CADソフトにはさまざまな種類があるため、どの製品を選ぶべきなのか頭を抱えてしまう方は少なくありません。それぞれの製品の強みや他の製品との違いを理解し、目的や条件に合った製品を選ぶことが大切です。
日本でも多様なCADソフトが利用されていますが、中でも人気の高い製品の一つとして挙げられるのがJw_CADです。この記事では、そんなJw_CADがどんなメリットを備えているのか、どんな機能が他の製品と比べて特徴的なのかについて、詳しく解説します。Jw_CADの導入を検討している場合、ぜひ参考にしてください。
Jw_CADとは
Jw_CADは、Windows向けに提供されている2D CADソフトです。CADソフトには2D対応のものと3D対応のもの、あるいは両方に対応しているものが挙げられますが、Jw_CADは2Dに特化した製品として知られています。
元々は1997年にMS-DOS向けに開発されたCADソフトですが、今日のCAD環境へのアップデートが完了しており、Windows製品で問題なく動作します。主に建築分野での運用を想定しているため、比較的建築関連の機能が充実している専用CADです。
Jw_CADの特徴の一つとしてよく言われるのが、国産のCADソフトである点です。多くのポピュラーなCADソフトは海外の製品であるケースが一般的で、サポート対応やソフトそのもののローカライズが十分に行われていないケースもあります。
一方のJw_CADは、国産のCADソフトであるためローカライズがされていない心配がありません。完全日本語対応で全ての機能を利用できることから、英語を使ったCAD運用に不安を覚える方にとって嬉しい製品です。
Jw_CADのメリット
Jw_CADは建築業界を中心に人気の高いCADソフトですが、具体的にどのような点が評価されているのでしょうか。ここではJw_CADを使用する主なメリットについて、3つ解説します。
無料で使用できる
Jw_CADの最大の特徴とも言えるのが、無料で使用できる点です。多くのCADソフトは優秀な機能を備えている一方、利用に際してはライセンス料金の支払いが発生します。
一方でJw_CADは元々人気CADソフトであるAutoCADを意識したフリーソフトとして開発されており、完全無料での利用ができます。公式サイトからいつでも誰でもインストールができるため、気軽にCADを始めたい人にとってありがたいツールです。
CADの導入を進めたいが、費用の問題で導入を見送っているという人にとって魅力的な選択肢となるでしょう。
複数のファイル形式に対応している
Jw_CADはフリーソフトとはいえ、他の主要なCADソフトとの互換性も確保されているのが便利なところです。メインとなるファイル形式はJWWやJWCといった形式ですが、AutoCADで採用されているDXF形式や、国際規格として認められているSFC形式など、幅広く対応しています。
CADソフトは単体で運用するとは限らず、複数の製品を連携して運用することも日常茶飯事です。このような場合は多様なファイル形式でデータをやり取りすることになるのですが、Jw_CADであれば主要な形式はある程度抑えているため、業務に支障をきたす心配が小さくすみます。
感覚的なマウス操作で効率的な作業が行える
Jw_CADは、他のCADソフトではあまり見かけない形式のマウス操作機能を備えているのも魅力です。簡単なマウス操作だけでさまざまなコマンドを呼び出し、ツールを使用できるのは、操作に慣れれば生産性向上の大きなきっかけとなります。
一般的なCADソフトの場合、各種ツールの配置を覚えたり、コマンドを入力したりしなければならず、操作に戸惑うケースもあるものです。一方でJw_CADはマウス周辺の操作を覚えてしまうだけで基本的な操作が完結するため、操作に手間取る心配はありません。
Jw_CADの主な機能
Jw_CADは2D限定のCADソフトとはいえ、多様な機能を活用して高品質な図面を作成することができます。ここではJw_CADの代用的な機能について、解説します。
2D図面作成
Jw_CADでは、直感的な2D図面作成機能を使用することが可能です。マウス操作によって、まるで紙に図面を書いているかのような感覚で図形を描き、高品質な設計図を用意できます。
マウス操作で基本的な図面は丁寧に描くことができるので、あちこちとコマンドを切り替える必要がないのが便利なポイントです。線の種類やレイヤーなども自由に設定でき、メリハリのある図面作成が可能です。
2.5D作成
2.5Dとは2D図面で3D的な表現を加えることで、3Dモデルのようにディテールに優れた図面を作成することができる技術です。Jw_CADは3Dモデリングこそできないものの、2.5Dの図面を作成し、立体的な情報を得ることができます。
平面図形に高さや奥行きを加えることで、作成した図面の完成形を具体的にイメージしやすくなりますし、フィードバックのポイントを正確に把握できるようになるのが強みです。
コマンド入力作成
Jw_CADには特定のコマンドを入力することで、建具や設備を呼び出すことができる作成機能が備わっています。
通常であれば、こういった情報は手動で作成する必要があり、複数用意するとなるとそれだけ手間のかかる作業です。一方でJw_CADならコマンドを呼び出すだけで、簡単に図面を作成することができます。ドアや窓、柱といった情報を簡単に作成・複製できるため、生産性の向上に役立つ機能と言えるでしょう。
日影作成
Jw_CADの代表的な機能の一つに、日影作成機能が挙げられます。日影図を図面に合わせて盛り込むことができる機能で、特定の日時における影の動きや周辺環境との相性についての検証を行ることが可能です。
単に建物に対して影を与えるだけでなく、時間の概念を付与できる点もJw_CADの日影作成機能の特徴です。建物や周辺環境の快適性やエネルギー効率を計算し、優れた建築設計を実現する上で役に立つでしょう。
Jw_CADと他のCADソフトの比較
Jw_CADは数あるCADソフトの中の一種で、導入を検討している場合は他のCADソフトと比較しながら選定を進めることになるでしょう。
ここでは、Jw_CADと比較されることの多い主要なCADソフトを一つの表にまとめて解説します。今回比較するのは、Jw_CADと
- AutoCAD
- Vectorworks
- SketchUp
の3つです。
2D・3D | 主な特徴 | 料金 | |
Jw_CAD | 2D | 建築分野に特化した2D CADソフト | 無料 |
AutoCAD | 2D・3D | あらゆる業務に対応可能な汎用CADソフト | 有料 |
Vectorworks | 2D・3D | BIM対応の汎用CADソフト | 有料 |
SketchUp | 2D・3D | 基本無料で使えるブラウザで動作可能なCADソフト | 無料(有料プランあり) |
まず注目したいのが、2D、3Dのどちらに対応しているかという点です。近年の多くのCADソフトは2Dと3Dの両方に対応している一方、Jw_CADは2Dにしか対応していないため、この点は注意が必要です。
ただ、Jw_CADは主要CADソフトの中では唯一完全無料で使用することができるCADソフトである点は見逃せません。SketchUpは基本無料で使用できる、2D・3Dの両方に対応するCADソフトですが、利用できるのは基本機能に限定されています。完全版を使用したい場合は、有料プランの契約が必要です。
有料プランの契約でも良いという場合、AutoCADやVectorworksの利用を視野に入れると良いでしょう。中でもVectorworksは、2Dと3Dの両方に対応しているだけでなく、BIMモデリングの機能も備えているのがポイントです。
AutoCADもBIMと互換性を備えていますが、単体ではBIM機能に限界があるため、他の関連製品の活用を検討すべきでしょう。また、AutoCADはRevitやCivil 3Dなど、CADとBIMに対応するさまざまなAutodesk社の関連製品との優れた互換性を備えています。これらのツールを合わせて活用する場合、導入すると相乗効果を発揮できるのが強みです。
上記の理由から、Jw_CADは2D図面の作成に用途を限定し、尚且つコストを最小限に抑えたいと考えている場合に最適なCADソフトと言えるでしょう。
Jw_CADのインストール方法
Jw_CADは利用に際してソフトウェアをインストールする必要がありますが、その手続きは至って簡単です。
Jw_CADの公式サイトにアクセスすると、専用のダウンロードページが用意されています。そこから最新のバージョンを選択し、パッケージをダウンロードしましょう。ダウンロードしたファイルを展開し、画面に表示される手続きに従って手続きを進めれば、インストールは完了です。
ソフトのインストール後は、インストール時に指定された場所にJw_CADが保存されます。ソフトを開始する場合、指定した場所からJw_CADのアイコンをダブルクリックすれば、すぐにツールを使い始めることができます。
Jw_CAD活用の注意点
Jw_CADは便利なCADソフトですが、注意点として
- Macでの使用が制限されていること
- サポート対応が期待できないこと
の2点が挙げられます。Jw_CADはWindows専用ソフトですが、有志によるMac版が公開されています。ただ、Mac版は数年前に更新を停止しており、最新のMac OSでは利用できないケースがあるため注意が必要です。
また、Jw_CADはフリーソフトであるため、他の有償CADソフトのような丁寧なサポートが受けられない点にも気をつけましょう。
Jw_CADについてのまとめ
この記事では、Jw_CADの概要や強み、他のCADソフトとの比較ポイントを解説しました。Jw_CADは無料で使える上、機能性に優れた2DCADソフトです。2D設計特化ではあるものの、無料で使えるものとしてはハイエンドクラスの製品と言えるため、条件に合う場合は積極的に活用しましょう。