RPAはパソコン内で完結する定型業務を自動化できる技術です。
近年は、導入企業も年々増加しており導入を検討している企業も多いですが、その反面「値段が高い」「導入しても使いこなせるかわからない」とハードルを高く感じる方も多いのではないでしょうか?
本記事では、無料で使用できるRPAツール、使用するメリット・デメリットを解説します。
無料製品を使用し、操作や使用感に慣れてきたら有料版導入のタイミングも紹介していますのでぜひ最後までご覧ください。
無料RPAツールとは?
RPAツールとは、ソフトウェア上のロボットを利用して業務を自動化するシステムを指します。
多くのツールが有料で決して安価なものではありませんが、近年は無料で使用できるRPAツールもあり、主に「完全無料版」と「無料トライアル」の2種類に分けられます。
完全無料版は試用期間がなくツールを使用することができますが、無料トライアルのツールは試用期間が決められており、期間が終われば契約を行わないと使用できません。
次に有料ツールとの違いについて解説していきます。
有料ツールとの違い
有料ツールとの違いは様々ですが、主な違いは以下の通りです。
- 機能
- 操作性
- サポート体制
無料ツールは有料ツールと違い導入コストがかからないことが挙げられますが、それ以外は有料ツールに劣っています。
特に「機能制限」と「サポート体制」は大きな違いと言えます。
例えば、幅広く業務を効率化するのであれば無料版は制限がかけられているケースが多く効率化は難しいです。また、社内に専門知識を持つ者がいない場合にはサポート体制が充実していなければ効果的に使いこなすことはできません。
有料ツールについて詳しく知りたいという方は下の記事をご覧ください。
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無料ツールのメリット
無料ツールのメリットは主に以下の3点です。
- 操作方法や使用感がわかる
- コストをかけずに導入できる
- 損失が少ない
それぞれについて詳しく解説します。
操作方法や使用感がわかる
費用をかけずに操作方法や使用感がわかる点は大きなメリットと言えます。
RPAツールは多くの種類があり、提供している企業やツールの用途によって操作方法は異なり、使用感は人によって様々です。
また、RPAツールは高額な費用なものも多く中小企業にとって費用を賄うことは決して簡単ではありません。有料ツールを導入して操作方法や使用感が合わなければ、ツールにかけた費用が無駄になってしまいます。
しかし、無料ツールであれば費用は必要ないので手軽に始めることができます。
自身・自社にあったツールを探すことが無料でできるため、無料ツールは効果的に活用しましょう。
コストをかけずに導入できる
RPAツールは前述した通り、高額なものも多いです。中には数百万円〜のコストがかかるため予算が少ない企業ほど失敗した時の損失は大きいです。
無料ツールであればコストをかけずに導入できるため、損失なくツールを使用することが可能です。
また、RPAツールに当てていた予算を他の事業の予算に回すこともできるので、企業自体の成長にもつながります。
損失が少ない
RPAツールは導入しても、使いこなすまでに多少の時間はかかります。そのため、有料ツールを導入しても社内でうまく活用できず導入に失敗するといった企業も少なくありません。
無料のRPAツールであれば、導入に失敗しても損失は少なく再度違うツールを導入することもできます。特にRPAツール自体を初めて導入する企業は無料ツールをうまく活用し、無理のないペースで自社に浸透させることができます。
無料ツールのデメリット
無料ツールにはメリットもありますが、反対にデメリットも存在します。
主なデメリットは以下の3点です。
- 使用できる機能に制限がある
- サポート体制が十分ではない
- サービスの停止がいつ起こるかわからない
それぞれについて詳しく解説します。
使用できる機能に制限がある
ほとんどの無料ツールは機能に制限がかけられており、満足に使用することはできません。
機能の制限はツールによって異なりますが、完全無料であれば基本的には制限が大きくかけられているので自社で主体的に使用することは難しいでしょう。
一方、無料トライアルであれば機能の制限は完全無料ツールより少ないため、有料ツールの導入を検討しているのであれば無料トライアルツールの方が操作感や使用感がわかるためオススメです。
サポート体制が十分ではない
無料ツールはサポート体制が不十分で効果的に使用するのはハードルがかなり高いと言えます。
特にRPAツールを初めて導入する企業は使い方もわからず、自社の運用体制も整っていないためトラブルが起きた際にはサポートが必要ですが、手厚いサポートはほとんどありません。
また、自社の運用体制を整えるために教育費などを支払うのであれば有料ツールを導入して十分なサポートや支援を受けた方が費用は安く済む場合もあります。
サービスの停止がいつ起こるかわからない
有料ツールは継続やアップデートによりサービスの提供が終わることはほとんどありません。しかし、無料のツールはサービスがいつ停止するかわかりません。
時間をかけて社内に浸透させ自動化ができたとしてもサービスが停止すれば、今までの工数が無駄になります。無料ツールには基本的に保障がないことを覚えておきましょう。
完全無料のツール3選
完全無料は導入費用や月額費用が一切かからない無料ツールです。
ここでは、中でも導入実績があり使いやすいツール以下3つ紹介します。
- マクロマン
- UiPath Community Edition
- Microsoft Power Automate Desktop
マクロマン
マクロマンは50以上の自治体を含む2500社以上で導入実績がある国産の無料RPAツールです。
ダウンロード数に制限がなく、複数台のパソコンで使用することができます。
日本語の対応もしており、データ入力をはじめとした収集データの集計・分析・予測レポートの作成など自動化が無料で行えます。
サポートが必要な時だけ費用がかかりますが、無料で多くの機能が使用できるのが特徴です。
UiPath Community Edition
UiPath Community Editionは世界でも市場のシェアが高い「UiPath社」が提供する無料RPAツールです。
個人や小規模の企業であれば、必要な機能が揃っているため不自由なくツールを使用することができます。
管理できるロボットの数は限られているものの、ロボットやスケジュール管理を行うことができUiPath独自のAI-OCR機能を使用しAI-OCRを使用した業務の自動化も可能です。
Microsoft Power Automate Desktop
Microsoft Power Automate DesktopはMicrosoft社が提供しているRPAツールで、ローカルアプリケーションの自動化やWebアプリケーションの自動化を行うことができます。
完全無料でありながら400以上の機能を使用することができ、Microsoft社は様々なアプリを開発しており多くのアプリと連携することができます。
また、マウスとキーボード両方の動きを記録することもできるためプログラミング知識がない方でもPCを自動化ができます。
提供元 | 初期費用 | 機能・特徴 | |
マクロマン | コクー株式会社 | 無料 | ・データ入力 ・データ分析 ・データ照合など |
UiPath Community Edition | UiPath株式会社 | 無料 | ・ドキュメント処理 ・セキュリティ対策など |
Microsoft Power Automate Desktop | マイクロソフト株式会社 | 無料 | ・アプリの連携 ・タスク自動化 ・プロセス自動化など |
無料トライアルのツール3選
完全無料とは違い無料の期間が定められているツール以下3点を紹介します。
- UiPath
- WinActor
- BizRobo!
無料トライアルは期限が切れれば、有料版への切り替えか契約の解除が必要です。有料版を続けて導入する際は、下記記事を合わせて読んでください。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション:ソフトウェアによる業務自動化)とは、パソコン上での定期的な作業を自動実行する技術です。 RPAを導入するにあたって最も重要視するのが価格という方も多いのではないでしょうか。 種類によ[…]
UiPath
UiPathの提供する無料トライアルツールは以下の3種類があります。
- 開発者向けの「studio」
- ビジネスユーザー向けの「studioX」
- 上級開発者向け「studio Pro」
全てのツールが60日間無料で使用でき、簡単操作のみでツールを使用することができます。RPAツールの導入自体が初めての場合は、studioをおすすめします。
WinActor
WinActorはRPAツール国内シェア率No1の実績を誇り、多くの企業に導入されています。
WinActorの無料トライアルは「評価版」と呼ばれ30日間無料で使用することができ、WinActorフル機能版ライセンスの機能を使用することができます。
フル機能版には、シナリオの記録・編集・実行という3つの機能がありこれらの機能を使用して「業務のフローチャート」を作成することができます。
BizRobo!
BizRobo!は国内でのシェア率も高く、多くの大企業が導入しているRPAツールです。
BizRobo!には3種類の無料トライアルツールがあり、
- BizRobo! mini
- BizRobo! lite
- BizRobo! basic
それぞれ1ヶ月の無料トライアルが可能です。
BizRobo!の無料トライアルはユーザーのニーズによってプランを選択することができ、例えばBizRobo! basicであれば100以上の業務を自動化できるので幅広く業務に対応できます。
提供元 | 初期費用 | 機能・特徴 | |
UiPath | UiPath株式会社 | 要問い合わせ | ・システムの自動化 ・ワークフロー共有など |
WinActor | NTTアドバンステクノロジー株式会社 | 要問い合わせ | ・業務自動化など |
BizRobo! | RPAテクノロジーズ株式会社 | 要問い合わせ | ・ロボットの開発、運用など |
有料版導入のタイミングとは?
無料のRPAツールを使っていると、機能や操作性に不自由を感じでしまうことはあります。
そんな時に有料版に切り替えようと思っていても「タイミングがわからない」と感じる方も多いのではないでしょうか?
そこで有料版に切り替えるタイミング以下3点を紹介します。
- 自動化規模の拡大
- 導入範囲が適していないとき
- 操作性や活用方法を熟知したとき
自動化規模の拡大
RPAで業務の自動を行なっていくうちに、導入範囲の拡大を行いより業務の効率化をはかろうと考える機会があります。
しかし、無料版は機能が制限されているため導入範囲を広げられないケースもあります。
もし、無料版で自動化がうまくできているのであれば、業務の自動化の範囲を拡大するために有料版の導入を考えてもいいでしょう。
導入範囲が適していないとき
無料版の導入範囲は狭く効率よく運用できないケースもあります。中には一連の作業の中で一部だけ自動化するとかえって効率が悪くなるケースもあります。
導入範囲が適していないと感じた時には思い切って有料版に切り替えてもいいかもしれません。
操作性や活用方法を熟知したとき
無料版の大きなメリットは、ツールの操作性や活用方法が無料でわかるということです。有料版をいきなり導入してもうまく活用できなかったというのは、無駄なコストと労力になります。
無料版を一定期間使用し、課題や業務の自動化範囲を再度洗い出しツールの使用に問題がなければ有料版を導入し、より効率化を測るタイミングと言えるでしょう。
本格的な業務の効率化は有料版を導入をしよう
無料版はあくまでもRPAツールについて知ることをメインにしたものです。無料版を使用して本格的に業務の効率化を測ることは少し難しいでしょう。
その反面、有料版をいきなり導入し自社に合わなかったということもあります。特に初めてRPAツールを導入する企業は無料版を導入し、上記の有料版の切り替えのタイミングを確認して導入を行いましょう。