製造業や建設業など多くの「ものづくり現場」において使用されるCADソフトですが「期間を限定して使いたい」「お金をかけたくない」という方もいるのではないでしょうか?
いきなり2DCADソフトを契約してしまうと自社の想定した使用感や操作感と違った際に業務の効率化ができず、かえって業務の品質を落としてしまうこともあります。
そこで本記事では、2DCADの無料版ソフトをご紹介します。有料版との違いや使用するメリット・デメリットについても詳しく解説します。自社に適したCADソフトウェアが見つかりますので、ぜひ最後までご覧ください。
そもそも2DCADソフトとは?
そもそも2DCADソフトとは、PC上で設計図の平面図面の作成・修正・調整などを行うソフトウェアです。これまでの手書きによる図面と比較して修正や調整が簡単になり、データの受け渡しが容易になりました。
本来の手書き図面に比べると正確性が格段にアップし、ペンと紙を使用した製図作成より手間や労力、コストも削減できます。一連の設計業務を効率化でき、製図の品質向上にも大きく寄与するでしょう。
フリーソフトと有料版の違い
無料ソフトと有料版の違いは「コスト」「機能」「用途」など様々です。以前は、提供されている数や搭載されている機能も少ないことから有料版を使用する人がほとんどでしたが、近年は提供数も増え様々な機能を搭載しているソフトが出てきました。
フリーソフトの活用できる幅が広がったことから利用する人も多くいます。もちろん、有料版の方が遥かに機能面では優れていますが「コスト」なども含めると決して有料版がいいというわけではありません。
2DCADと3DCADの違いとは?
平面・正面・側面などの2軸による視点から見る「2DCAD」に対して、様々な視点から形状を確認することができる「3DCAD」は進化版とも言われています。実際にこれまで2DCADをメインに使っていた企業も「3DCAD」に切り替える企業は増えているのが現状です。
Web上やテレビなどでは需要は減少していくという声もありますが実際はどうなのでしょうか?
結論、これからの図面作成において2DCADもまだまだ必要とされます。なぜなら、3DCADが完全なソフトウェアではないからです。
例えば、図面作成には加工指示や塗装指示など記載する必要がありますが全ての指示を盛り込むのは現実的ではありません。一方、2DCADであれば図面内に指示を書き足していき、情報が盛り込むことが可能です。
より品質の高い製図ができるのは「3DCAD」ですが、2DCADが必要とする場面も多くあるのが現状です。
おすすめの2DCADフリーソフト7選
比較表を用いながら紹介していきます。
ソフト名 | 無料期間 | 特徴 |
AutoCAD | 30日間無料トライアル | CADソフトの中でもトップシェアを誇る |
BricsCAD | 30日間無料トライアル | 2D・3DCAD機能も備わっている |
Jw_cad | 完全無料 | 商用利用可能、建築業では1番使用されている |
AR_CAD | 完全無料 | 商用利用には条件があるがシンプルな画面で初心者も使用しやすい |
QCAD | 完全無料(自身で無料にする必要あり) | Web上に操作方法が少ないことから、初心者にはハードルが高い |
nanoCAD | 完全無料 | AutoCADと似た操作性を持つ |
Root Pro CAD Free | 完全無料 | 無料版は機能に制限がかかっている |
AutoCAD
Autodesk社が提供する「AutoCAD」は、ソフトウェアの中でもトップシェアを誇り世界中で多くの企業が使用しています。AutoCADは永年無料で使用できるわけではありませんが、30日間の無料トライアルがあり全機能使用することが可能です。
使用するユーザーも多いため、初めて導入する方でも操作方法や製品情報をWeb上で取得しやすく、定着や使いこなすまでに時間を短縮できるでしょう。
拡張性も高いため、製造業・建築業・土木業などあらゆる業界にも柔軟に対応できます。
BricsCAD
BricsCADは3DCADも備わっている2DCADソフトウェアで、AutoCADと同じく利便性が高いのが特徴です。こちらも永年無料で使用できるわけではありませんが30日間の無料トライアルで全機能使用できます。
有料版のプランによっては3DCAD機能を使用できませんが、2DCADは全てのプランで使用でき永久ライセンスであればランニングコストをかけずに使用できるでしょう。予算を抑えたい企業におすすめのソフトです。
Jw_cad
Jw_cadは完全フリーの2DCADです。Web上でダウンロードできすぐに使用することが可能であり、商用利用もできるためコストをかけずにビジネスで使用したいという方におすすめです。
特に建築分野の製図に長けていることから建築業界には特におすすめです。AutoCAD同様に使用しているユーザーも多いことからWeb上にダウンロードから操作方法まで多数の情報が掲載されています。
AR_CAD
AR_CADも無料で使用することができ、通常のCADソフトとして製図用途だけでなく画像ファイルの挿入も可能なので、パンフレットやマニュアルなどの作成もできます。シンプルな画面で初心者も使用しやすいと言えるでしょう。
ただし、商用で利用するには条件があるため使用する際には規約などを読んでおきましょう。万が一、規約に違反してしまうと「罰金」や「会社の信頼を低下」させることもあります。
ファイル形式の入出力に幅広く対応しているため、取引先が他社製品のCADを使用しているという方におすすめです。
QCAD
QCADはスイスのAndrew Mustun氏によって開発されたオープンソースのCADソフトで、以前は日本語には対応していなかったものの現在は対応しています。
情報が少なく、Web上にも操作方法が少ないことから初心者が使いこなすのでハードルが高いソフトと言えます。
有料版・無料版と用意されており無料版を使用するには自身でファイルの削除等を行い、改造する必要があります。
Auto CADの互換性ソフトともされており、AutoCADを利用している企業はデータをそのまま移行して使用できるためおすすめです。
nanoCAD
nanoCADは3DCADも使用できるソフトでAutoCADと似た特徴を持つためAutoCADを操作できれば、nanoCADの操作も容易にできるでしょう。有料版・無料版が用意されており、無料版は期間の指定はありません。
ダウンロードもWeb上からできるため、すぐに使用可能です。
nanoCADは使いやすさと優れた機能面から建築設計や製造業における機械部品の設計など3Dモデリングが必要な場面におすすめです。
Root Pro CAD Free
Root Pro CAD Freeは様々な分野に対応した2DCADソフトです。有料版・無料版があり無料版は期間指定なく使用可能ですが、機能に制限がかけられていますので、注意が必要です。
AutoCADなどの拡張子を読み込むことができるため、他ソフトの設計図の作成や修正なども可能です。Root Pro CAD Freeは使用できる機能は簡単な作図だけであるものの有料版の「Root Pro CAD」であれば、製造業・建築業など幅広く使用できるため多くの分野でおすすめです。
2DCADフリーソフトのメリット
2DCADフリーソフトのメリットは以下3つが挙げられます。
- コストがかからない
- 社内教育に使用できる
- 導入前に操作性を確かめられる
コストがかからない
最も大きな利点とも言えるのがコストがかからないことでしょう。CADソフトは通常、ライセンス取得やサブスク契約など形態は様々ですが数万円〜数十万円の費用がかかります。
会社の予算を抑えたい、ソフトの費用を抑えたいという方には使用することをおすすめします。
社内教育に使用できる
フリーソフトは社内教育にも使用が可能で、近年では多くの企業で活用されており珍しいことではありません。社内教育に無料版を利用すれば教育コストを抑えることができます。
ただし、無料版は機能に制限がかけられているものも多いため自社の教育用途に合っていない場合も考えられます。使用する際は自社の用途に合っているか確認しましょう。
導入前に操作性を確かめられる
導入前に操作性を確かめられるのもメリットです。冒頭でも説明した通りCADソフトは決して安いものではありません。「他社の事例を確認したから」という理由で導入して、失敗する企業も少なくありません。
まずは完全無料、または無料トライアルで操作性を確かめ業務工数の削減時間やコストなど記録を取り、十分な費用対効果が得られるようであれば導入を行いましょう。
2DCADフリーソフトのデメリット
続いて、無料版を使用するデメリットを以下3点解説します。
- 商用利用できないものが多い
- 保障やサポートがない
- 3DCADに比べると需要が低い
商用利用できないものが多い
2DCADソフトに限らずですが無料版はビジネスで使用できないものも多くあります。使用する用途や教育や個人での使用など制限されます。商用利用ができても十分に設計業務に活かせないこともあるでしょう。
商用利用でCADソフトを使用するのであれば、有料版を利用することをおすすめします。
保障やサポートがない
保障やサポートがないソフトが多いため、「操作方法がわからない」「トラブルが起きた」などの場合、自身で解決する必要があります。英語表記の説明も多く、日本語に和訳して使用するなど使いこなすまでに時間がかかることもあります。
初めてCADソフトを使用するなどといった企業は定着のハードルが高いと言えるでしょう。
3DCADに比べると需要が低い
2DCADソフトは3DCADに比べると需要が低く、機能的に劣る部分も多くあります。そのため、提供会社としては需要がないと判断した時点で提供を終了することもあります。
社内で定着してきたところで突然の提供終了は現場の混乱を招き、業務品質の低下へと繋がることもあるでしょう。
フリーソフトは資格取得や教育で使用するのがおすすめ
2DCADフリーソフトは「仕事で使用できない」「機能が限られたものしか使えない」ものも多く、メインでの使用は難しいでしょう。用途はあくまでも「資格取得のための勉強」「社内教育での活用」程度で使用するのが望ましいと言えます。
本記事を参考に自社の用途に合った2DCADの無料ソフトを見つけてください。