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【2025】DX導入のポイントとは?メリットや手順と合わせて解説

ITテクノロジーの目覚ましい進化や、従来のビジネスモデルでは2025年以降に大きな経済的損失が出てしまうという試算がされていることから、DXの導入と推進が叫ばれています。
しかし、多くの日本企業にとってDXの導入は一筋縄ではいかないのが現状です。

本稿ではDXの導入を実現するために、導入のメリットや手順、導入を成功させるためのポイントなどを解説していきます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DX導入を始めるパソコン

経済産業省では「デジタルガバナンス・コード2.0」において、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。

単純なIT機器の導入やデジタル化にとどまらず、業務から組織の風土を変革させ、市場のビジネスモデルの変化に対応し、収益の向上を目指すのがDXの目的です。

なお、DXに欠かせないデジタル技術としては、以下のようなものが挙げられます。

デジタル技術 概要
AI Artificial Intelligenceの略称で、人工知能と訳される。確立した定義はないが、総務省では「人間と同じような思考プロセスで動作するプログラム」と示している。
IoT Internet of Thingsの略称で、あらゆるモノをインターネットにつながり遠隔操作などが可能になる仕組み
ビッグデータ 日々生成される人間では全体像を把握することが困難な多様なデータ群
RPA Robotic Process Automationの略称で、ソフトウェアのロボットを活用し、形式化された業務を自動化できるテクノロジー

DXについては、以下の記事に詳細な内容を記載していますので、合わせて参考にしてみてください。

【2023】DXとは?メリットや実際に行うステップ

DXの導入が求められている背景

デジタル環境が目覚ましい進化を遂げている昨今において、最新のデジタル技術を駆使して新しいビジネスモデルを構築している企業が増えてきました。時代に合わせてデジタル環境に対応してきた企業は、市場における競争力や収益の面でも優位性を保っているのが現状です。

さらに日本の多くの企業が既存のITシステムの老朽化が進んできており、レガシーシステムとして残存しています。レガシーシステムが残存していることで、組織を横断するデータ活用が行えない、維持管理にコストがかかってしまうなどのデメリットを起こしています。

経済産業省ではこうしたレガシーシステムが残存したままだと、「2025年以降、1年あたり最大12兆円の経済損失が生じる可能性がある(2025年の崖)」と警鐘を鳴らしています。

こうした将来的なリスクを回避し、新たな市場でも競争力の優位性を保つためにも、DXの導入が求められています。

DX導入に向けた課題

DX導入に向けた課題を話し合うイメージ

日本ではDX導入が進んでいるとは言えないのが現状です。
日本企業がDX導入するためには、以下のような課題を抱えていることが多いからです。

経営層の理解不足

DXを導入するためには、組織のトップがリーダーシップを取り、組織全体を巻き込み改革を進める必要があります。しかし日本では、経営層がDXについて理解をしていない、情報システム部門などに丸投げしてしまうケースも少なくありません。

経済産業省の『DXレポート〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開〜』の中でも、「DXを実行するに当たっては、新たなデジタル技術を活用して、どのようにビジネスを変革していくかの経営戦略そのものが不可欠である」と述べられています。

DXは業務をデジタル化した先に何を目指すのかが重要です。
DX導入を進めるためには、経営層がきちんとした理解をして取り組む必要があります。

IT予算の活用

現行のレガシーシステムを維持管理するためにIT予算を割り当てている企業が多く、「攻めのIT投資」を行えていない企業は多くあります。経済産業省のレポートにおいても、「システムの維持管理費が高額化し、IT予算の9割以上に(技術的負債)」と明記されています。

DX導入を進めるためには、一定額のIT予算の活用は欠かせません。またDX導入は、重要な経営戦略として長期的な視点から行う必要があるため、継続的な投資も必要です。
ITシステムの構築や人材の育成など、DXを進めるための積極的な投資が求められます。

DX人材の不足

DXを導入するためには、ITに対する知見が深く、ビジネスモデルをデザインできる人材が必要です。しかし日本では、こうしたDX人材が市場においても、現場においても不足しているため、なかなかDXを導入できないのが現状です。

経済産業省のレポートでは、「ITエンジニアの7割以上がベンダー企業に偏在している我が国では、ユーザー企業としては、ITエンジニアの確保と教育も課題である。」としています。

こうした現状の中、企業間におけるDX人材の獲得競争は激化していくと予想できます。
適切な人材の確保のためには、外部への依頼はもちろんのこと、自社内での教育体制を整備することも必要です。

レガシーシステムの存在

技術的負債となってしまっているレガシーシステムの中には、長期的な運用からブラックボックス化しているケースも少なくありません。経済産業省のレポートでは、「レガシーシステムがDX導入の足かせになっている」と回答している企業は約7割にも上っています。

レガシーシステムで抱えているデータの利活用は、複雑なシステム構成によって困難なことも多いため、既存のIT予算に加えてDX導入に向けた予算を組み、レガシーシステムからの刷新を図る必要があります。

DX導入のメリット

DX導入のメリットを正しく理解することで、導入に向けた動きを加速できます。
DX導入を進めた場合、以下のようなメリットを得られます。

生産性向上

DXの導入は企業の生産性向上に直結します。たとえばDXを導入することで、これまで業務を可視化、分析が行えるようになり、ムダな業務の削減や自動化などが行えます。

他にも作業時間の短縮や人件費の圧縮なども、データに基づいて行えるため、コスト削減にも貢献できます。業務フローの改善が的確に行えるようになるため、業務の効率化や自動化が実現できるのは大きなメリットと言えます。

企業の競争力強化

昨今のIoTやAIの進化は凄まじく、さらに加速度的に進化していくことが考えられます。
たとえば、コンピューターが学習したデータを基にして新しいデータなどを生成する「生成AI」などです。こうした新技術を新たなビジネスモデルに取り入れようと考えている企業は多く、今後も新しい技術によってビジネスの変化のスピードは速くなっていくと考えられます。

DXの導入は、こうした変化の激しいビジネス市場に対応することができ、企業の競争力強化につながります。

BCP(事業継続計画)対策

BCP(事業継続計画)とは、自然災害やテロ攻撃、システム障害などの不測の事態が起こった場合でも、事業を止めることなく継続する体制を整えておくものです。
日本では地震や台風などの自然災害が多いことに加え、2020年には世界的な大流行となった新型コロナウイルス感染症など、事業継続を脅かす事象が増えてきました。

DXを導入することで、クラウドを活用した業務や出社せずとも業務を行えるテレワークなどへの対応も可能になります。さらに本社機能を東京ではなく、他の地方に移すなどの対策も可能になります。

持続的に業務が行える環境が整うことは、従業員の安心につながることに加え、顧客からの信用にもつながります。

新しい働き方への対応

新型コロナウイルス感染症の大流行によってテレワークが浸透したように、昨今では新しい働き方への対応も各企業には求められています。いつでもどこでも仕事ができ、時間の自由や時短勤務への対応、マネージメントやツールを活用したコミュニケーションの方法など、あらゆるものへの対応が必要です。

こうした新しい働き方へ対応するためには、DXを導入することによるデジタル技術の活用や推進は欠かせません。DX導入を進めることで、新しい働き方にも柔軟な対応ができるようになり、新たな人材の獲得の際にはアピールポイントにもなります。

DXについてよくわからないから研修を受けたいという方はこちらの記事も参考にしてください。

【2023】おすすめDX研修!選び方やポイントを徹底解説

DX導入の手順

DX導入は自社の経営戦略に沿って業務をデジタル化し、ビジネスモデルの変革を達成し、市場における競争上の優位を達成することが目的です。

目的を見失わず、以下のような手順で進めていくことが大切になります。

  1. DX導入の目的を設定
  2. 社内体制の整備と課題の抽出
  3. DX導入の優先順位の設定
  4. DXの実行と改善サイクルの実施

①DX導入の目的を設定

まずは、なぜDX導入を進めるのかの目的を設定します。
DXは全社的に行う取り組みのため、経営層と現場が一丸となって進めることが必要不可欠です。たとえば経営層がDXを導入すると謳ったとしても、現場の理解が不十分だと実現は難しいでしょう。

経営のトップが先頭に立ち、なぜDXを行うのかを明確にし、どのような方向性で進んでいくのかを従業員に明示する必要があります。

②社内体制の整備と課題の抽出

DXを導入するためには、実行するための社内体制の整備が必要です。
具体的にはDX推進チームの結成です。DXを推進できるIT人材を中心に、経営層と現場の両方にコミュニケーションが取れる組織を構築します。

なお、DXはこれまでの業務のやり方が大きく変わる可能性が高いため、現場から反対の意見が出やすくもなります。こうした反対に対応するためには、DX推進チームに権限を与え、現場に対して丁寧な説明を繰り返すことが大切です。

社内体制の整備の目処が付いたら、DX推進チームが中心となって、現状の自社の課題を把握し、DX戦略によって課題が解決できるように落とし込みます。現状の社内システムの洗い出しから業務プロセスの把握などを行い、現状の問題点を整理していきます。

さらに業務を正確に把握するためには、現場の従業員にヒアリングを実施することが大切です。
業務が重複している箇所はないか、ミスが発生しやすい業務は何か、従業員の負荷が大きな業務は何かなど、あらゆる課題を把握していきます。

③DX導入の優先順位の設定

DXの導入を進める際には、多くの施策を実行する必要があります。しかし、すべての施策を一気に進めてしまうと、失敗してしまうリスクも大きくなってしまいます。

課題に応じて解決できる施策を立てつつ、業務への影響度やコストなどを算出し、優先順位を設定していきます。

④DXの実行と改善サイクルの実施

設定した優先順位を基にしてDX施策を実行していきます。DXはすぐに効果が現れるものではないため、長期的な視点から試行錯誤を繰り返して進めていきます。

施策はどのような戦略でどれくらいの期間実施し、どのような結果になったのかなど、KPIなどを設定しつつ定期的に結果を分析していきます。結果に応じて成果が出た部分は継続し、課題が出た部分は戦略などを見直し、改善サイクルを実施することで、精度を上げていくことが重要です。

DX導入を成功させるためのポイント

上がっていくグラフ

DXを成功させるためには、以下の3つのポイントを重視して取り組むことが重要になります。

経営層から社内全体を巻き込む

「DX導入に向けた課題」でも述べたように、DXを成功させるためには経営層がリーダシップを発揮し、組織を巻き込んで施策を実行していくことが必要です。
なぜDXを行うのか、どのようなビジネスモデルの変革を起こし、どのような価値を生み出していくのかを示すことが求められます。そしてDX導入のための人材確保や予算編成、プロジェクトチームの発足など組織改革を行い、中長期的な視点で推進しなければ、DXの成功には至りません。

単年ではなく、数年がかりのプロジェクトとして取り組む覚悟が必要です。

DX人材の確保

DX人材の確保、DX導入のためには避けては通れない道です。
外部からの登用から、内部人材の育成まで、あらゆる方法を駆使して適切な人材を揃えなければ、DXを推進していくことは難しくなってしまいます。

また、DXに関する知見が深い人物でも、組織間を横断的に行動できるようにしなければ、DXへの取り組みが頓挫してしまう可能性もあります。経営層はDXの人材確保と同時に、全社的な改革を進めるための社内体制を整えることも必要です。

一貫性のあるシステム構築

レガシーシステムが抱える課題の一つに、他システムと連携ができないため、データの利活用が進まない点があります。こうした課題を解決するためには、部門を超えてデータを共有できるような一貫性のあるシステム構築を行う必要があります。

万が一、DXを部門単位で行なってしまうと、その部門のみが恩恵を受けるようなシステム構築になってしまい、全社的に活用できる形にならないケースもあります。
組織全体でシームレスなデータ活用ができるようにシステム構築をすることで、生産性向上や競争力の向上につながります。

DX導入のポイントとは? まとめ

DX導入はどの企業にとっても近々の大きな課題と言えます。
残された時間も多くはなく、すぐにでも動き出さなければいけない状況です。
しかし、多くの日本企業にとっては、DX導入のハードルが高いことも事実でしょう。

まずは自社の現状を把握し、経営層からコミットメントしていくことが必要です。
手順や成功のためのポイントを押さえた上で、まずは一歩を踏み出してみてください。

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