、セミナーを受講して学ぶのがおすすめです。
会場・ウェビナー・eラーニングなど豊富な方法でAutoCADの知識を習得できます。
AutoCADのブロック解除が必要なシーン
どのような状況でAutoCADのブロックを解除するのかイメージできない人向けに、ブロック解除が必要になるシーンをまとめました。AutoCADのブロック機能を頻繁に利用する人ほど解除する機会が増えてくるので、ぜひ業務効率化のために役立ててみてください。
ブロックの形状やデザインを変更したい場合
一度登録したブロックの形状やデザインを変更したい場合には、一度ブロックを解除して編集しなければなりません。なぜなら図面作成する業務では、規格が定められたパーツなどを取り扱うことが多いため、登録したブロックの図面では対応できないことがあるからです。
例えば、パーツの長さをひと回り大きくする、新たな突起をつけ足すなど、追加要素を新たにブロック化したいなら、一度解除し、再編集したうえで新しいブロックとして追加しましょう。
またブロックの色を変更したいという場合にも、一度解除して複数のデザインをブロックに登録しておくのがおすすめです。ブロックは複数のオブジェクトを登録できるため、ぜひバリエーションをもたせた図面を登録するために解除を活用してください。
AutoCADのデータを納品する場合
ブロックとして挿入したオブジェクトは、AutoCADのデータを納品する前に解除するのがおすすめです。
AutoCADのブロックは、データとして保存され続ける情報ですので、別のユーザーが同じデータを触った場合、ブロックにまとめられたデータの操作を手間に感じるかもしれません。また、相手が解除する方法を知らず、問い合わせがくる可能性も考えられます。
ブロック機能は本人が図面作成を効率化するために利用する機能ですので、最終的には解除しておく方が安心です。今後ブロック機能を多用しようと考えている方は、納品前にブロック解除を忘れないように気を付けましょう。
AutoCADのブロックを解除できない場合の対処法
AutoCADのブロックを解除しようとしたとき、解除の機能を使ってみたものの、次のようにブロックがまとまった状態のまま変わらないことがあります。
- ブロックを解除できない
- エラーメッセージが出てくる
- 解除しても再結合されてしまう
解除できないパターンとその対処法を詳しく解説します。
ブロックを解除できない
分解する機能を使ってもブロックを解除できないのは、つぎの2つの原因が考えられます。
- ブロックが編集可能になっていない
- ダイナミックブロックが設定されている
まずブロックが編集可能になっていない場合は、上画像のように「ホーム>画層>画僧プロパティ管理」からレイヤーツールを起動し、ブロックのレイヤーが編集可能になっているのか確認してください。
画像にあるように、水色でロックされている状態だと、ブロック自体を編集できません。
クリックして黄色で表示されたロック解除の状態にすることで、ブロックを解除できるようになります。
また、作成されているブロックがダイナミックブロックとして挿入されている場合には、規則や制限が設けられているせいでうまく解除できない場合があります。
ダイナミックブロックを編集する際には「挿入>ブロック定義>ブロックエディタ」を起動して、その中でブロックの編集・解除・作成を行わなければなりません。
既存のブロックをブロックエディタ上で編集することも可能ですので、ぜひ活用してみてください。
エラーメッセージが出てくる
ブロックを解除するときにエラーメッセージが出た場合には、次の理由で解除できないのかもしれません。
- ブロックが破損している
- 互換性がないAutoCADのバージョンで作成されている
ブロックが破損している場合には、コマンドである「WBLOCK(ブロック書き出し)」を利用してユーザー指定の場所で図面データを保存してください。書き出すデータを選択する際に不要なデータを削除することで破損を修復できるかもしれません。
また互換性がない場合は、一度AutoCADの最新バージョンに更新することで改善する可能性があります。
もしどちらの方法でもブロック解除に対応できないのなら、AutoCAD上で新たにブロックを作成するのがおすすめです。
解除しても再結合されてしまう
ブロックを解除しても勝手に再結合されてしまうという悩みは、図面作成中に「REGEN(再作図)」というコマンドを使用しているのが原因かもしれません。
REGENのコマンドは図面を自動で再作図する便利な機能ですが、解除したブロックがまた再結合されます。ブロック解除の機能を使ったら一度保存し、改めて図面を起動するか、REGENのコマンドを使わないように気を付けることが大切です。
AutoCADのブロック解除だけでなく、ほかの使い方も知りたいという人は、以下の記事をチェックしてみてください。
AutoCADのブロック解除についてよくある質問
AutoCADのブロック解除について、よくある質問をまとめました。
AutoCADのブロック解除についてまとめ
AutoCADのブロックはオブジェクトを使いまわせる便利な機能ですが、登録したオブジェクトを編集したい際には、一度解除する必要があります。
条件や設定によっては、うまくブロックを解除できないケースもあるので、本記事の情報を参考に、解除の手順や対処法を試してみてください。
