「MacでCADを使いたいけれど、対応ソフトが少ない」「DX教育や設計業務を進めたいが、Macで支障が出ないか不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。工場DXを推進する現場では、設計から生産までの一貫したデータ活用が求められており、OSの違いが業務効率に影響するケースもあります。
従来、CADはWindows専用が主流でしたが、近年はクラウドベースやmacOS対応のCADソフトが増え、Macでも設計・モデリングが行える時代です。
そこで本記事では、MacでCADを使用する際のポイントと、工場DX化におすすめのCADソフトを詳しく紹介します。
そもそもMacでCADを使うことは可能?

結論から言えば、MacでもCADの使用は十分可能です。以前は多くのCADソフトがWindows専用で開発されていたため、Macでは動作が使用できないケースも多くありました。
しかし現在は、AutoCAD for Macやブラウザ上で動作するOnshapeなど、macOS対応やクラウド型のCADソフトが登場し、Macでもスムーズにモデリングや設計作業を行えます。
特にクラウドで使用できるCADは、ブラウザだけで動作するため、OSの違いに左右されず使用が可能です。
Mac対応CADが少ないといわれる理由

Mac対応CADが少ないといわれる理由について、以下3つを解説します。
- 業界標準がWindows環境で構築されている
- GPUドライバや周辺ツールの最適化が難しい
- 開発・サポートコストが高く採算が合わない
①業界標準がWindows環境で構築されている
製造業や建築業などの設計分野では、長年にわたりWindowsが業界標準の開発環境として定着してきました。多くの企業がAutoCADやSOLIDWORKS、CATIAなどのWindows専用ソフトを業務システムと連携させて導入しており、サーバー管理やデータ共有の仕組みもWindowsベースで構築されています。
そのため、Macに対応するためには既存システムとの互換性を再設計する必要があり、開発コストや運用リスクを避ける目的で、ソフトウェアメーカーがWindows版の開発を優先する傾向が続いています。結果として、Mac対応のCADが少ない状況が長く続いているのです。
②GPUドライバや周辺ツールの最適化が難しい
CADソフトは高精度な3Dモデリングやレンダリングを行うためにGPUの性能を最大限活かす必要があります。しかし、macOSではドライバのカスタマイズ自由度が低く、特に業務用GPUとして普及しているNVIDIA製グラフィックボードが正式にサポートされていないため、開発者はハードウェアの性能を十分に引き出しにくい環境となっています。
さらに、Windows専用グラフィックAPIにも対応していないため、描画性能を引き出すためには独自の最適化が必要になります。こうした技術的な壁が、Mac向けCAD開発を難しくしている要因の一つです。
③開発・サポートコストが高く採算が合わない
macOSはセキュリティアップデートやOSバージョンの変更が頻繁にあり、そのたびにソフトウェア側でも動作検証や互換性確認が必要になります。特にCADのような高機能ソフトでは、描画エンジンやファイル互換性など多くの技術要素を都度見直さなければならず、開発・保守にかかるコストがWindows版よりも高くなる傾向があるのです。
さらに、製造・建築分野でMacを業務利用する企業の割合は依然として少なく、開発費を回収できる市場規模が限られているのが現実です。そのため、多くのベンダーがMac専用CADの開発よりも、クラウド対応やWindows強化に注力する傾向が見られます。
DXでMac版CADを導入するメリット

DX教育担当者がMacでCADを導入するメリットについて、以下3つを解説します。
- クラウド型CADとの相性が良い
- 初心者にも扱いやすい直感的な操作性
- セキュリティとデバイス連携による教育効率の向上
①クラウド型CADとの相性が良い
Macは、クラウドベースで動作するCADソフトとの相性が高い点が魅力です。個々の環境で異なる設定を行う必要がなく、教育担当者が全体の学習進行を統一しやすいというメリットにつながります。
また、Macの安定したネットワーク環境や高速なデータ転送機能により、クラウド上の3Dモデルや図面データを複数人でリアルタイム共有することができ、設計や共同レビューがスムーズに進行できます。Macは「誰でも同じ環境でCADを学べる教育体制」を構築する上で優れたプラットフォームといえるのです。
②初心者にも扱いやすい直感的な操作性
Macは、デザイン性と操作性を両立したユーザーインターフェースを持ち、CAD初心者や学生でも迷わず使える直感的な操作感が特徴です。特に、マウス操作やシンプルなウィンドウ構成などが設計作業のストレスを軽減し、学習効率を高めます。
DX教育においては、プログラムやツールの使い方に時間を取られるよりも、設計思考やモデリングの理解に集中することが求められます。その点、Macは余計な設定やトラブルが少なく、受講者が操作よりも内容に集中できるのです。
macOS特有の安定した動作やシンプルなデザインは、教育現場での機材管理やメンテナンス負担を軽減し、講師や教育担当者のサポート業務を効率化する効果も期待できます。
③セキュリティとデバイス連携による教育効率の向上
Macのもう一つの強みは、セキュリティとデバイス連携に優れている点です。macOSはシステム全体のセキュリティが堅牢で、外部データとのやり取りやクラウド共有時にも高い安全性を確保できます。
教育現場では、学生や社員が扱うデータが外部に流出するリスクを最小限に抑えることが重要であり、Macはその信頼性の高さから採用が進んでいます。さらに、iPadやiPhoneとの連携を活用することで、授業中のデザイン共有や図面レビュー、課題提出のスピードが向上します。
以下の記事では、DXについて詳しく解説しています。DX推進を考えている方は本記事とあわせてご覧ください。
工場DX化にMacで使用できるおすすめのCADソフト

工場DX化にMacで使用できるおすすめのCADソフトについて、以下3つ紹介します。
| 項目 | Autodesk Fusion | AutoCAD for Mac | Onshape |
|---|---|---|---|
| 料金(税込) |
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| ソフトウェア形式 | クラウドベース統合型CAD/CAM/CAE | インストール型汎用CAD | 完全クラウド型3DCAD |
| Mac対応 | ネイティブ対応(Apple Silicon最適化済み) | Mac専用バージョンあり(macOS専用機能搭載) | ブラウザのみでアクセス可能(インストール不要) |
| DXにおける主な強み |
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| 対象ユーザー | 設計から製造まで統合管理したい企業・製造業全般 | 既存CADデータを活用しながらDX化したい企業・汎用的な設計業務 | 複数拠点での協業や遠隔作業が必要な企業・チーム設計重視 |
| 主な機能 | 3DCADモデリング、CAM、CAE、シミュレーション、ジェネレーティブデザイン、PDM | 2D/3D作図、図面作成、カスタマイズ・自動化(API)、業界特化ツールセット(Plus版) | 3DCADモデリング、アセンブリ、図面作成、PDM、コラボレーションツール、API連携 |
①Autodesk Fusion
Autodesk Fusionは、クラウドベースの統合型CAD/CAM/CAEプラットフォームで、設計から製造までのプロセスを一つのソフトウェアで完結できる点が特徴です。
工場DXにおいておすすめの理由は、クラウド上でリアルタイムにデータを共有できることで、設計部門と製造部門の連携がシームレスになり、製品開発のワークフロー全体を統合できる点にあります。また、ジェネレーティブデザインやCAM機能を標準搭載しているため、AI技術を活用した設計から実際の加工までを一貫して管理でき、製造業の自動化と効率化を実現できるのです。
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| ライセンス名 | 価格 | 特典 |
|---|---|---|
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②AutoCAD for Mac
AutoCAD for Macは、Autodesk社が提供する業界標準の2D/3D汎用CADソフトのMac専用バージョンで、DWGファイル形式との互換性を持つことが強みです。工場DXの推進において重要なのは、既存のWindowsベースの設計資産を活用しながら新しい環境に移行できることです。
AutoCAD for Macは既存のDWGデータをそのまま開いて編集できるため、過去の設計図面やドキュメントを無駄にすることなくMac環境でのDX化を実現できます。また、Mac版独自の機能として、スクリーン分割マルチビュー機能など、macOSの特性を活かした直感的な操作性で、設計者の作業効率を向上できます。
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③Onshape
Onshapeは、完全クラウド統合型の3DCADソフトで、ソフトウェアのインストールが不要であり、Webブラウザさえあればどのデバイスからもアクセスできる点が魅力です。工場DXにおいては、複数のユーザーが同じ部品データをクラウド上で共有しながらリアルタイムで共同編集できるコラボレーション機能にあり、タイムリーに設計データを確認・修正できるため、チーム設計の生産性が向上します。
また、組み込みのPDM機能により完全な編集履歴とバージョン管理が自動的に行われ、誰がいつ何を変更したかが明確に追跡できるため、データの透明性と管理効率が改善されます。
実際にMacでCADソフトを使用してみよう
ここからは実際にMacを使用してAutoCADとAutodesk Fusionを使用してみます。Windowsを比較してどのような違いがあるのかを考えてみましょう。
AutoCAD
まずはAutoCADをMacbookで操作した際の画面になります。以下は作業の初期画面でWindowsと異なり、画面左にさまざまなコマンドが設置されています。

また、操作方法について特に違いがあるわけではありません。例えば、直方体を作成する場合は直方体コマンドをクリックします。

次にマウスをドラッグまたは、数値を入力すれば直方体の完成です。

初期画面に慣れるまで少し時間はかかるかもしれませんが、操作をしていくうちに慣れていきましょう。

AutoCADの操作が難しいと感じる方はセミナーの受講を検討しましょう。以下のリンクで紹介している「AutoCAD基礎セミナー講習」では、初心者の方でも短期間で実務レベルを身につけられる講習です。
| セミナー名 | AutoCAD基礎セミナー講習 |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 27,500円〜 |
| 開催期間 | 2日間 |
| 受講形式 | 対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー・eラーニング |
Autodesk Fusion
次にAutodesk Fusionを操作してみます。以下はMacbookでFusionを開いた場合の初期画面です。こちらもWindows版と大きな差はありません。

では、実際に円柱を作成していきます。まずは画面左上にある「スケッチを作成」をクリックします。

次に「円柱」のコマンドを選択し、半径を決めていきます。AutoCAD同様に半径を入力するか、ドラッグで数値を決めます。

最後に高さを決定します。画面の右にあるダイアログボックスを使用すればより詳細に設定ができます。これで完了です。

Autodesk Fusionの操作が難しいと感じる方はセミナーの受講を検討しましょう。以下のリンクで紹介している「Autodesk Fusionセミナー講習」は短期間で実務レベルまで身につけることができます。まずは詳細をチェックしてみてください。
| セミナー名 | Autodesk Fusionセミナー講習 |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 41,800円〜 |
| 開催期間 | 2日間 |
| 受講形式 | 対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー・eラーニング |
MacでCADの使用についてのまとめ
近年、Macで活用できるCADソフトは増えています。かつてはWindows専用が主流でしたが、現在ではAutodesk FusionやOnshapeなど、クラウドやmacOSに最適化されたCADソフトが登場し、設計・製造の現場でDXを推進しています。
Macは直感的な操作性や安定したネットワーク性能で、初心者の学習から教育現場での活用まで幅広く対応できます。また、セキュリティの高さやiPadとの連携によって、データ共有や授業運営の効率化も期待できるのです。これからDX教育を導入したい担当者や、Mac環境で設計業務を進めたいエンジニアは、クラウド型CADを中心に自社の目的に合ったツールを検討することで、生産性を高められるでしょう。